日本ならではの文化を世界に広める墨絵師の挑戦

井上 慶美

井上 慶美

アイキャッチ画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_井上慶美さん_墨絵師

『墨絵師yoshimi』こと、井上慶美さんは、甲南大学 理工学部を卒業後、化粧品会社のマーケティング部に就職。フランス留学をきっかけに、「日本の伝統を活かした活動をしたい」という思いが強くなり、墨絵師として活動して独立しました。日本を元気にするために行動し続ける井上さんに、ずば抜けた行動力の秘訣を伺いました。

フランス留学がきっかけで日本の素晴らしさに気づく

見出し1画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_井上慶美さん_グラビティアート

現在、私はインバウンド向けの店舗の内装デザインを手掛けています。主に壁に絵を描いたり、看板やロゴのデザインをしたり、寄せ木細工のような意匠の伝統工芸品のプロデュースを行っています。

絵もデザインも和テイストのものが多いです。もともと和のものにあまり興味がなく、壁やシャッターにスプレーで絵を描くグラビティアートを趣味でやっていました。

高校のときは化粧品が好きすぎて、化粧品の研究者になりたいと思っていたので、大学は理工学部を選択しました。大学でセラミドの研究をしていたのですが、化粧品メーカーで研究者になるには、化粧品の本場であるフランスで現地の研究を見た方が良いと考えて、短期留学しました。

化粧品の工場が数多くあり、有名な香水メーカーも集まっている南仏のグラースという街に行って、フランスの化粧品の製造法を学びました。

ある時、工場の方から「日本は化粧品の原料も技術力もクオリティが高い」と日本のことを褒めてくれたんです。化粧品と言えばフランスだと思って憧れていたのですが、日本が高く評価してくれていていることに衝撃を受けました。

よく考えたら日本の原料のことを何も知らないし、そもそも技術力が高いと思ってはいませんでした。そこから日本文化や日本そのものをもっと知って、自分の国を大事にしようという気持ちが芽生えたんです。

日本に帰国後は趣味でやっていたグラビティアートも炭を使って描いてみたり、水墨画を始めたりしました。仕事も以前は外資の化粧品会社に入りたかったのですが、フランスでの経験を機に日本の大手化粧品メーカーで研究開発・マーケティング部門で働くことになりました。

結局、そのメーカーでは13年間勤務しました。化粧品メーカーで働きながら趣味で続けていた水墨画を仕事として依頼されることが増えたので、2023年8月に独立。現在では、店舗のコンセプトづくりからマーケティング、デザインまで幅広く携わっています。

水墨画をはじめとする日本古来の芸術の魅力

見出し2画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_井上慶美さん_日本古来の芸術

独立できたのは家族の力が大きいです。現在、総フォロワー数が20万を超えるYouTubeチャンネルを運営していて、YouTuberとしても活動中です。日本文化を広げたいならYouTubeで発信した方が良いと夫も協力してくれています。

クライアントが喜んでくれることが仕事のやりがいにつながります。社会人になって、化粧品メーカーで働いているときはあまり人から感謝されることがなかったような気がします。独立してからはダイレクトにお客様から感謝やうれしい口コミをいただくことが生きがいだと感じます。もっと絵を通して日本の魅力を伝えていきたいです。

水墨画は黒1色で深みを出しているところが繊細でかっこ良いと思います。有名なモネやルノワールの絵は、色の奥行きがすごくあるんです。色をどんどん重ねて深みを出していきます。水墨画は日本人ならではの奥ゆかしさや、繊細な心が表れているのではないでしょうか。日本独自で発展してきた水墨画を大切にしていきたいです。

趣味で水墨画をやっているときは、思いつきで好きに描けば良かったのですが、仕事で依頼されるときは違います。どんな思いでお店をつくったのか、どんなお客さんがターゲットなのかをしっかりと話し合って、コンセプトを練ってからイメージをつくり上げていくことを心がけています。

日本は素晴らしい自然や文化、つつましい心があるのに、GDPが下がり、少子高齢化で人口も減っていて、将来どうなってしまうんだろうと思っています。弱っていく日本を何とかしたいという思いが強いので、魅力を発信して日本を盛り上げていきたいです。

大きなことを言っているので私一人ではできません。さまざまな企業様とコラボレートするなかで実現できるのではないかと感じています。

日本を元気にするために行動し続ける

見出し3画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_井上慶美さん_店内のデザイン

私が日本の魅力を伝えるためにやっていることは大きく3つあります。

一つは店舗内の絵は、浮世絵で使われている『顔彩(がんさい)』という素材を使うことです。アクリルやペンキは使用しません。自然の画材なので色落ちしやすいのですが、繊細な色が出せるという特徴があるんです。日本に古くから伝わる画材を使って日本の良さを伝えています。

二つ目はインバウンドのお客様向けの店舗に、和テイストのデザインを施工して日本文化を発信しています。

三つ目は伝統工芸士の方のところによく訪問するのですが、そのときに動画を撮らせていただいてSNSで発信をしています。直近では京都の藍染め職人の工房に訪問して動画をたくさん撮らせていただき、日本語を英訳してSNSに投稿しています。

「行動力があるね」とよく言っていただきますが、振り返ってみると高校時代にルーツがあります。当時から独立志向があり、ビジネス雑誌『PRESIDENT』をよく読んでいました。ある記事で「行動しなければ周りの景色は変わらない」という言葉があり、本当にその通りだと共感しました。

同じところに留まってずっと同じ生活をしていても良いですが、一歩外に出て見たり、目線を変えてみたりすることで、全然違うものが見えてくることがとても刺激的です。新しい人と出会えることもワクワクします。そう考えたときに単純に行動は大事だと思いました。

行動しない人は、私のように積極的に行動する人を見て、「あなたのように動けたらいいな」と言います。私の周りには、子育てを理由にして行動できないと言う人が少なくありません。それでも私が積極的に行動することで、そうした人たちの中には新たなチャレンジを始めようと思う方もいます。

私の行動が周囲に良い影響を与え、模範となることで社会を元気づけることができるならば、その責任を果たしたいと考えています。私が行動することで周りを明るくできるのであれば、お手本になれるような人物になることで日本を元気にできるのではないかと思っています。自分の行動力が人の役に立つかもしれないと思うと、より行動したいと思うようになりました。

日本を世界に広めたい、日本を元気にしたい」をスローガンに掲げて活動をしているので、思いを共にできる企業様とコラボレートして、伝統工芸士や各種職人を巻き込みながら大きなものをつくり上げていきたいです。それはイベントや展示会かもしれないし、大きな店舗かもしれません。その活動の積み上げで日本が元気になるはずです。

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