ジェンダーレス✖️セクシャルプロダクト。持ち運び可能なコンドームケースの開発者が伝える『性』のリアル

橋本 阿姫

橋本 阿姫

アイキャッチ画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム__橋本 阿姫さん_ご本人

橋本阿姫さんは大学卒業と同時に、ニュージーランドへ渡り母子支援活動を行い、帰国後、友人とセクシャルウェルネスブランドCosmosを立ち上げました。現在、ジェンダーレスコンドームケースの企画・販売を行いながら、性教育の講師としても活躍しています。そんな橋本さんに日本における性教育の現状や、今後の展望を伺いました。

学生時代の経験が性に関心を持つきっかけに

見出し1画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム__橋本 阿姫さん_子宮イラスト

現在私は、性教育についての発信や講師業をしています。性について関心を持った最初のきっかけは小学校高学年に遡ります。知人が子宮の病気を持っていたことをきっかけに、婦人科疾患に関心を持つようになりました。

周りからも「少しでもおなかが痛かったら言いなさい。痛いということは少なからずリスクがあって、子宮の異常の可能性もあるから」と言われてきたので、子供を産めるようになるのか不安もあり、自分からいろいろと調べるようになりました。

今の中学生みたいにネットで調べるというよりは、図書館で本を読んだり、保健の教科書で身体のページに誰よりも興味を持つ程度で、深く調べ始めたのは大学生からです。

女性への福祉、母子福祉に支援が届いていない日本の現状をみて、女性ならではの問題をもつ方への福祉サービスを学びたいと思い、大学では福祉学部に入りました。その学部にたまたま、『性科学(セクソロジー)』を専門とする先生が2人いました。これまでの私の経験が先生の言うこととつながって、もっと学びたいと思ったのが2つ目のきっかけです。

性の話って日本ではタブー視されていると思います。「性」って言葉を聞くと私は自分の身体や人生全体のことをイメージしますが、多くの人は性行為と捉えるかと思います。私が伝えている性教育の内容でもあるのですが、性教育は単に生殖のことだけでなく、自分自身を知り、自分のことを大切にできるようになるためのスキルだと考えています。そして、自分のことを大切にできる人は、周りの人のことも大切にすることができると思います。

先生と出会って「相手の価値観を理解しながらあなたの思う価値観を発信すればいい。今まで発信する場がなかったから性がタブーになっているだけ。あなたはそこから女性福祉につなげていきたいんでしょ」と伝えてくれて、その言葉が心に刺さりました。

当然、大学院でもセクソロジーの分野を学ぶ気満々でいたんですが、残念ながら大学院に落ちてしまいました。就活をしていなかったし、私が関心のある性教育を軸としてやっている会社もその時点ではなかったので、就職をしないという選択をしました。

大学院に落ちた理由を先生に聞くと「大学院では文献を読んで学ぶことが多い。けれど、あなたは文章から学ぶより行動した方がいいと思ったから落としました。活動できるフィールドをつくること。そのために動く勇気を持ちなさい」と言われました。

海外インターンを経て、性教育の活動を決意

見出し2画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム__橋本 阿姫さん_ご本人マスク

そこから、性教育やジェンダーが進んでいる海外の現状を一度見てみたいと思い、先生の言葉を持ってニュージーランドに渡りました。

現地では海外インターンとして女性支援のNPOとして活動しました。一緒にインターンをしていたコロンビア出身の子のに言われた「普通に生活できる国で生まれていること自体が幸せなのに、何であなたは好きなことをもっと頑張らないの?」という言葉が強く印象に残りました。

これが先生の仰っていた「活動する勇気を持ちなさい。あなたは何を怖がっているの?」という言葉に落とし込まれたので、行動に起こそうと決意を胸に帰国しました。

性教育って日本ではまだまだレッテルがあります。性教育ってワードが入るだけでお客さんから受け入れてもらえず凹むこともたくさんあります。でも、気持ちが下がっているときに限ってなぜか友人から「望まない妊娠をしてしまってどうすればいいだろう。親にも相談できなくて」など連絡がきます。そんな人がいる限り、正しい情報を伝えていくことが私の使命かなと今は思っています。

具体的な行動としては、昨年からクラウドファンディングを通してコンドームケースを企画・販売しています。新しい商品も考案中で、性教育についてさらに広めていきたいです。

正しい性教育を地方にも広めたい

見出し3画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム__橋本 阿姫さん_書籍など

今後は性教育の講座を地方で行いたいです。地方では性教育に対するタブーがものすごく強く残っています。一方で、早期妊娠や、若い頃に子供を持つ割合は地方の方が高いので、とても矛盾を感じます。

「地方の子はうぶなので、ませた教育は不要」ではなく、どこに住もうと性教育は、その年代の人にとっては必要な情報です。知らないことで困る人もたくさんいます。また、性教育は性行為のことだけでなく、自分自身を知って、自分を好きになるチャンスでもあります。地方に根付いている、性教育へのイメージを180度変えていくことも同時に必要かもしれません。

日本全国どこであろうと、必要な人に情報を届けられるようにしていきたいですね。心からしっかり伝えたいと思うからこそ、特に地方はオンラインではなくface-to-faceを大事にして講座を行う予定です。

メンタルが弱いと思っていても、チャレンジを繰り返すことでどんどん強くなっていきます。みなさんもぜひ「やってみる」ことを大切にして日々を過ごしてみてください。