世界で活躍するフットバッグダンサーが語る「多様なジャンルとコラボする魅力」
CHARHAN(チャーハン)さんは、フットバッグパフォーマーとして2003年から活躍しています。フットバッグの数々の大会で入賞し、新聞やメディアにも多数取り上げられています。国内外で幅広く活躍するCHARHANさんに、フットバッグに出会ったきっかけ、取り組む思い、今後のビジョンについて伺いました。
決まった型がないのがフットバッグ
現在『フットバッグダンサー』として、生演奏などでダンスパフォーマンスを行っています。フットバッグとは、直径5cmほどのお手玉のようなバッグ(ボール)を手や腕を使わずに、主に足を使って蹴るスポーツの総称です。
スタイルは色々な形があり、逆にジャンルがないことが特徴です。たとえば、ライブハウスでジャズの方々と一緒に演奏をしたり、ダンスのコンペティションに出たり、即興で踊ることもありますし、叫んでいる人の隣で踊ることもあります。
フットバッグの出会いは劇的なものではありませんでした。サッカーやバスケを大学までやっていたので、テレビでフットバッグを見た時に「持ち運びが簡単だな」と思ったのが始めたきっかけ。当時やっていた人の映像が「かっこよく見えない」と感じ、フットバッグはこんなにも面白いのにもったいないと思います。
たとえば、ブレイクダンスやBMXのような世界の土俵に立てないかと頭で考えながらやっていました。始めてから20年の月日が立ち、ようやく同じ土俵にたてることをとても楽しく感じます。
1日何件もパフォーマンスをするなかで、2,000人の観客の前でパフォーマンスをした後、3人だけの子どもの前で踊ることもあります。知っている人が少ないからこそ、フットバッグというひとつのツールとしてやっていけば、どこにいっても戦えるのが楽しいですね。多種多様なジャンルの方とコラボレートするなかで、面白い人が世の中にはたくさんいると実感します。
20年間フットバッグをやっているなかで、今では緊張はしなくなりました。むしろ最近はアウェイを楽しむことに拘っています。まったく知らない場所で「こいつは誰だ」という初心者のような感覚でやる気持ちに立ち返っています。ドMの境地のような感覚ですね(笑)
認知度が低いからこそ、目新しさが魅力的
たまたまフットバッグを始めた1〜2週間後に、ペプシコーラのおまけにフットバックが付いてくるというキャンペーンが行われました。全国のコンビニに行けば手に入る状態となり、テレビでプロモーションを行った結果、フットバッグの人口が増えました。
それまでやっている人は5〜6人くらいでしたが、キャンペーンで何千人と一気に増えました。切磋琢磨する状態が各地で起きていたのは、不思議と自分のなかで苦になりませんでした。
フットバッグの魅力は誰もやっていないことですね。人口が増えたと言っても、他の何かと比べられることはないので、どこかで見たことがあるって言われることはほとんどありません。見ている人からすると、新しいものとして見てもらえるのは私にとって魅力的です。
フットバッグを広めたいという方は、競技としてプレイヤーを増やしたいという思いがありますが、上手・下手の世界になってしまうことに懸念があります。フットバッグを知ってもらうためには、まず自分が世の中に出る必要があると感じています。
苦労した点は、当事者目線とパフォーマー目線が全然違うことでした。どっちかを取るとどっちかを認められないことがあり、自分にうそをついてやっていたなと思い返します。
フットバッグを通じて、多くの人と出会う楽しみ
最初は「こんな人が突然来ちゃったけど大丈夫かな」という空気感から、パフォーマンス後に空気が一変すると楽しいです。フットバッグには「これをしないとダメ」というものがありません。その場で新しいものをつくりたいと思っているので、常にフレッシュです。
認められたいという欲はなく、見ている人の顔をみるのがすごく好きです。皆がワクワクしているのを見るのは面白くて、次はどういう風にしようかと考えます。
普通にかっこいいパフォーマンスの感想は「面白い」「かっこいい」しか出てきません。ただ、私は見ている人にクエスチョンマークを出させたいです。たとえば、やりながら靴を並べていって、椅子の上に乗って落ちている葉っぱを拾って流してみて、最後に出来上がったものをパッと出した時です。
すると、見ている人の顔がみんな違うんです。笑っている人もいれば、感動している人もいるし、めちゃくちゃ考えて「歌詞にどんな意味があるんですか?」という人もいるのが興味深いです。
世の中には面白い人がたくさんいます。「こんな面白い人おったのか!この人すごいな!」と、出会いをどんどん増やしていきたいです。旅人に近い感覚で、フットバッグというパフォーマンスツールを使いながら知らない街に行って、知らない人に出会って、見たことない風景に出会いたい。そして、この人とこの人を会わせてみようかなとコラボを考え、自分がどう関わっていくかにワクワクしています。