沖縄発の着物で特許を取得。あふれる行動力の源は「ワクワク感を共有したい」

伊佐 尚子

伊佐 尚子

アイキャッチ画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_伊佐尚子さん_着物で特許ChuraKimono

伊佐尚子さんは、カジュアル感覚で簡単に着られる着物『Chura Kimono(ちゅら きもの)』を開発、特許を取得しました。海外にも広めていきたい、ワクワク感を共有したいと言う伊佐さんに、開発までの道のりやバイタリティの原動力、今後のビジョンなどを伺いました。

着付けもできないところから『Chura Kimono』が誕生

見出し1画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_伊佐尚子さん_誕生ChuraKimono

『Chura Kimono』は、世界中の人が着物を着られるよう、ボタンとファスナーで簡単に着られるような仕様になっています。開発を始めた当初から私自身は着付けもできず、着物も持っておらず、和裁も洋裁もできません。特許を取得していますが、なぜ私が着物に携わっているのか自分自身がわかっていませんが何故か私の使命のように感じています(笑)

私は決して裕福な家庭で育ったとは言えませんでした。小さい頃から欲しいものは買ってもらうのではなく、自分で作る子でした。自宅建築時も自分で模型を作ったり、子供のために兜や雛人形を8か月かけて制作したり、今でもものづくりが好きなのでChura Kimonoはその延長です。

また、自分が小さい頃に着物が着られなかったからか、潜在意識の中に着物に憧れがあり、自分の子どもたちに着せたい思いが強くありました。最初は子どものためにと思っていたボタンとファスナーで着られる着物は、海外在住の友達から「パーティーでいつか着てみたいからぜひ作って!」と背中を押され開発を始めました。子どもたちのアドバイスもあり特許を取得し、『Chura Kimono』は誕生しました。

世界中の人に着物を広めたい

見出し2画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_伊佐尚子さん_展示会に出展ChuraKimono

私は20代のころからの夢であった不動産業を10年以上やりながら、Chura Kimonoに8年以上携わっています。開発に3年かかり特許を取得するのにさらに数年かかりました。

洗える生地にこだわったためオリジナル柄と独自のパターンを合成しデータ化する作業が大変でした。イラストレーターを使えない私が、3カ月でなんとか使いこなし一人何度も失敗を繰り返していました。パターンデータを送れば全世界で作ることができるからです。

しかし、いざ広める準備が整っても資金ががありません。認知度を高めてもらうには県外の展示会に出展することが一番と考え、地元の商工会議所と信用金庫を2年間かけて説得し 今では、特許取得している事でビッグサイトの展示会に沖縄市の事業者さんと合同で毎年出展させて頂いています。

着物を着たいと思っている人や海外在住の日本人、また日本文化に憧れる外国人の方が世界中にいるはずです。その世界中の方々に届けたくて、これからは全国各地の呉服関係の方などとコラボし「ご当地Chura Kimono」に関わるパートナーを募集しています。そしてその「ご当地Chura Kimono」を世界中にお届けできるよう活動し続けます。

「伝統的なシルエット」にこだわった着物

見出し3画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_伊佐尚子さん_沖縄発信ChuraKimono

『Chura Kimono』は、内側にオープンファスナーがあって五段階に着丈のサイズが±10cm調整可能です。両脇にボタンが各3個づつあるので、ウエストサイズも調整できます。紐を使わないため着方の動画を見ながらフランスの方でも着られました。簡単に着られるのに見た目の美しさにとことんこだわり「伝統的なシルエット」をキャッチフレーズにしました。

「なぜここまでできるのか?」と、聞かれることもありますが、基本たぶん私は“変態“なので、あまり苦労は感じません(笑)

幼い頃父が突然の病で亡くなった経験から、やりたいことはやらなきゃという思いが常にあります。だから楽しいことをやることには情熱があります。

また、世界中にいるうちな~んちゅ(沖縄出身の方)や沖縄から移民の2世や3世の方に、沖縄発のChura Kimonoだと伝わるようメッセージが込められています。何より、着物を着た時のワクワク感を共有したいという思いがあります。

展示会では毎回『Chura Kimono』を見て大爆笑で感動してくれます。皆が笑っているのを見ると「この着物をつくって良かったぁ~」と実感し、「なぜ今まで無かったのかな?ぜひ広めてほしい!」という言葉でさらにやる気が出ます。また提携先からは反物が売れるようになったと大変喜ばれています。

これから一歩チャレンジしようとしている人に何かを伝えるとしたら、言葉ではなく、見た目が楽しそうにお仕事をしている大人に出会うことがポイントです。そして、どんどんチャレンジしていくことが、何より大切だと思います。

まずは私自身がこれからも仲間達やご支援してくださる方々と一緒に、めちゃくちゃ楽しく遊んでいるように仕事し続けることだと思っています。

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