世界中の乾杯を「ピース」に!出前館の創業者が推進する世界平和に向けたプロジェクト

花蜜 幸伸

花蜜 幸伸

2023.01.20
アイキャッチ画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_ 花蜜幸伸さん_世界平和

世界平和について考えたことがある人はいると思いますが、行動に移された方はどれだけいるでしょうか。出前館の創業者である花蜜幸伸さんは、世界平和とはどんなものか、なぜ実現していないのかを考え、『ピース乾杯プロジェクト』を立ち上げています。花蜜さんが考える世界平和とは何か、プロジェクトではどんな取り組みをされているのかを伺いました。

映画のワンシーンをヒントに『出前館』を創業

見出し1画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_花蜜幸伸さん_デリバリーバイク良き

私は、21歳のときにバイク便で起業をしました。しかし世の中ではインターネットが普及し、それまでバイク便で運んでいたデータが、メールで添付されるようになりました。

インターネットでビジネスをしないと時代に取り残されると感じていたときに、「ザ・インターネット」という映画のワンシーンを思い出したんです。主人公のサンドラ・ブロックが、パソコンでピザを頼むシーンがとても近未来的だなと思い、それをヒントにスタートした事業が『出前館』です。

事業を始めてから色々と問題があることを知りました。まず、当時のインターネット回線スピードが遅いこと。そして、デリバリー業界全体がアナログ主流だったことです。お店の店主はインターネットがまったくわからず、「インターネットから注文がくるなんて想像できない」という感じで、お店に営業をかけられないという状態でした。

その次に、お店に営業をかけても「配達のエリアが狭い」という問題です。配達はだいたい自転車で回ることができるエリアです。「日本全国インターネットで出前を頼めますよ」とプロモーションしても、ほとんどの人が対象外で注文できないのです。

プロモーションもできないなかで、従来のデリバリー業界の人たちを巻き込むことにしました。出前のチラシに「インターネット注文はこちら」とアドレスを無理やり入れて、インターネットで注文したらお茶1本プレゼントと、おまけをつけてもらったんです。そうやってお店の協力を得ながら、徐々にお客さんを増やしていきました。

世界平和への第1歩目は何か

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出前館を創業後、現在は2つの事業を展開しています。ひとつがペットの殺処分ゼロを目指す『ZEROJAPANプロジェクト』で、もうひとつが『ピース乾杯プロジェクト』です。『ピース乾杯プロジェクト』を思いついた当時、世界の紛争のニュースがたくさんあって、こんな紛争がなくなる世の中にならないかと思っていました。

そんなとき、アメリカのオバマ元大統領が広島の演説で「生きている間では無理かもしれないけど」という言葉を使っていたんです。これを見たときに、それを言ったらこの演説の意味がないと衝撃を受けました。そのときから世界平和について考えるようになりました。

世界平和とは、難しい分類の中でも頂点にあるものだと思います。それでも、どんなに難しいことでも最初の1歩目があります。私たちはその1歩目を踏み出していないから、2歩目3歩目と踏み出せず、いつまで経っても世界平和に近づいていないのではないかと仮説を立ててみました。

「世界が平和になったらいい」と世界中の人の気持ちが高まらないと、2歩目3歩目が出ないので、1歩目を「世界平和の気分を高めること」と定義しました。

次に、2歩目3歩目は何があるのかと考えたときに、ここで人によって考えが違ってくるだろうと思います。世界の教育環境、環境問題、エネルギー問題、貧困対策など世界にはさまざまな問題があり、大事なものはどれだと決められないほどにたくさんあります。そのなかには、お金さえあれば解決する問題も多々あるでしょう。

起業家の1人として考えたときに、たくさんお金を生み出せて、世界平和の気分が高まるような仕組みができたらいいなと思い、1歩目、2歩目、3歩目と、着実に進みだせるようなプロジェクトを立ち上げることにしました。

世界をひとつにするための『ピース乾杯プロジェクト』

見出し3画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_花蜜幸伸さん_ピース乾杯

まずは、世界平和というテーマで、世界中の人たちの心をひとつにまとめないといけません。具体的に気分はどうしたら高まるのかを考えましたが、言語や宗教、価値観・考え方は世界中でバラバラです。何か世界共通の言葉やアクションがあったら、ひとつにまとまるのではないかと考えたら「乾杯」というアクションがふと思いついたんです。

世界中で行われている乾杯するアクションの意味・言葉を調べてみたところ、協調性や仲間意識のアクションなど、平和的な意味合いがたくさん出てきました。そして、どの国も乾杯の言葉にほとんど意味はないことがわかりました。

言葉に意味がないのなら意味を込めて共通にできないかと考え、世界がもっと平和になることを祈念して、「ピース」という乾杯にしたらどうだろうと思いつきました。これについて15ヶ国の方々に意見を聞き、その結果どの国もネガティブなことを言う人はおらず、楽しそうだというポジティブな意見がほとんどでした。

もし言霊があるとしたら、人間の内面をどんどん平和な気持ちに変えていくと思うんです。毎日家族でピースをしていると、家族のコミュニケーションがもっと円滑になりますし、会社だったら同僚との人間関係がよくなります。そこで私は『ピース乾杯プロジェクト』を立ち上げました。

出前館の経験からプロジェクトの成功を確信

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お金を生み出す部分に関しては、シンプルに思いついていました。ベルマークのように『ピースマーク』をつくって、飲料メーカーから協賛金が取れないかと考えました。

まずは酒蔵に行って、一升瓶にマークを付けていただき、コップ1杯あたりピースの2円を生み出す協賛金をもらえないかとプレゼンしました。案の定、「なぜうちが負担しないといけないのか、酒が薄利なのを知らないのか」とお叱りいただきました。断られたときに出前館の創業期を思い出し、出前館も最初はたくさん断られていたので「これはいける」と確信に変わりました。

そこから、プレゼンのやり方を変えてみました。内容としては、もしマークをつけてくれたら、私がマーク付きのドリンクリストをつくって居酒屋に持っていきます。多くの居酒屋に呼び掛け、メニューのなかにマーク付きのものを優先的に入れてもらえるようにお願いをしてきますと言ってみたんです。そうすると一部の銘柄で賛同くださる酒蔵が出始めました。

そこから、毎月2日・12日・22日をピースデーにして、その日に「ピース」と言ってドリンクを飲んだ人には、1杯目を無料にする取り組みを始めました。このピース乾杯プロジェクトは世界中に広がっていて、YouTubeでも動画が出てくるのでぜひ見てみてください。

プロジェクトで得られた協賛金は、SDGsの達成に向け取り組んでいる団体へ贈られ、それぞれが目指す世界平和への活動を支援しています。世界平和につなげるために、ぜひこれからはピースで乾杯しましょう。

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