
「森林を国民全員の財産に」森林レンタル事業を推進する企業の新たなチャレンジとは
森林レンタル事業からスタートし、森林の価値を高めるために自然を身近に感じてもらうサービスを展開する『株式会社シシガミカンパニー』。フォレンタ担当の安江に森林レンタル事業を始めたきっかけや森林にかける思い、今後の展望などを伺いました。
キャンプブームをきっかけに誕生した森林レンタルサービス
株式会社シシガミカンパニーはメイン事業として森林レンタルサービス『forenta(フォレンタ)』を運営しています。その他に森林浴コーディネート事業など森林の価値を高めるための活動を行っています。
株式会社シシガミカンパニーの設立よりも先に2020年末から『forenta』がスタートしました。『forenta』を運営する中で、森林の価値を生み出すことができる方法があるのではないかと考え、森林サービスに特化した会社をつくろうということで2024年4月に株式会社シシガミカンパニーが創立されました。
『forenta』における森林レンタルは年間契約で借りていただいています。2025年2月現在、日本全国21カ所でエリアを展開しています。約30メートル四方に区分けした森林をキャンプ目的などでご利用いただいています。現在300組ほどのお客様にご契約いただいていますが、そのうち企業の福利厚生での利用が1%くらいで、ほとんどが個人で借りられています。
『forenta』を始めたときはコロナ禍でキャンプブームが起こっていたタイミングでした。その時期に借りていただいていたお客様からは「いつ行っても、静かでプライベート空間が確保できて満足です」「気分転換になって良い」「ひとりでたき火をしてぼぉっとする時間が取れてうれしい」といった声がありましたね。
『forenta』を始めた当時はキャンプのために山を購入するということが話題になっていました。キャンパーとして有名な芸人のヒロシさんら著名人が、山を買ったということが注目されたきっかけです。一般の方も山を購入したいという方が増えたのですが、実際に山を買ってしまうと相続が大変であったり、管理の手間がかかったりという問題があります。
手間がかからないように運営することがテーマ
当サービスは岐阜県加茂郡東白川村で始めましたが、この地域は面積の95%近くが山林です。住民のほとんどは山を所有しているのですが、この地域外の人が山を所有すると、道路をつくりたい、危険な木があるから伐採したいという話になったときに所有者がわからなくなったり、連絡がつかなくなったりして困るという事態に陥るのではないかといった危惧があります。しかしながら、山に価値を感じてもらえるのはうれしいこと。そこで、レンタルという形で必要な間だけ使ってもらえばいいのではないかと考え、『forenta』を立ち上げました。
立ち上げ当初は「運営が大変にならないようにやろう」ということをモットーにしていました(笑)。本業がある中での副業のような感覚でスタートしていて、副業として運営できれば山の所有者さんにもそのスキームを活用してもらえると思いました。
運営自体は、利用規約に違反した危険な使い方がされていないかと見回りをするくらいで手間はかかりません。強いて当サービスの運営で大変なことといえば、利用者の方がいつ来ても良いという自由度の高い反面、利用のマナー向上は少しずつ浸透させていくしかないことです。問題が見つかるたびに利用者の皆さんに注意喚起しています。これまでにないサービスなので手探りでやって来た部分が多いですね。
最初は自社所有林を貸すことで事業を始めましたが、東白川村の皆さんにも少しずつサービス内容をご理解いただきました。サービス開始当初、普段車が行き来しないようなところを普段目にしない街のナンバーを付けた車が通ることが村中の噂になっていたそうです(笑)。
現在、東白川村は最も区画数が多いので見回りも時間がかかりますが、他のエリアは20区画ほどなので手間がかかっていないと思います。
森林の価値を高め、国民の財産にするために次々と新しい活動を開始
2024年末から新たな取り組みとして森林浴ツアーを始めました。『forenta』の利用者の特徴はキャンプ上級者の方が多いことです。そこで、キャンプ上級者ではない方にも気軽に森林と触れ合って欲しいなと思い、森林浴事業が誕生しました。森林浴ファシリテーターという資格保有者が、一般の方が日帰りで楽しめる森林と親しむツアーをガイドしています。
最も新しい活動としてはトリュフ栽培を行っています。本業の関係で森林研究所とのつながりがあり、代表がやってみようと決断しました。
デジタル化が進む社会で時代と逆行した非効率なことが求められているのかもしれませんね。
株式会社シシガミカンパニーのミッションは「森林を次世代に胸を張って引き継げる財産にする」です。現在は木材価格が低迷しており、山林所有者にとって山が負の財産となってしまっています。しかし、自然があること、そのものが財産なんです。山林所有者の方にも自然と離れた都市部で暮らす人にも自然の価値を感じてもらえるように、さまざまなサービスを通じて森林の魅力を発信していきたいと思います。
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