全日本選手権で優勝経験をもつテニスプレーヤーが描く「テニスと経営者のデュアルキャリア」
茨城県出身の森崎可南子さんは筑波大学を卒業後、プロテニスプレーヤーとして現在も活躍しています。全日本選手権では、22年ぶりに学生でダブルス優勝を果たし、国際大会でも何度も優勝を経験しています。現役プレーヤーとして日々活躍している森崎さんに、テニスを始めたきっかけや、試合で意識していること、今後のビジョンについて伺いました。
母親のひと言で闘争心に火がつく
みなさん、はじめまして。プロテニスプレーヤーの森崎と申します。ありがたいことに、2017年と2019年の全日本選手権ではダブルスで優勝、混合ダブルスでは準優勝の成績をおさめました。ユニバーシアード日本代表としても試合に出させていただき、国際大会でも15回の優勝経験があります。団体では金メダルを獲得しました。
元々は両親が趣味でテニスをやっていたことから、3歳でテニスをやり始めました。幼稚園の頃は何にでも興味があったので、男子に交じってサッカーをはじめ色々なスポーツをやっていました。それでもプロのスポーツ選手を目指すならばとテニスを継続。テニスに打ち込む環境にも恵まれ、テニスひと筋の人生が始まりました。
小学校1年生からスクールに通うようになり、正直不安もありましたが、母親の「じゃあ、やめれば?」というひと言に闘争心が燃え、ずっとテニスを続けています。テニスは突き詰めるほど奥が深いと実感します。今までできなかったプレーができるようになると成長を感じ、ひとたびハマると続けたくなります。
大事なのはパートナーとのコミュニケーション
一方、練習は楽しいことばかりではありません。一番しんどくてやめたいと思ったのは小学校4年生のとき。テニスクラブに入って、韓国人のコーチの指導を受けていましたが、周りは中学生や高校生、しかも男子がたくさんいました。体格がまったく違うなかで一緒に練習するのはかなり大変でした。
なかでもキツかったのが、ウォーミングアップとして取り入れていたタイヤ引きです。今の基礎体力の根幹となっているのは間違いないですが、当時は本当にハードでした。
「試合前に緊張しないですか?」と聞かれることがありますが、もちろん緊張を感じることもあります。特に団体戦で自分の勝敗がチームの命運を左右する場面では、よりプレッシャーがあります。実は、シングルスよりもダブルスの方が安心して試合に臨めます。1人でやるよりも、パートナーがいる方が心強いと感じるからです。
テニスはよく心理戦だとも言われますが、個人的には実践で積み重ねた経験が大事だと思います。一番大切なのはパートナーとコミュニケーションを取り合うことです。
幸い全日本選手権ではダブルスで優勝しましたが、振り返ってみると個々の調子はもちろんですが、パートナーとのコミュニケーションの質が良い時は自然と結果もついてきます。勝ち負けにこだわっているときよりも、パートナーとお互いを信頼しあい、声をかけあってプレーすることが楽しいと思えたとき、いつの間にか優勝していたような感覚です。
プレーヤーと経営者のデュアルキャリアが目標
今大事にしていることは、プロテニスプレーヤーとして世界中を転戦しながら、テニス以外にも領域を広げることです。イベントやYouTubeに出演し、Webライティングや経営についても学んでいます。
そこでは経営者としてもですし、ひとつの仕事に囚われず、アスリートだからこそできること、伝えられること、という新しい考え方に出会いました。将来的にはプロテニスプレーヤーでありながら、経営者としてのデュアルキャリアを描いています。
将来、テニススクールを設立したり、コーチとしてやっていくようなプランは立てていません。引退したあとも、テニス競技とはちがう緊張感を持って、毎日挑戦する日々を送りたいと思います。具体的にはカフェをやったりアパレルブランドを持ったりしたいですね。オシャレなテニスウェアや他のジャンルの服も手掛けていきたいです。
テニス以外の道でもうまくいくために意識していることは、人にたくさん会うことです。自分とはちがう価値観や考え方を持つ人に出会うことはとても大切だと感じます。
テニス以外のつながりを持つことで、自分の可能性が広がる感覚があります。テニスのダブルスでもコミュニケーションが大事となるように、人と出会うことで価値観を広げ、今までにやったことがないことに挑戦し続ける人生を歩みたいと思います。