すべては「たまたま」から始まった――結納前日の解雇から掴んだ、人の変容に寄り添う道

川畑 リョオ

川畑 リョオ

column_Kawabata Ryo

株式会社R-plushic代表取締役の川畑リョオ(かわばた りょお)氏。ブライダル美容整体を主軸としながら、コーチング、映像・音楽プロデュース、イベント主催と多岐にわたり活躍されています。波乱万丈な歩みと、活動の根底にある想いについてお話を伺いました。

結納の前日に職を失って整体の世界へ

見出し1画像嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_川畑 リョオ_整体の世界へ

私のこれまでの歩みを一言で表すなら、まさに「すべてはたまたま」の連続でした。自分で強く目標を定め、「絶対にこれになる」と意気込んで進んだ道よりも、思いがけない偶発的な巡り合わせに素直に乗っかったときのほうが、不思議と人生は大きく拓けてきたのです。

若い頃は九州の長崎で暮らしており、「目立ちたい」「モテたい」という思いでクラブに通っていました。特に特技もなかったある日、クラブの店長から初対面で「お前キャラがいいし背も高いから、ラップをやれ」と声をかけられたのが始まりです。何の迷いもなく「やります」と即答し、そこからラッパーとしての道を歩み始めました。やがて夢を抱いて上京したものの、音楽だけで食べていくのは難しく挫折。会社員として働く道を選びました。

ところが、その後も順風満帆とはいきませんでした。東京・五反田で勤めた勤務先が立て続けに倒産するなど不遇が続き、極め付きは結婚の直前です。なんと結納の前日に勤め先から解雇通告を受け、無職の状態で結婚を迎えるという、ドラマの主人公のような絶体絶命のピンチに直面しました。

30歳を過ぎて路頭に迷っていた私に、妻が突然「整体師になったら?」と提案してくれたのです。それまで整体に通った経験すらなく、最初は強い抵抗感がありました。しかし直後、夫婦で訪れた近所の理髪店で、人を見る目に長けた女将さんからも「あなた、整体師になりなさいよ」と強く背中を押されたのです。身近な2人から立て続けに同じ道を勧められ、「これはもう逃れられないサインだな」と腹をくくり、未経験ながら整体の世界へ飛び込む決意を固めました。

たまたまの巡り合わせを受け入れて拓けた道

修業先となった新丸子の整骨院では、通常なら習得に半年から1年ほどかかる技術を、深夜まで練習を重ねて1〜2カ月で身につけることができました。技術を素早く吸収できただけでなく、何より施術をしていて「これなら自分はいける」という確かな手応えを感じ、天職としての適性を確信したのです。

その後、五反田で独立開業を果たしました。奇しくもそのサロンの場所は、かつて結納の前日に解雇された会社から歩いてわずか10秒ほどの距離でした。嫌な思い出もあったエリアでしたが、妻から「いい物件があるから見ておいで」と促されて見に行き、直感で即決した場所です。かつての挫折の地が、私の新たな挑戦の拠点となりました。

現在の主力事業である「ブライダル美容整体」が生まれたきっかけも、完全に偶発的な出来事でした。ある日、フィッティングルームの移転で困っていたドレス関係のお客様へ、「うちは日曜日が定休日だから、無償でサロンの部屋を使っていいですよ」とお声がけしたのです。レンタル料を受け取る代わりに、「来店した花嫁さんに『ここで整体をやっているから、初回無料体験を受けてみませんか』と一言だけ案内してください」とお願いしました。

すると、挙式を控えた花嫁さんたちが次々と訪れ、施術をとても喜んでくださったのです。ドレスを美しく着こなすためには、エステによる痩身だけでなく、巻き肩やストレートネック、肩甲骨のラインといった骨格や姿勢の根本改善が欠かせません。さらに骨盤を整えることは、結婚式当日の美しさだけでなく、その先の妊娠・出産、産後ケアを見据えた身体づくりにも直結します。女性の人生において、結婚式の直前こそが最も整体を受ける価値の高いタイミングだと気づきました。

施術を受けたお客様から「ブライダル専門として本格的に打ち出したほうがいい」と助言をいただき、さらにInstagramの活用法を教えてもらって発信したところ、わずか1回の告知で150件を超えるDMが殺到しました。自分の計算やエゴではなく、目の前の縁や周囲の声に素直に耳を傾けて動いた結果、事業は一気に軌道へと乗っていったのです。

整体という仕事に人生を救われたからこそ、「整体師の社会的地位を向上させたい」という想いが強くなり、かつて志したラップや音楽、映像制作の活動も再開しました。書籍『10X』を読んで感銘を受けた際には、頼まれてもいないのに自腹で楽曲とミュージックビデオを制作し、著者の名郷根修氏に直接DMを送りました。そこから熱意が伝わって信頼関係が生まれ、憧れだった山崎拓巳氏を巻き込んだ大規模な共催イベントの実現へと発展していったのです。

体と心を整えて人の変容に寄り添い続ける

見出し2画像嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_川畑 リョオ_人の変容に寄り添い続ける

整体、音楽、映像プロデュース、イベント主催と、一見すると多岐にわたる活動を展開していますが、私の根底にある軸はすべて一つに繋がっています。それは、「人の変容に携わること」です。

身体が整って不調から解放されること。思考やマインドが整って前向きになること。映像や音楽を通じてその人の魅力が世の中に伝わること。場づくりを通じて新しい一歩を踏み出すこと。表現の形は違っても、人が本来の力を発揮し、良い方向へと変わっていく瞬間に立ち会えることこそが、私の最大の喜びであり生きがいだと感じています。

今後は、現場スタッフにブライダル整体の現場を任せられる体制を整え、私自身は40〜50代の方々や経営者を対象に、コーチングやセッションを交えて心身をトータルで整えるコースに注力していく予定です。また、セラピストのリアルな想いを伝えるドキュメンタリー映像の制作や、学びの場となる勉強会・セミナーの開催も継続して仕掛けていきます。

自分でガチガチに目標を固めるよりも、ふとした縁や人からの言葉を信じて軽やかに飛び込んでみる。その先で目の前の人に全力でギブを届けていくことで、道は想像もしなかった方向へと力強く拓けていきます。

これからも、「川畑と出会ってから人生が楽しくなった」「健康になって、本当にやりたいことができるようになった」と言っていただける人を、一人でも多く増やしていけたらと思っています。