サラリーマン人生からの飛躍、48歳で掴んだ夢の仕事

中根 大樹

中根 大樹

2024.11.20
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中根大樹(なかねだいじゅ)さんは、新卒でAOKIホールディングスに入社しスーツ事業で多くの職務を経験し、45歳のときに起業しました。現在は、男性向けのオーダー服フィッターと”おじさんに優しいスタイリスト”として活動しています。本コラムでは、サラリーマンから独立した経緯や、オーダースーツ業界へ今後どう挑戦していくかという展望についてお話いただきました。

25年のサラリーマン生活からの独立

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私は、2022年48歳の時に25年間のサラリーマン生活に終止符を打ち、オーダースーツ屋さんとして独立・起業しました。今年で3年目を迎えますが、日々新たな事に挑戦できている環境と周りの支えてくださる人々に感謝を忘れる日はありません。今、このコラムを読んでいただいている独立・起業を考えている方や同年代の方に少しでも思いを届けられればと思います。

私のキャリアは大手スーツ量販店を母体に持つ”AOKIホールディングス”から始まりました。1997年当初は現在と違い、スーツを週5日着用して会社に通勤するのが当たり前の時代、スーツ業界も既製服が豊富に出回り売上も好調の時代でした。

私はそこでスーツの基礎知識を徹底的に学びました。生地の選び方や縫製技術などスーツ作りの基本を身につけることができたことは、その後のキャリアにおいて非常に重要な土台となりました。そしてスーツは単なる衣服ではなく、ビジネスマンの個性やスタイルを表現するもの、男の戦闘服にもなり得ることを実感することができました。

入社4年目にして自ら社内公募に応募し、新規事業の立ち上げに携わる機会を得ました。これは非常に挑戦的でありながらもやりがいのある経験でした。ブランドをゼロから作り上げるというプロセスは、多くの不安と困難を伴いましたが、自分自身を成長させる貴重な機会でもありました。この経験は、後に自分自身のビジネスを始める際に大いに役立ちました。

20代でアパレル会社で自分の目標をやり遂げた私は、30歳を節目に化学の業界へ転職します。まったく異なる業界への挑戦でしたが、そこでも新たな視点とスキルを得ることができました。

特に営業やマーケティングの経験は、後にオーダースーツ業界で独立する際に大きな強みとなりました。培った問題解決能力やコミュニケーション能力は、どんな状況でも役立つ普遍的なスキルであり、自分が挑戦したからこそ、得ることができた財産となります。

転職した会社は、京都で約150年続く株式会社島津製作所のグループ会社で、日本から世界へとお客様を持っていました。大学や国の研究機関、製薬会社や食品メーカーなどあらゆる業界のトップランナーの方にお会いするため、全国を周り、営業活動をしてきました。

その時に私は【清潔感と品格】というものを常に意識してお客様に合うことを心掛けていました。何故ならば第一印象が良くなければ、次にお会い出来なくなるからです。そのために装いには自己投資しました。

毎月お給料の一定額はビジネスウェアのための予算を確保していました。おおよそですが、10年間で1,000万円は使用したと思います。もちろん失敗もありましたが、それは今では良い経験となっており、お客様へのお伝えできることもたくさんあります。

オーダースーツ業界への挑戦と差別化へのこだわり

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40代に入り、「このまま今の仕事を定年まで続けていて本当に幸せなのか!?」を自問自答し、モヤモヤする日々が続いていました。人生一度きり「もっと人のお役に立つことを実感できる仕事を自分でやりたい!」という思いから、私はオーダースーツ業界への転身を決意します。

メンズファッションの養成講座に入会し、働きながら平日の夜や土日を使い学びます。そして発信力を高めるためにInstagramやホームページを自分で運営できるスキルを習得しました。

当初は副業がNGな会社でしたので、ボランティアでアパレル会社のディレクション、avexの若手アーティストの衣装、そしてコロナ後のビジネス着のバイブル”リセット仕事服”ではスタイリング協力をさせていただくなど多くの経験を積ませていただきました。

私が提供するオーダースーツは、ただの洋服ではありません。それは、お客様との対話から生まれる「自他共に認める唯一無二」という付加価値があります。営業経験やスタイリスト実績を活かし、お客様がどんなシーンでどんな印象を与えたいかをヒアリングし、それに合う最適な生地でお仕立てします。

そしてコロナ後はビジネスの場でもカジュアルな装いが進み、従来のオーダースーツより少し砕けたセットアップスーツやジャケパンスタイルに変化してきています。そんな場合は全身でコーディネートアドバイスできる私の提案力は通常のテーラーとは異なる私の強みになっています。

起業して3年目、独立への道は決して平坦ではありませんでした。しかし、これまでの経験と情熱が私を支えてくれました。今では、自分自身のブランドを運営し、多くのお客様にご満足いただいています。これからも、お客様一人ひとりに寄り添いながら、新しい価値と体験を提供していきたいと思っています。

このようにして私はサラリーマン生活から独立へと踏み出しました。これまでの経験がすべてつながり、新しい挑戦へと導いてくれたことに感謝しています。

次回は、オリジナルブランド【Bespoke by WALKER】にまつわるストーリーについてお伝えします。

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