拡大する広報PRの役割にどう向き合う?

神村 優介

神村 優介

2022.06.22
アイキャッチ画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_神村優介さん_マーケテイング

神村優介

神村優介(かみむらゆうすけ)さんは、広報PRを中心にマーケティング企画支援を行うシェイプウィン株式会社を24歳で設立しました。これまでにChatWorkやスマレジ、TEMONAなどスタートアップの広報PRやマーケティングを支援してきた経験を基に、これからの広報PRについて語ってくださいます。

みなさん、シェイプウィン株式会社の代表をしております神村優介です。日本の東京、カナダのバンクーバーを拠点に、広報PRとデジタルマーケティング支援をしています。また、新人広報さん向けに広報サロンというオンライン学習相談プラットフォームも運営しています。

改めて、PRは何の略か知っていますか?

プロモーション? プレスリリース?

違います。パブリックリレーションズの略です。日本語にすると社会との関係構築となり、PRの日本語である広報とはイメージが変わってきます。広く報じるのではなく、実際には双方向のコミュニケーションがパブリックリレーションズの根底にあります。

日本では、広報PRというとプレスリリースやマスメディアに取り上げられて報道されるパブリシティが活動のほとんどを占めています。しかし、海外に目を向けてみるとPRは、企業と社会の接点づくりであり、実にたくさんの業務があります。

北米ではすでにPRはメディア露出ではなく、もっと広範なものになっています。先日、『プロフェッショナル広報の仕事術:経営者の想いと覚悟を引き出す』という新刊もでて新たな定義が生まれています。この記事では、これからのPR活動はどのようにしていくべきなのかについて紹介・考察したいと思います。

PR=メディア露出の考えは古い

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若い人がテレビを見なくなったと言われており、事実20代の半分はテレビを見ないのです(※出典NHK)。9割以上が視聴する60代とは大きな差があります。

しかし、これは若い人だけでなく、2015年と2020年の比では、50代:90%→83%、40代:81%→68%(※同調査、1日にテレビを見る人の割合)と60代以上の世代を除いて減少し、インターネットが情報源になっているのです。

また、趣味嗜好が多様化したことで、それぞれのメディアの影響力も分散化しています。メディアに取り上げられても効果が希薄化しているのも事実です。SNSでも企業や個人が当たり前の様にアカウントを開設し、インフルエンサーも増えてきたことから単純にSNS運用やインフルエンサーPRをすれば影響する訳ではありません。

PR先進国の北米では、広報に関するトレンドは日本よりも先に行っています。ずいぶん前から、オンラインメディアでのPRが中心になり、PRの一環でオウンドメディアは重要な戦略でした。SNS上のインフルエンサーを起用したPRだけでなく、様々なメディアで影響力のあるアナリストへアプローチするなど複数のステークホルダーを相手にしたPRが行われています。

パブリックリレーションズは重要なのか?

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現代のプロモーション、マーケティングにおいてPR(パブリックリレーションズ)は欠かせないものになっています。パブリックリレーションズとは、宣伝ではなく、企業と顧客・取引先・投資家など様々なステークホルダー(利害関係者)との良好な関係構築を目指したマーケティング活動の一つです。

単純に広く告知し、何度も目に触れることで影響を及ぼしてきた広告手法から、顧客が関係を続けたいと思う環境を作るロイヤリティの構築を目的としたパブリックリレーションズが注目されているのです。これからのマーケティング活動を行う上でパブリックリレーションズの理解がない企業は存続できません。PRの必要性は様々な角度から分析できます。

一つは、サブスクビジネスの台頭です。サブスク収益化の可否はパブリックリレーションズにあります。これまでのように売ってしまえば成功ではなく、継続的に顧客と対峙して満足するサービスを提供し続けることが必要です。カスタマーサポートを強化するだけではなく、社会や顧客のインサイトを取得し、マーケティングに活かす対等なPR/コミュニケーション戦略が求められます。

また、SDGsやESG経営などサステナブル事業運営が求められていることも重要な側面です。特にこれからの消費の中心となるZ世代では、就職/転職や購買活動などの意思決定基準にSDGsがあります。環境意識の高さやダイバーシティの理解などをPRで示すことが重要になります。また、企業に不都合な事実も容易にSNSなどで拡散されるため、ステークホルダーとの良好な関係構築は急務です。

SNSやSEOをPR戦略に取り入れよう!

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話は、パブリックリレーションズの重要性にそれましたが、これからの企業運営において、マスメディアPRとSNSでのPR、コンテンツマーケティングとしてのSEOは、欠かせない3つの広報活動になります。それぞれのメディアが果たす役割を見ていきましょう。

マスメディアでのPRは、これまで通り、大きな影響力と共に、信用力を上げるためには欠かせません。SNSは、マスメディアでは取り上げにくい、日常的な話題や定常的な情報発信ができます。マスメディアの報道のように一方通行ではなく、双方向のコミュニケーションを取ることによってファンを作ることができます。

最後にSEOもPRの業務としては欠かせません。オウンドメディアでは、プレスリリースでは主観的で伝えづらいメッセージや、SNSでは長すぎるコンテンツを提供できます。情報を探している人に情報提供をするという点では、Googleという検索エンジンと良い関係づくりを作るパブリックリレーションズになります。

昨今のコミュニケーション戦略は、PR、SNS、SEOが深く関わっています。マスメディアでの報道でSNSが賑わい、反対にSNSのバズからマスメディアの報道が生まれることも多数あります。また、マスメディアで報道するための情報ソースの一部はネット検索から得られています。SEOで上位化している会社がテレビや雑誌に取り上げられやすいのはそのためです。

一つのネタからプレスリリース、SNSアカウント、オウンドメディア記事とアレンジ一つで多方面に発信できる広報になれば、会社の認知拡大やファンの醸成に一役買うことができるでしょう。どれか一つでも勉強したことがない場合は、触れてみてください。

シェイプウィンでは、PRにより顧客との良好な関係構築を行い、デジタルマーケティングによって数値化し検証しながら売上を上げる統合的支援を行っています。パブリックリレーションズのセンスを持ったプロフェッショナルが、デジタルツールを使いこなすことで、持続的な集客・拡散とその受け皿まで一貫して提供することが可能になります。

メディアPRやインフルエンサーPR、SNS運用、SEOをメインで提供していますが、最適なPR/マーケティングを実施する上では、検索広告やメールマーケティング、ウェビナー、展示会出展、CM制作まで幅広く提供することが必要だと考えています。

Web3に代表される分散型社会のコンセプトに基づき、シェイプウィンは各分野の外部エキスパート100名とのネットワーク(リレーションズ)を活かして最善の戦術を提供しています。

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