【現地レポ】有楽町・日比谷エリアに熱狂!第38回東京国際映画祭レポート

豪華なオープニング&クロージング作品
受賞結果と豪華ゲスト
映画人同士の貴重な交流の場
日比谷ステップ広場での屋外上映会も人気

ワクセル 映画 嶋村吉洋 東京国際映画祭
©2025 TIFF

2025年10月27日(月)から11月5日(水)までの10日間にわたり、今年も日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区の各劇場及び施設・ホールを会場にて、「第38回東京国際映画祭(TIFF)」が開催されました。

東京国際映画祭の詳細については、過去の記事でもご覧いただけます。

私も実際に会場へ足を運び、アジア最大級の国際映画祭の熱気を体感してきました。東京国際映画祭は、日本で唯一の国際映画製作者連盟(FIAPF)公認の国際映画祭であり、世界中から優れた映画が集まるアジア映画の最大の拠点へと成長しています。会場となった有楽町や日比谷周辺は、街全体が映画祭ムードに包まれ、国内外の優れた映画と映画人が集まる交流の場となりました。

特に、日比谷ミッドタウンの地下広場では出品作品のポスターパネルが展示され、最新映画を確認しようと一般の方が立ち止まって吟味する姿が見受けられました。

ワクセル 映画 嶋村吉洋 東京国際映画祭

私が会場へ足を運んだ期間では、人々が集うイベントの熱気を間近で感じることができました。

豪華なオープニング&クロージング作品

今年の映画祭も、多彩なラインナップで観客を魅了しました。

オープニング作品は、女性として世界最高峰エベレスト登頂を果たした登山家・田部井淳子さんの半生を壮大なスケールで描く感動の超大作『てっぺんの向こうにあなたがいる』でした。阪本順治監督がメガホンを取り、吉永小百合さん、佐藤浩市さん、天海祐希さん、のんさんなど豪華キャストが出演しています。

ワクセル 映画 嶋村吉洋 東京国際映画祭
©2025 TIFF

センターピース作品には、山田洋次監督の最新作『TOKYOタクシー』が選ばれました。終活に向かうマダムとタクシー運転手の一日の出会いを通し、人生の喜びを謳い上げる感動のヒューマンドラマで、倍賞千恵子さん木村拓哉さんが出演しています。

ワクセル 映画 嶋村吉洋 東京国際映画祭
©2025 TIFF
ワクセル 映画 嶋村吉洋 東京国際映画祭
ミッドタウン日比谷1Fアトリウムで展示されていた『 TOKYOタクシー』劇中タクシー

受賞結果と豪華ゲスト

第38回東京国際映画祭では、注目の賞が発表されました。

最高賞である東京グランプリは、1936年の英国統治下のパレスチナを舞台にした歴史大作『パレスチナ36』が満場一致で受賞しました。この作品は、政治の駆け引きのなかで土地を奪われてゆくパレスチナの人々の民族の覚醒とその抵抗を、スケール豊かに描いた作品です。

また、日本作品からは、中川龍太郎監督『恒星の向こう側』に出演した福地桃子さん河瀨直美さん最優秀女優賞に輝きました。河瀨直美さんは「この受賞を樹木希林さんに捧げる」と発言し、会場を沸かせました。

今年は、世界の映画界に貢献した映画人に贈られる黒澤明賞の受賞者として、李相日監督クロエ・ジャオ監督の2名が選出されました。授賞式は11月3日に東京・帝国ホテルで行われ,、李監督の『国宝』で主演を務めた俳優の吉沢亮さんがサプライズで登場し、花束を贈呈しました。吉沢さんは、李監督の映画に対する覚悟や愛を感じたこと、ジャオ監督の『ザ・ライダー』(2017)に強い衝撃を受けたことを伝えています。

女性陣が華やかなドレスで登場し会場を盛り上げたほか、監督や豪華俳優陣がインタビューやサインに応じるなどの姿が見受けられました。

ワクセル 映画 嶋村吉洋 東京国際映画祭
©2025 TIFF

映画人同士の貴重な交流の場

映画祭期間中は、映画ファンだけでなく、国内外の映画人同士の交流を深める多彩なイベントが実施されました。

国際交流基金×TIFF co-present 交流ラウンジは、映画人同士の交流の場として6年目を迎えました。注目は、センターピース監督である山田洋次監督と黒澤明賞受賞者の李相日監督のビッグ対談、そして、香港映画界を代表する名匠であるピーター・チャン監督のマスタークラスです。さらに、TIFFクロージング作品監督であり黒澤明賞受賞者でもあるクロエ・ジャオ監督と是枝裕和監督の貴重な対談も注目を集めました。

ワクセル 映画 嶋村吉洋 東京国際映画祭
©2025 TIFF

TIFF Ethical Film Award(エシカル・フィルム賞)は、「人や社会・環境を思いやる考え方・行動」に合致する優れた作品を選出する賞で、俳優・歌手・映画監督の池田エライザさんが審査委員長を務めました。池田さんは、この賞を通して「心が救われた」と語っています。

日比谷ステップ広場での屋外上映会も人気

毎年恒例となっている屋外上映会2025は、10月28日から11月5日まで東京ミッドタウン日比谷の日比谷ステップ広場にて、入場無料で開催されました。この屋外上映会は、日比谷の秋の風物詩となりつつあり、公開から間もない話題作(例えば、『ヴェノム:ザ・ラストダンス』)や、人気アニメの特集(『マクロスF』『マクロスΔ』の劇場版など)、周年記念の名作が集結しました。大型ビジョンで映画を楽しむ多くの観客の様子を間近で見ることができ、街全体が映画祭の熱気に包まれていることを実感しました。

ワクセル 映画 嶋村吉洋 東京国際映画祭

このように第38回東京国際映画祭は、豪華な上映作品と多彩なイベントを通じて、アジア最大級の映画祭としての存在感を再び示しました。映画祭の熱気は、レッドカーペットのマルチアングル配信や、各種イベントの模様をまとめた「cyberTIFF Original」を通じて会期中ノンストップで配信され、多くの映画ファンに届けられました。

アジア最大級の映画の祭典として、新たな才能や未知の作品との出会いが詰まった東京国際映画祭。これまで足を運んだことがない方も、まずは日比谷や有楽町の街歩きを楽しみながら、この特別な10日間の熱気に触れてみてはいかがでしょうか。

▼2024年の東京国際映画祭のレポートはこちら