「ママに触りたい」週に1度の面会

男装くん

男装くん

2026.04.13
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SNS総フォロワー60万人のコスプレイヤー『男装くん』。インフルエンサーの傍らイベント運営支援システムの開発やSNS運用代行なども行い、精力的に活動を続けていますが、実は余命1カ月と宣告されたことからTikTokでの発信を始めています。コラム連載第4回目も、闘病生活の実体験について綴っていただきました。

たった3分の面会

見出し1画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_男装くん_たった3分の面会

無菌病棟に入ってから、子どもたちとの面会が特別に許可されました。

子どもたちは、その会える日を楽しみに毎日頑張ってくれていました。

1週間待ち続けて、やっと会える時間は――

たったの3分。

それでも、本来なら面会すら難しい状況だったため、特別に延ばしてもらったありがたい時間でした。

面会は、感染を防ぐため隔離病棟のドアと普通の病棟のドア、その間にある2メートルほどの踊り場を挟んで行われました。

2m越しの会話。

触れることはできません。

息子はまだ言葉が話せませんでしたが、私の顔を見ると、にっこり笑ってくれました。

その笑顔を見るだけで、胸がいっぱいになりました。

当時4歳だった娘は、お気に入りのポケモンの歌を歌ってくれたり、「今日はね!」と一生懸命いろんな話を聞かせてくれました。

きっと、この3分のために、ずっと考えてきてくれたんだと思います。

でも――

待ちに待った面会時間は、あまりにも短すぎました。

「ママに触りたい」娘の叫び

見出し2画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_男装くん_ママに触りたい

面会の終わりが近づくと、娘の様子が変わります。

笑っていた顔が、だんだん曇っていく。

そして、いつも最後にこう言いました。

「ママ…触りたい。」

「ぎゅーって抱きしめてほしい。」

その言葉を聞くたび、胸が締めつけられました。

そしてお別れの時間は、必ず同じ光景になります。

「ママー!!

ママーーーー!!」

顔を真っ赤にして泣き叫ぶ娘。

看護師さんに連れられて私が病室に戻る間も、

娘の泣き声は廊下中に響いていました。

その声が、

胸の奥に突き刺さりました。

壊れそうになった夜

見出し3画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_男装くん_壊れそうになった夜

病室に戻ると、胸が苦しくて仕方ありませんでした。

もし、このまま――

もう二度と抱きしめてあげられなかったら。

そんな考えが、頭をよぎります。

「そんなことあるわけない。」

「絶対に生きて帰る。」

そう思う自分と、

不安に押しつぶされそうな自分。

その二つが、頭の中でぐるぐる回り続けました。

気づくと、考えているのは子どもたちのことばかり。

「私が見ていない時に、窓から落ちたらどうしよう。」

「道路に飛び出して車に轢かれたら?」

滑り台で落ちないか…

お湯で火傷しないか。

次から次へと、心配が止まりませんでした。

自分の命よりも大事な存在。

だからこそ、不安は止まりませんでした。

そしていつしか、その不安は悪夢になりました。

目を閉じると、

子どもたちに何かが起きる夢を見る。

パニックになって目が覚める。

また眠れない。

抗がん剤の影響による全身の痛み。

不眠。

精神的な不安。

すべてが重なり、体の数値はどんどん悪くなっていきました。

ついには、食事もできなくなり、

栄養は点滴だけになりました。

看護師さんは言いました。

「お菓子でも何でもいいから、口から何か食べてほしい。」

私は何も食べることができませんでした。

1週間、何も口にしなくなりました。

このままでは助かるものも助からない。

そう分かっていても、

心がついてこなかったのです。

その時、私は思いました。

このまま子どもたちのことばかり考えていたら、

私は本当に壊れてしまう。

だから一度、

子どもたちへの不安を、

頭の中から手放さなければいけない。

そうしなければ、

私はここで終わってしまう。

そう思ったのです。

(次回:精神を守るために私が始めた“ある行動”)