佐藤 友瞭
カメラマン(あるいはフリーランス)

フリーランスの動画クリエイター・カメラマンとして活躍されている佐藤友瞭(さとう ともあき)さん。動画制作をはじめたきっかけや仕事で大切にされていることなど、動画制作にかける熱い想いをお話しいただきました。

僕が中学生・高校生の頃にちょうどHIKAKINさんのようなYouTuberが注目を集め始めたので、学生の頃からYouTubeが大好きでした。特にHIKAKINさんは同じ新潟県出身ということでよく見ていて、そこから他の方の動画も見て「動画って面白いな」と思ったのが一番最初のきっかけです。当時はいわゆるYouTuberと呼ばれる人たちがエンタメを発信したりゲームをしていて、僕もゲームチャンネルが好きでやってみようと思っていたのですが、編集に時間がかかるのでなかなか一歩が踏み出せずにいました。コロナ禍になって時間ができたので、ようやく動画編集を始めました。
コロナ禍当時は大学のテニス部に所属していて、新入生歓迎会ができなくなりました。それで、部活の様子を動画で発信しようという流れをつくりました。例えば、自分の部屋で話して撮影した動画を載せたり、部員に自宅で録ってもらった動画を編集したりしていました。部員のバイト事情について話してもらう、というのもやっていましたね。それがとても楽しくて今の仕事に繋がっていて、かれこれ5年半くらいになります。
最近、ありがたいことに動画編集にチャレンジしたい方からご相談をいただくことも多いのですが、新しく動画クリエイターになりたいという人にはまず、「レゴブロックやMinecraftは好きですか?」と聞きます。僕自身レゴブロックのように、熱中して何かをつくるのが昔から好きだったので、コツコツ地道な努力が必要な動画制作の仕事も好きでやれているという感じです。
動画クリエイターの面白さのポイントとしては2つあります。1つ目は自分なりの完成図を描いて、そこにたどり着くまでの道のりが楽しいこと。住宅でいうところの設計士のような楽しみです。2つ目は答えがないこと。動画って、どんなものでも状況や時代によって正解になり得るのです。時間が経つと答えが変わっていたりして、しかもトレンドによっては数日で答えが変わることもあります。

具体的な仕事としては、大学生時代に不動産のお部屋紹介動画や音楽系YouTubeチャンネルの動画制作などスタートして、SNS運用代行会社の動画制作担当を2年務めた後、今では様々なジャンルの動画の制作をしております。不動産の動画は、大学のテニス部のコーチが不動産会社の社員さんで、売れない部屋を動画で広めて欲しいとお願いされたのがきっかけです。音楽系YouTubeのほうは、アカペラで歌うYouTubeチャンネルのスタッフとしてお仕事をさせていただきました。
最近はビジネス系のお仕事が多いのですが、TikTokなどでよく見かけるような縦型ショート動画も制作しております。縦動画をつくるポイントは、「わかりやすさ」と「情報の入ってきやすさ」です。動画をご依頼いただけるクライアントの方は専門職のことが多いので、クライアント目線で話すと専門用語が飛び交ったりして一般の方には伝わりにくい。そこをできるだけ噛み砕いて、一般の視聴者でも分かりやすく伝える、というのを一番意識しています。
ある程度知識量がないと噛み砕くこともできないので、必要に応じて勉強もします。他にも、ターゲットの潜在的な悩みを書き出すようにしていたり。たとえば、ターゲットが20代の女性だったらどういうことを考えるとか、それぞれの年代や性別などに合わせて様々な種類の悩みがあります。そういう悩みを書き出していくことで見えるものがあったりするので、視聴者目線でどのようなコンテンツがヒットしやすいか考察するようにしています。
クライアントとのやり取り、仕事をしていく上での人との関係性で大事にしているポイントは、動画クリエイターに限った話ではないと思うのですが、お客さんの希望を形にすることです。やり取りの中で「潜在的にどういう目的や意識を持たれているのか」というのを大事にしています。

「動画編集を依頼するより自分で作ってしまおう」という方もいますが、動画編集は一言にまとめると経験則を持っているか持っていないかで大きな違いがあると思っています。SNS上には言語化されていない経験則があります。「こんな感じのものをあげれば何となくバズる」というのは、普段から使っている人じゃないと感覚的にわからないと思います。
あとはコンセプトの作りこみですね。とりあえずYouTubeを始めてみようという人は「何を」ばかり考えがちですが、「何を」だけではなくて「誰が」など、5W1Hをそれぞれ考える必要があると思います。YouTubeでバズっている人たちはこういったコンセプトをしっかりと決めて、ターゲットも絞り込んで作られていますね。
将来的にやりたいことはいくつかあるのですが、まずミュージックビデオを多く作りたいと思っています。今までも何本か制作させていただいたのですが、もともと音楽系の動画制作をやっていたことがあるので、より本数を増やしていきたいと思っています。また、サッカーを見るのも好きなので、動画で何かしらサッカーに関われる仕事があればいいなとも思っています。他にも、新潟出身なので動画で地元に還元できたらいいなと。例えば新潟には美味しい食べ物やまだ知られていない綺麗な景色がたくさんあるので、そういったお仕事にも携われることができたら嬉しいです。