ジェンダーを越えた恋愛映画を手掛ける監督がのめり込む映像の世界

朝比奈 けい

朝比奈 けい

2023.06.16
アイキャッチ画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_朝比奈けいさん_映画

数々の恋愛映画をつくり続ける映画監督の朝比奈けいさん。最近のマイノリティの恋愛について、心情の変化を花に例えるなど、繊細に描いた作品が特徴です。映画制作は「感動が身近にある仕事」と語る朝比奈さんに、今後の展望について語っていただきました。

“感動”が近くにある仕事

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私が映像業界を志したきっかけは小学生のときでした。普段あまり感情を表に出さない両親が、24時間テレビのドラマで泣いている姿を見たときに、「人に影響を与えられるってすごいな」と思い、そこから映像の道に進もうと決めました。

映像は高校生のときからつくり始めていて、作品を友達にプレゼントすると泣いてくれたこともありました。「“感動”が近くにあるこの仕事はすごい」と思ってずっと取り組んでいます。

現在は映画の制作会社を経営していて、若者向けの映画作品を20代前半の人たちとつくっています。内容としては、地方創生や地方を盛り上げられるような作品や、最近ではジェンダーを越えた恋愛の作品を制作しています。

元々、起業しようと思って起業したのではなく、たまたまご縁があって会社を経営することになりました。というのも、制作会社に所属していたときに出資していただけるという話があり、法人で銀行口座をつくってほしいと言われたところからのスタートでした。

仕事をしていてキツいと思うときはありますが、それを凌駕する楽しさや、作品をつくっていく過程での人との関係性、見てくださる方々の反応が楽しみで、今もずっと映像をつくり続けています。

想像したものをカタチにする楽しさ

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映像を制作するときの面白さは、想像していたものが現実に繰り広げられるところ。また、色んな人のアイデアを組み合わせていいものをつくるという、クリエイティブなところがすごく楽しく感じます。自分と違う価値観やアイデアが重なる瞬間がゾクゾクしますね。

アイデアを生み出すために意識していることは、相手の背景や、その人の興味関心が何なのかを考えることです。あとは積極的に街に出て情報を収集しますね。特にトレンドがわかりやすいのが本屋さんだと思っていて、そこで流行ものやジャンルを知りによく行っています。

会社を立ち上げて、最初に直面したのがまったく違う考えの人に考えを伝えることの難しさでした。自分が思っている以上に思いは伝わりません。だから、自分が思っている2倍、3倍、4倍くらいにして伝えて、理解してもらうように努めています。

また、間に人を介して伝えるとその瞬間に思いが伝わらないとも感じました。できる限り、どんな人にも自分からお話しをするように心がけています。人との関わりで大切なことは、「人たらし」であることだと思います。大事なところで、ちゃんと「ありがとう」が言えること。助けてもらったり、勉強になったりしたら小さな贈り物をするようにしています。

仕事はチームで取り組んでいますが、そこで大事にしていることは一旦「受け入れる」ことです。そして否定はしないようにしています。なかなかできないと思うこともありますが、そこは努力しています。

今の時代の恋・愛を映画で表現する

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9月頃に新作の映画が公開される予定です。『あの日のアオ』に続く同性愛の話で、今の時代の恋・愛の在り方を表現しています。人が変わっていく姿や、成長が垣間見られる作品になっています。

私の作品では、よく『花』や『愛』がキーワードになっています。よく女性は花に例えられますよね。花は咲いて枯れてしまいますが、枯れてもドライフラワーになって映えることができるという部分もすてきだと思います。輝く瞬間を切り取るという意味で、映画のキーワードとして表現しやすいので使っています。

今回の映画タイトルも花の名前になる予定です。濡れたら透明になる花で、この花を見ると幸せになれるというジンクスがあります。そういうことを踏まえて作品に練りこむことが映画制作のおもしろさですね。

カタチに残るものが宝物だと思うこともありますが、“記憶”として残る映画に自分の作品もなってほしいです。話している瞬間が思い出として残っていき、それが宝物になっていくと思うので、大事にしていきたいと思います。

これからのビジョンは4つあります。まず1つは映画制作での海外進出です。2つ目は地方創生に携わること。私は鹿児島出身なので、地元や地方を盛り上げるようなことをしていけたらと思っています。3つ目は第1次産業への挑戦です。農業などに興味があります。

最後のひとつは、これから撮る『あの日のアオ』の続編が広く知れ渡っていくこと。日本だけでなく、世界に向けて作品を発信していけるようにしていきたいと思います。