世界大会3位の実力を持つ清水さんが伝えたい「ダブルダッチの魅力」
縄と縄の間を縦横無尽に動くスポーツ『ダブルダッチ』で世界大会3位の実績を誇り、ニューヨークにあるアポロシアターでパフォーマンスを披露した経験を持つ清水蒼太さん。ダブルダッチをもっと身近なスポーツにするための普及活動や、各種イベントを主催しています。清水さんが魅了されたダブルダッチの世界とはどんな世界なのか、詳しく語っていただきました。
ダブルダッチで世界を目指す
現在僕はダブルダッチのパフォーマーとして、フェスやクラブイベントに出演しています。また。イベントの主催や、児童館に対しての働きかけなど、ダブルダッチを広める活動もしています。
元々は家系が剣道一家だったこともあり、物心ついたときからずっと剣道をやっていました。高校進学のタイミングで、剣道とは違うことをやってみたいと思って色々と探していた時に、父親から動画を見せてもらったことがダブルダッチを知ったきっかけです。部活の新入生歓迎で直感的に楽しそうと感じたので、そこからダブルダッチの世界に足を踏み入れました。
ダブルダッチは縄をまわす2人と、跳ぶ1人の基本3人以上ならできますが、一般的に5〜6名でやります。縄の中でダンスやアクロバットをしたり、高速で飛んだり、動き以外にもパフォーマンスの構成を考えたりと、さまざまなことができるのがとても魅力的です。
ダブルダッチは、1人だけすごい人がいたら勝てるというものではありません。メンバー全員が納得し、かつ個人の力が発揮できるように構成を考えていくことが重要です。コミュニケーションを取りながら団結力を高めて、それぞれの個性をどう引き出せるかを考えるので、お互いを高め合っていくスポーツだと思います。
幸いにも高校生の時には、30秒で何回飛べるかを競う「スピード」という競技で、世界3位タイの結果を残すことができました。
大学への進学はダブルダッチを基準に選びました。高校はあくまでも同好会だったので、「楽しくやろう」というのがスタンス。大学ではしっかりと基本を押さえて世界を目指したかったので、日本で1番強いサークル『乱縄』がある日本体育大学に入学しました。
ニューヨーク・アポロシアターでの経験
これまでとことんダブルダッチの世界にのめり込んできましたが、大きくへこむことが2回ほどありました。
1回目はメンバーの離脱です。大学で5人のチームを組んでいて、途中で1人辞めることになりました。最初に組んだチームで4年間続けていくのがサークルの決まりなので、辞めるのはしょうがないことですが、この5人で上を目指したかったという気持ちでいたので残念でしたね。
2回目が主将になったときのプレッシャーです。主将になったからには勝たないといけないと感じているなかで、大会で僕たち以外のチームが目立つような成績を出していることに焦りを感じていました。メンバーが欠けたことでフォーメーションが複雑になったり、その分運動量が増えたりしているなかで、どうやって勝てば良いんだ悩みが尽きませんでした。
それでも僕の同期は強い世代だと言われていて、世界大会につながる全国大会の3位以内を同期のチームが総なめにしました。世界大会では、ニューヨークのアポロシアターでパフォーマンスをしたのですが、ダブルダッチの世界ではなかなかない快挙でした。だからこそ、そこで1位を取れなかったのは今でも悔しさが残っています。
ダブルダッチを身近なスポーツに
ダブルダッチなどのストリートカルチャーは、団結力が強い世界です。イベントをすると経験者しか来ないこともあるので、もっと外に向けての活動をするべきだと感じています。
社会人になってからでも趣味のひとつとしてダブルダッチが普及したら良いと思っています。本当はやりたいけど一緒にやる人がいない、練習場所がない、と諦めてしまう人もいるので、そういう人たちのためにもダブルダッチができる環境をつくりたいと考えています。
僕のビジョンは、ダブルダッチがもっと身近なものになることです。「ちょっと集まってやろうよ」と、気軽に言えるようになってほしいですね。コミュニケーションツールにもなりますし、誰でもできるスポーツなので、ダブルダッチの魅力を少しでも多くの人に知ってもらいたいです。ダブルダッチ人口を増やしつつも、さまざまな形でダブルダッチに関われる人を増やしたいので、そのお手伝いもできればと思っています。
いろいろと活動して感じるのは、何事も行動しないと始まらないということです。僕は「イベントをやります」とまず宣言して、言ったからにはやるぞと行動をし始めました。もしうまくいかずに悔しい思いをしても、行動したからそういう経験ができたんだと思って、行動を重ねていってください。
そうするとまわりに見てもらえるようになり、協力してくれる人も現れます。応援してくれる人が増えるとできる幅も広がっていくので、まずは言葉に出すだけでも良いです。行動することがとても重要なので、何か少しでも考えていることがあるのなら1歩行動に移してみてください。