トラウマは存在しない?「過去の傷」を「今を生きる力」に変えるマインドセット

あい

あい

2026.03.30
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アドラー心理学を用いた、子育て・起業・自己実現サポートを行う、あいさんの連載コラムです。「幼少期の虐待があったから、今も人間関係がうまくいかない」「過去のトラウマがあるから、恋愛できない」「親に否定されて育ったから、自信が持てない」こうした言葉を、あなたも一度は聞いたことがあるでしょう。そして、もしかしたら、自分自身もそう思っているかもしれません。しかし、アドラー心理学は衝撃的なことを主張します。「トラウマは存在しない」と。これは、過去の辛い経験を否定するのではありません。アドラーが否定したのは、「過去が今を支配している」という考え方(原因論)です。代わりに提唱したのが「目的論」。つまり、「人は、今の目的のために、過去を使っている」という視点。この視点の転換が、多くの人を「過去の囚人」から解放してきました。では、どうすれば「過去の傷」を「今を生きる力」に変えられるのか?アドラーの革命的な思想から学びます。

アドラーが「トラウマは存在しない」と言った真意

見出し1画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_あい_トラウマは存在しない

アドラー心理学を学び始めたとき、私が最も衝撃を受けたのが、この言葉でした。

「トラウマは存在しない」

正直、最初は怒りすら感じました。「何を言ってるの?私は、過去に本当に辛い経験をしてきた。それを『存在しない』なんて…」と。

しかし、アドラーの言葉の真意を理解したとき、目から鱗が落ちました。

アドラーは、「辛い経験があった」という事実を否定しているのではありません。否定しているのは、「過去の経験が、今のあなたを決定している」という考え方なのです。

これを理解するために、まず「原因論」と「目的論」の違いを見ていきましょう。

原因論(フロイト的な考え方):「過去の出来事(原因)が、今の問題(結果)を引き起こしている」

たとえば:
・「幼少期に虐待されたから、今も人を信じられない」
・「過去に失恋したから、今も恋愛できない」
・「親に否定されて育ったから、今も自信がない」

この考え方では、「過去」が「今」を支配しています。そして、過去は変えられないので、今も変えられない。こうなってしまうのです。

目的論(アドラー的な考え方):「人は、今の目的のために、過去の経験を使っている」

たとえば:
・「人を信じたくないから(目的)、過去の虐待を理由にしている」
・「恋愛で傷つきたくないから(目的)、過去の失恋を理由にしている」
・「挑戦から逃げたいから(目的)、親に否定された過去を理由にしている」

この考え方では、「今の目的」が「過去の意味づけ」を決めています。つまり、過去は変えられないけれど、過去の「意味づけ」は変えられる…!だから、今も変えられるのです。

アドラーは言いました。「人は、過去の出来事に『意味』を与える。そして、その意味は、自分で選んでいる」と。

私が「過去の囚人」だった日々

幼少期のある出来事が、ずっと私を縛っていました。友達とお姫様ごっこをして遊んでいたときのことです。私は、その日お姫様役になって、楽しく演じていました。でも、途中で別の子が「私もお姫様やりたい!代わって!」と言ってきました。

私は「でも、私がお姫様だから…」と言いました。すると、その子は怒って、他の子たちに「あの子、意地悪だよ。一緒に遊ばないようにしよう」と言ったのです。

次の日から、私は仲間はずれにされました。誰も話しかけてくれない。一緒に遊んでくれない。あの孤独感、疎外感。私は、心に深い傷を負いました。

そして、大人になってからも、私はこう思っていました。

「私が自己主張できないのは、あのとき仲間はずれにされたから」 「私が人間関係がうまくいかないのは、あの経験があるから」 「私が『ノー』と言えないのは、また嫌われるのが怖いから」

この「〇〇だから、△△できない」という思考パターン。これが、私を縛っていたのです。

そして、アドラー心理学を学ぶ中で、カウンセラーの先生にこう問われました。

「あいさん、もしあのお姫様ごっこの経験がなかったら、今のあなたはどうなっていたと思いますか?」

私は答えました。「きっと、もっと自己主張できて、もっと自由に生きられたと思います」

すると、先生はこう言いました。「では、もうひとつ質問です。その『あの経験のせいで自己主張できない』という考え方は、今のあなたに何をもたらしていますか?」

私は、言葉に詰まりました。そして、気づいたのです。

「あの経験のせいで自己主張できない」と思うことで、私は「自己主張しなくていい言い訳」を手に入れていた。「傷ついた被害者」でいることで、「嫌われるリスクを冒さなくていい安全地帯」にいられた。そして、「可哀想な私」として、「同情」や「配慮」を得られた。

これが、アドラーの言う「目的」だったのです。

私は、「あの経験があったから、今も自己主張できない」と思っているのではなく、「今、嫌われるのが怖いから、自己主張しない。そして、その理由として、あの経験を使っている」と無意識に選んでいたのです。

この気づきは、苦しいものでした。でも、同時に、希望でもありました。なぜなら、「過去のせい」なら変えられない。でも、「今の目的のせい」なら、変えられるからです。

「トラウマ」を手放したとき、私の人生が動き出した

見出し2画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_あい_過去の囚人

私が「過去の囚人」から「今の創造者」に変わってから、信じられない変化が起こりました。

そして、本を出版しました。起業しました。100名以上の方をサポートできました。「私なんて、自分も救えないのに、誰かを救えない」と思っていた私が、です。

何が変わったのか?能力が急に向上したわけではありません。過去が消えたわけでもありません。

変わったのは、「過去の意味づけ」です。

「過去は、私を不幸にするものだ」→「過去は、私を強くするものだった」

この意味づけの転換が、すべてを変えました。

心理学者のヴィクトール・フランクルは、アウシュヴィッツでの体験から学びました。「人間は、どんな状況でも、その状況に対する態度を選ぶ自由がある」と。

そして、アドラーもまた、同じことを説きました。「過去の出来事は変えられない。しかし、過去の意味づけは変えられる。そして、それを変えるのは、あなた自身だ」と。

私は、この真実を体験として理解しました。過去は変えられない。でも、過去を「被害」と捉えるか、「学び」と捉えるかは、私が選べる。そして、その選択が、今と未来を決めるのです。

「過去の傷」に苦しむあなたへ

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もし、あなたが今、「過去のトラウマがあるから、今も苦しい」と思っているなら、伝えたいことがあります。

あなたの辛い経験は、決して否定されるものではありません。それは、本当にあった出来事です。そして、その痛みも、本当のものです。

しかし、その出来事が「今のあなた」を決めているわけではありません。

今のあなたを決めているのは、その出来事に対する「意味づけ」です。そして、その意味づけは、あなたが選んでいるのです。

アドラーは言いました。「トラウマは存在しない。なぜなら、人は過去に支配されているのではなく、今の目的のために、過去を使っているからだ」と。

これは、冷たい言葉ではありません。希望の言葉です。なぜなら、「過去のせい」なら変えられない。でも、「今の選択」なら、変えられるからです。

今夜、紙とペンを用意して、書き出してみてください。

「私が『過去が辛かった』と言うとき、それは何のためか?」 「その過去に、別の意味づけをするとしたら、どんな意味があるか?」

この2つの質問に答えるだけで、あなたの過去は「傷」から「力」に変わり始めます。

トラウマは、存在しないのではありません。トラウマを「今を生きない理由」にするか、「今を生きる力」にするか。その選択ができる。それが、アドラーが伝えたかった真実なのです。

そして、私が体験した真実です。

過去は変えられない。でも、今は変えられる。未来も変えられる。それが、アドラーの「原因論の否定」から学ぶ、最も希望に満ちたメッセージなのです。


【著者プロフィール】 あい / アドラー心理学講師・著者 2児の母。アドラー心理学の実践で、たった3カ月で家族崩壊から家族円満へ変化。2024年起業。「思考のクセ診断」を開発し、100名以上の子育て・自己実現をサポート。関西・大阪万博登壇。国際アドラー心理学会(IAIP ASIA2026)日本代表。10カ月連続ベストセラー著書『アドラー流子育てやってみた』。Instagram: @ai_sensei_0310

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