「周りの人にベストなコンディションを」理学療法士とビデオグラファーを兼業するクリエイターの軌跡

石田 佑也

石田 佑也

column_top_( Ishida Yuya)

アスリートのサポートをメインに行う理学療法士として活躍する傍ら、企業のPR動画を撮影するビデオグラファーとしても活動している石田佑也(いしだゆうや)さん。理学療法士をしていたところから、ビデオグラファーの活動を始めることになったきっかけや、仕事をするうえで大切にしていることなどを伺いました。

理学療法士からビデオグラファーを目指す

見出し1画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_ 石田佑也さん

私が現在取り組んでいる事業は2つあります。1つはビデオグラファーとして企業のPR動画や店舗の集客用動画を撮影・編集しています。もう1つは理学療法士としての仕事です。理学療法士として8年間整形外科に勤めていましたが、今は病院を辞めて、仲間と一緒に福利厚生のひとつとして、理学療法士を派遣してストレッチの監修などを行っています。

元々、高校時代は陸上部に所属していて、自分というよりは仲間が怪我するのをたくさん見てきました。3年間しかない高校での選手生活を、怪我で台無しにしてしまうのはもったいないと感じていました。

そこからいろいろ調べていくうちにスポーツトレーナーという仕事があると知り、たまたま知り合った理学療法士にも話を聞いて、仕事として取り組みたいと強く思い、理学療法士を目指すことにしました。

2013年に東京でオリンピック開催が決まって以来、私は理学療法士としてアスリートのサポートに全力を注いできました。そして、2020年、本来であれば東京オリンピックが開催される年。私は専任のメディカルトレーナーとして参加する予定でした。しかし、新型コロナウイルスの影響でオリンピックが延期となり、予定していた仕事がなくなってしまったのです。

時間ができたこともあり、普段から通っているコワーキングスペースで過ごすことが多くなりました。そこにはWebデザイナー、カメラマン、ビデオグラファーなど多くのクリエイターが集まり、私も一緒に混ざって動画撮影を楽しむようになりました。これが私のビデオグラファーとしてのスタートです。

コワーキングスペースの利用者同士で形成されたコミュニティでは、交流が盛んです。ヘアサロンのオーナーと知り合う機会があり、その方に無料でサロンのPR動画を撮影させてほしいとお願いしました。これがきっかけで、ヘアサロンからの動画撮影の依頼が入るようになりました。

病院勤務を辞めて、フリーランスに転身

見出し2画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_ 石田佑也さん

動画撮影は、目に見える形で記録に残すことが面白いと感じています。ビデオグラファーになる前から、動画を撮影してInstagramのストーリーズにアップし、自分の人生を記録していました。

理学療法士でも同じですが、実際にどんなことをしているのかが分かりにくかったり、その魅力が知られていなかったりする部分が多くあります。私が撮影で関わる美容師も華やかな職業ですが、繊細なカット技術やスタイリングの指使いなど、見せたい部分がたくさんあります。それらの魅力を映像で伝わるように工夫して撮影をしています。

現在、ビデオグラファーと理学療法士の仕事がちょうど半々くらいで活動しています。2023年までは理学療法士として病院に勤務し、週5日働きながら、休日にビデオグラファーとして活動していました。

しかし、ビデオグラファーの仕事が病院の勤務と重なることが多く、せっかくのチャンスを逃してしまうことが続きました。そのため、医療現場での仕事をひと区切りつけてフリーランスになる決断をしたのです。

フリーランスになったことで、いつでも自分の目の前に来たチャンスをつかみに行けるというワクワクとやりがいが大きいです。さまざまな場所で撮影をすることで経験値が上がり、楽しく仕事を続けられています。病院に勤務しながらでは受けられなかった仕事も多くあり、人のお役に立てる機会が増えたと実感しています。

フリーランスでは、細かいコミュニケーションを取りながら仕事を進めることに苦労することもあります。クライアントの要望をしっかりと理解し、すり合わせることの大切さを痛感しています。

みんながベストなコンディションで活動してもらうために

見出し3画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_ 石田佑也さん

私は、モチベーションに左右されずに仕事を進めることを心がけています。お役に立てることを最優先に考え、コワーキングスペースに来た当初は、周りのクリエイター仲間にどんな貢献ができるか模索していました。

最初は「良い歯医者さん知らない?」や「壊れた日傘を直してほしい」といった小さな依頼を受けていましたが、その積み重ねが信頼につながりました。まず、人のために行動することが現在の仕事にも結びついていると感じています。動画制作の依頼を受ける際も、その会社の評価が上がるような仕事をすることを意識しています。

私はコミュニケーションが得意ではないですし、どちらかというと陰キャなタイプです(笑) それでも人とのつながりが仕事の基盤になっています。表面上だけでうまく付き合えないので、SNSやWebを通じて仕事を受注したことはなく、私という人柄を知ってもらったうえで、お役に立てることがあれば仕事につながります。

私の仕事のモットーは「周りの人が1分1秒でもベストなコンディションで活動できるようにする」ことです。理学療法士としてはストレッチなどで、皆さんが最高の状態で過ごせるようサポートしています。

この考え方はビデオグラファーの仕事にも通じていて、たとえば、システムエンジニアの方が肩こりや腰痛に悩んでいると、かっこ良い仕事風景の動画を撮ることが難しくなります。自分のコンディションに悩むことがなければ、もっと力を発揮できるはずです。

ビデオグラファーとしてさまざまな業界の方の動画を撮るなかで、ベストコンディションであることの重要性を再認識しました。皆さんがベストなコンディションで輝く世界をつくれたらと思います。