経営者対談

グラビアアイドル・タレント
「倉持由香」× 嶋村吉洋

グラビアアイドルを中心に、タレントや女優としても活動の幅を広げる倉持由香さんにインタビューをさせていただきました。

​倉持さんは、起業家顔負けの分析力と粘り強さで自ら持つメディア(ツイッターやアメブロ)に光を当て、戦略的に仕事を獲得してきたご経験をお持ちです。

そして、9年間という長い下積み時代をご経験なさっていて、その仕事に対する真摯さや情熱は、学ぶべきポイントがたくさんあります。

また、倉持さんが心がける相手に寄り添った情報発信のやり方は、個人が情報を発信していく今の時代にこそ必要なスキルだと感じます。

私たちがより豊かな人生を送るために、自分という商材を売り出すべく圧倒的な努力と継続をされてきた倉持さんから沢山学ばせていただきましょう。

著書や記事を拝見していて、倉持さん自身、とてもストイックに仕事をされる方だと感じました。倉持さんにとっての仕事の醍醐味は何ですか?

倉持:お金を稼ぐことに重きを置いているというか、自分が働いて対価を得るというのは、イコール自分の価値に繋がっています。つまり、自分の価値が可視化されることが魅力だと思っています。

例えば、自分が一時間動いたらこれだけいただけるという、自分の価値がお金になって反映されるのって面白いなって思ったんですよね。ゲームと同じというか。(ゲームっぽく例えると)自分というキャラクターが1回戦闘をすると、これだけゴールドをもらえるんだなと。それがすごく面白いなって思ったんですよね。

私の仕事は歩合制なので、初任給5,000円の時から比べて徐々に貰える金額が上がっていくのが、レベルアップしていく感覚のようで面白いです。

ただ本当は私自身、基本がすごいダメ人間なんですよね。小5からずっと不登校で、同じ場所に決まった時間に行けないんですよ。だから学校に通えなくて。去年も(免許をとるために)自動車学校に通ったんですけれど、5回行って辞めちゃって、35万円無駄にしちゃいました。

グラビアアイドルやタレントの仕事って、毎日違う時間、違う場所だから続けられるのであって、この仕事じゃなかったら働けないと思っています。OLさんのような、毎日同じ時間に同じ場所に行ける方を本当に尊敬しています。

この仕事じゃないとダメ人間になっちゃうから、「意地でもこの仕事で食っていく!」っていう気持ちでやっていますね。

インタビュアー:そのハングリー精神やストイックさは生まれつきですか?

倉持:多分、(家庭が)恵まれていなかったからでしょうね。私が、お金持ちでめちゃくっちゃ美人で、何不自由なく暮らせている状況だったら、のほほんとずっとゲームだけやって生きてきたかもしれないんですけれど、実家は貧乏だし自分で学費を返さなきゃいけないし、色々とあるので「絶対に働かなきゃ!」っていう気持ちがあります。

倉持さん自身、とても成果思考だなと感じます。最初から数字に強く、自分の成果に対して一直線という考え方でしたか?

倉持:学校の教科でいうと完全に文系だったので、数字が特段好きだった訳じゃないんですけれど、仕事に関してはずっと数字を意識していますね。

ツイッターをメインでやる前は、ずっとアメブロに力を入れていて、アメブロランキングや日々のPV数をずっと気にして毎日グラフを付けていました。

PVが伸びそうな投稿ジャンルがわかったら、その記事を多めにしていこうとか、数字に関しては意識してやっていましたね。

書籍でも売り出していく最中に、ランキングを気にしていることを公表するようにしています。「今、アマゾンランキング8位まで来ました!」みたいな感じで、全部言うようにするんですよ。

そうするとファンの方が、「もっと上に押し上げてあげたい」、「もう一冊買おう」、「拡散してあげよう」という気持ちになるので、みんなの力で1位を目指そうと。それはDVDや写真集も全部そうでした。

「アマゾンランキング1位を目指そう!」と、みんなを巻き込んでやるみたいな。

ファンの巻き込み型をすべて企画にしていますね。

お話を伺っていると、周りの方の話題が自然に出されるなど、人への感謝や大切にされているのが伝わってきます。人との関わりについて意識されていることはありますか?

倉持:すべてにおいて、感謝ですね。ずっと9年間、闇……地中にいたので。

本当に、お茶汲みや先輩のマッサージ、荷物持ち、先輩の現場同行をして「担当です」って名刺交換をするぐらいの下積みの仕事と比べたら、どんな仕事でもすごく嬉しいです。

グラビアアイドルとしての駆け出しの仕事に、撮影会があります。撮影会というのは、ファンの方が1時間7,000円くらい払って、一眼レフやデジカメを使って、水着姿やコスプレ姿を撮るイベントなんです。それをだいたい週末に1,2回やるんですけれど、駆け出しのグラドルは撮影会が収入源になるんですね。

みんな「撮影会しかない、やだー!」みたいな感じで言ったりするんですけれど、『撮影会があるありがたみ』。撮影会をさせていただき、そこからどう派生して仕事を増やしていくかを考えられないと、人から愛されるタレントになれないと思うんですよね。

「パチンコ営業しかない」じゃなく、「パチンコ営業をさせていただける」という、ひとつひとつの仕事への感謝と、更にそこからどう繋げるか。

モットーにしているのが、必ず次に繋げる意識を持つことです。本当に駆け出しの頃は、撮影会だけのスケジュールしかありません。

「撮影会からどうやって売れたらいいんだろう。」
「どうやって次の仕事に繋げたらいいんだろう。」

撮影会を撮影会だけで終わらせるのではなく、どうやってグラビアや雑誌の連載の仕事を増やしていくかって考えた時に、撮影していただいたデータを全部いただいて、それをすべて自分でレタッチ(写真加工)して、デジタル写真集みたいなクオリティでアメブロに毎日20枚くらい写真を載せ続けました。

そうしたらアメブロランキングで1位になって、そこからAbemaTVが始まった時にいっぱいお仕事のオファーが入った感じです。

周りに覚えていただいたため、仕事になったんですよね。

インタビュアー:それも先読みをされていたんですか?

倉持:AbemaTVが始まると思ってはいなかったんですけれど、その時はツイッターよりアメブロの人気がすごく高かったので、人気あるメディアで沢山ランキングに入るくらいアクセス数を稼げるようになれば、必ずメディアの目に留まるだろうと思っていました。

グラビアアイドルのブログに、水着写真を載せることは当時主流ではなかったんですが、ファンがまずグラビアアイドルをなんの目的で応援するかと言ったら、セクシーな画像を観たいから応援するのです。

アサイーボウルやタピオカの写真より、水着を載せた方がいいだろうと思い、惜しげもなくアップしていきました。

ユーザーが求めるもの。『自分のファンは何を求めているのか』を考えるようにしていました。

倉持さんはスタッフさんやファンの方からもすごく応援されていらっしゃるように感じます。どういった点が倉持さんを応援していると思いますか。

倉持:私は努力の過程をすべて見せるようにしています。一昔前のタレントさんって、スターというか、キラキラ輝いていて完璧な状態でパッケージされたものがテレビに出てくる感じだったと思うんです。

ここ近年は、路上や小さな劇場から東京ドームという夢に向かって頑張っていく過程がすごく美しくて、弱小校が全国大会で優勝する目標に向かって頑張っているところを、ファンの方も一緒になって、夢を乗せて追いかけているというのが主流になってきました。

私も地中にいる時代から、フォロワー数を増やしたい、どうやったら売れるんだろうなどと、もがいているところを表現するようにしてみました。

継続力がすごいですよね。(何においても)成功するまでの期間がすごく長いので、途中で諦めてしまう人がすごく多いと思うのですが、どうやってくじけずにモチベーション高く保ち続けられましたか。

倉持:成功するまで続けるしかないんですよね。途中で辞めたら、いつまでも成功しないので「成功したかったら続けるしかない!」という感じですかね。

大多数の方が辞めちゃうから成功する方がいる訳で、みんなが成功していたら、成功が一般的になっちゃう。その差って継続できるかどうかだと思います。継続するのも才能です。

継続してもなんで芽が出ないんだろうと思ったら、それは方向性が違うのかもしれないですね。

努力は必ず報われるという言葉の裏には、必ず適正な方向性と、適正な努力の量が必要です。ちゃんと努力の方向性と量があっていれば、頑張れば報われるんですよね。

報われないなって思ったら、方向が違うので、一度立ち止まって方向性が合っているかなど、誰かに聞いて確認したらいいかもしれません。

自分でやっていると、穴を掘り進めても全然違う方向に行ってしまいます。自分でずっと掘っていると、目の前しか見えていないので、(方向性があっているかが)わからないですけれど、上司や関係者ではない方、あるいはレーダーを使って見てもらうと、方向がズレていることがわかる。ちゃんと言ってもらった方がいいと思う。

嶋村吉洋:(倉持さんが成功されるきっかけとなった)客観的に見ていらっしゃるカメラマンさんのアドバイスを受けたことに繋がりますか?

倉持:そうですね。私は、頑張ろうと思っていたけれど方向性がズレていたんだと思います。頑張って(グラビア界の)富士山に登ろうとしちゃっていました。

登れずに樹海で9年も彷徨っていて、カメラマンさんが「もっちーは、その大きなお尻を活かすべきでしょ!でないと無駄尻だよ!」とアドバイスをしてくれたので、「そうか、富士山に登るのではなく自分だけの山を築き上げるのが大事なんだな!」と気付けたんです。それから尻の山をよいしょよいしょと積み上げていった感じですね。

嶋村吉洋:これ、大事ですよね。若い子が起業すると、お父さん、お母さんに相談したりするけれど、「お父さんお母さんに相談したって、まともな意見が来ないよ!」って言うんですけれど、中々伝わらないですよね。

倉持:そうですね(笑)両親に相談するべき時期は、たぶん小・中学生までじゃないかと思います。高校はどこへ行くべきかなど。

もっと成功している人や自分のやりたい分野で成功している人を真似たり、話を聞くほうが参考にはなるかなあ。両親が自分のやりたい分野に精通しているか?っていうと、なかなかそんなことはないので。

両親が進みたい分野に詳しい人だったらいいと思うんですけれど、だいたいお母さんに何か聞いても、「よく分かんないけど、とにかく頑張んなさいよ!」って感じの励ましが来ると思うので。もちろんそれも嬉しいんですけどね。アドバイスを聞く人を選ぶのも大事だとは思います。

女性の中で、男性に頼らずに仕事で成功して稼いでいきたいと思っている人がいます。女性で成功する人の特徴について、倉持さんはどう思われますか。

倉持:みんないい生活を送りたいと思うじゃないですか。その時に誰かにぶら下がって(いい生活を)送りたいのか、自分の足で立ちたいのか、2つに分かれると思うんですよね。

グラドルの中にもIT社長を捕まえたいみたいに思う子もいるんですけど、私は自分の足で立ちたいし、歩いていきたい。

例えばIT社長と結婚して玉の輿に乗っていい生活したとしても、むちゃくちゃ浮気されたらすごく悲しいじゃないですか。生活を維持するために別れられないってなったら、本末転倒です。幸せじゃないだろうなと思います。

だったら苦しくても自分で稼いで自分の足で立った方が、生活の基盤はしっかりします。他者依存の生活を送りたくないんですよね。

誰かがいなくても自分の今の生活を自分の力でちゃんと維持できるような状態にしたいです。私は結婚しましたけれど、夫がいなくなっても今の生活は維持できるというか、金銭的に頼りたくない。一緒にローンを返していこうとかはあるんですけれど、最悪、一人でも返せるので。

嶋村吉洋:倉持さんでこれだけ努力をされているなら、自分ももっと努力をしないとって思います。

インタビュアー:女性に向けてメッセージはありますか?

倉持さん)体力的な面では、(女性は)絶対に男性に劣ってしまうじゃないですか。寝ないで仕事っていっても絶対に限界はきちゃうし。女性ならではの柔らかい感性とか、男性は男性の、女性は女性のよいところがあるし、男性に追いつくんじゃなくて、お互いを活かし合うということですかね。

インタビュアー:自分の強みを活かすということですか?

倉持:はい。自分ならではの自分の強み、女性らしさの強みで稼げたらよくて、無理に張り合わなくてもいいのかなと思います。

インタビュアー:旦那さんと結婚するに至った決め手はありますか?仕事を尊重してくれるとか、応援されている感じがしたとか。

倉持:(旦那さんは)私の仕事にすごく理解があります。まずだいたいの方は妻が尻を出していたら嫌だと思うんです(爆笑)。

交際も10年になるんだけど、付き合っているときからそれは変わっていなくて、「好きなことはやった方がいいでしょう」っていう感じです。

夫も夫で、プロゲーマーっていう職業柄、ゲームが好きだから「ゲームで俺は死ぬ!」と自分の道を歩んでいる人なので、「君は君で好きなことをやったらいいし、俺は俺で好きなことをやるよ。それぞれ自分の好きなことをやっていこう」っていうような考え方です。

夫のご家族も「週プレ(週間プレイボーイ)いっぱい買ったよ!アンケート書いたよ!」ってすごく応援してくださったり、義理の実家がグラビアに理解を示してくれることって中々ないと思います。

私の仕事の中でゲームをする機会もたくさんあって、夫がすごくサポートもしてくれます。グラビアアイドルが結婚って基本マイナスしかないんですけれど、この人と一緒だったら、マイナスもプラスに変えられるかもしれないと思って結婚しました。

想いを伝えるのではなく、伝わるように努力されているのかなと感じます。相手に想いが伝わるようにどういったことを意識されていますか?

倉持:伝わるようにするために、自分の言葉で表現するようにしています。出した書籍もビジネス本ってことだったんですけれど、一般的なビジネス本ってカタカナ語のビジネス用語を使って書かれることが多いんですよね。

私はビジネス用語がちんぷんかんぷんなので、カタカナ語が頭に入ってきません。上辺だけ読んで「なんか私、頭良くなったかも?」って気になっても、全然身になっていません。なので、わかりやすく自分の言葉で伝えようって意識していますね。

例えもそうですね。「地中にいるセミ」や「自分クエストで」など、わかりやすいように、なるべく物事や考えが伝わるように表現しています。そうじゃないと、ただの自己満足になってしまい、伝わらないと本当に意味がなくなってしまいます。本なんて伝わらないとただの紙束になって資源の無駄遣いになっちゃうので、読んだ方に伝わるようにしたいなって思いました。

最後にこれから目指していく若手起業家にひとこといただければと思います。

すごく苦しいことやツライことがいっぱいあると思います。まさに、もがいている最中かもしれません。その時に自分が成功した姿を思い浮かべて、その姿に少しでも近づけるよう「諦めずに継続は力なり!」を続けていって欲しいなと思います。

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