ソーシャルグッドプロデューサー
石川淳哉 × ワクセル
2001年に『世界がもし100人の村だったら』という絵本の広報に携わり、「デザインの力で社会課題を解決すること」を目指して多方面で活躍する石川淳哉(いしかわじゅんや)さんをゲストにお招きしました。
MCは、ワクセルコラボレーターでタレントの渋沢さんと、ワクセルメディアマネージャーの三木が務めています。”ソーシャルグッドプロデューサー”として、たくさんの人に影響を与えている石川さんに、これからの社会課題について、そして私たちが何を意識していくべきなのかについて詳しく伺いました。
社会課題の解決に向けて、「入り口」を作りみんなを巻き込む
渋沢: 石川さんは現在『ソーシャルグッドプロデューサー』として活躍されていますが、どういったお仕事なのでしょうか?
石川: クリエイティブの力を使って社会課題の解決を目指しています。社会課題はたくさんありますが、そもそもどんな課題があるのかに気づいていない人が多いので、まず入り口を作って、みんなを巻き込むようプロデュースする仕事です。
2001年に『世界がもし100人の村だったら』という絵本の広報に携わったことが、大きなきっかけになりました。それまで数多くの広告を手掛けて、ありがたいことに大きな広告賞をもらったこともあり、広告についてやり切った気持ちがあったんです。
そんな時に『世界がもし100人の村だったら』の広報に関わることができ、それを通じて社会課題の解決ができることに自分の脳が喜んでいることを体感しました。これまでの広告の仕事と比べ、圧倒的に仕事の楽しさを感じ、「もっと難しいテーマを扱いたい」究極をいうと「デザインの力で戦争を無くしたい」と考えるようになりました。
『世界がもし100人の村だったら』絵本で社会課題の解決に乗り出す
石川: あの絵本の内容は、もともと『世界がもし1000人の村だったら』という話が題材。非常に長いものだったのですが、わかりやすい入り口にするためにグラフを使った絵本にしました。小学校3年生の女の子にお母さんが読み聞かせるようなイメージで作ったので、ひらがなで書かれています。それまでは社会課題を絵本で解決するといった取り組みはなかったので、新しい試みでしたね。
渋沢: 『世界がもし100人の村だったら』は私も読んだことがありますが、非常にわかりやすい内容で強く印象に残っています。さらに2011年に復興支援情報ポータルサイト『助けあいジャパン』を設立されていますが、こちらではどのような取り組みをされていますか?
石川: 『助けあいジャパン』は、支援したい人がSNSを中心に情報を共有して、助けあうための新しいプラットフォームです。今日僕が着ているベストがユニフォームなんですが、何か災害が起こるとこれを着て被災地に行っています。これを着ていると、被災した人たちに「助け」が来たとすぐにわかってもらえるんです。
東日本大震災が起こった時に、地盤の揺れと同時に”時代”が揺れたことも感じました。2万人が亡くなり大きな経済被害が起こった時に、このまま元に戻ることを目指すのではなく、次の災害発生に備えて、より強靱な地域づくりをしようという「ビルドバックベター」な考え方が必要だと思ったんです。
ビルドバックベターのカギとなるのが”情報の共有”です。『助けあいジャパン』を作ったことにより、支援をしたい人たちがSNSを利用して一緒に情報を集めて、足りないものを届けたり、ボランティアを派遣させたりと、情報のマッチングが実現できました。
2018年に、女性誌を一冊丸ごとSDGs特集に
渋沢: ボランティアの形もどんどん変わってきているのですね。2018年には女性誌で一冊丸ごとSDGs特集をしたことが話題になりましたが、こちらも石川さんが携わっているのですよね?
石川: 2015年にSDGsが国連サミットで採択され、2030年までに17個のゴールと169個のターゲットが設定されました。今では多くの人にSDGsという言葉が知られるようになってきましたが、2018年の段階では女性の認知率がまだ14%くらいしかありませんでした。そういった背景があり 、強い影響力を持つ女性やファッションリーダーたちからSDGsを広めて世間を引っ張っていってほしいと『FRaU』という雑誌で一冊丸ごとSDGs特集を始めたのです。それが現在まで続いて、2021年12月の発行で10号になります。
三木: 雑誌を作るにあたり大変だったことはありますか?
石川: まず、丸ごと一冊をSDGs特集で作るだけの広告主が必要ですし、読んでくれる読者がいるのかも心配でしたね。社会課題の解決に興味のある仲間を集めて、広告主に「みんなで社会課題を解決したいので雑誌に広告を出してほしい」と言うのではなく、「一緒に作りたいからパートナーになってくれませんか?」とお願いしました。
すると、賛同してくれる人たちがいてお金が集まり、無事に雑誌を作ることができました。今後も社会課題を解決していくためのバイブルとして、この雑誌を入り口としてSDGsを知ってくれる人が増えたら嬉しいですね。
みんなで集まって社会課題の解決にあたることが重要
渋沢: 石川さんのお仕事は「届ける」仕事なのですね。2021年にはソーシャルグッドプロデューサーの育成塾を開講されていますが、育てることにも注力している理由を伺いたいです。
石川:
育成塾では、「本気で社会を変えたい」「社会が良くなってほしい」という気持ちをもち、自分がプロジェクトリーダーになりたいと思う人しか採っていません。
全国の自治体、地域プロデューサー、ソーシャルグッドの事業をやりたい方、メディア関係者、高校生など、さまざまな人がいます。
世の中を変えていくためには、ゴールに対して一人で頑張るとか、一社で頑張るのではなく、課題に対して協力できる人が集まり、みんなで解決していくことが必要です。自治体、省庁、大企業、中小企業、ベンチャー、大学、主婦など誰もが協力できるプロジェクトがあれば、お金を出す、愛を出す、勇気を出す、時間を使うなど、人それぞれのやり方で参加ができます。
これを”コレクティブインパクト”というのですが、どうやって仲間を作ってコレクティブインパクトを起こしていくかを学んでもらっています。
一人ひとりの意識が世界を変える
石川: 2021年8月9日にIPCC(気候変動政府間パネル)からある発表がされて、僕は以前の地球とはまったくの別物になったと感じています。
三木: 最新の報告書で「気候変動の拡大が深刻化している」と発表がありましたね。
石川: それまで気候変動は人間のせいかもしれないし、地球のライフサイクルのせいかもしれないと言われてきました。でも8月9日の発表で、産業革命以降の人類の生活が気候変動に影響を与えることが明らかになったんです。
世界中でニュースになっていますが、まだ気づいていない人は多いです。気候変動が人間のせいということは、僕のせいでもあるし、お二人のせいでもあるということです。逆をいうと僕らが何かを変えれば、途端に気候変動をストップできる可能性が広がります。
たとえば電気を作る方法には原子力発電、火力発電、水力発電、再生可能エネルギー、太陽光などがあります。福島の原発が止まっているので、東京では火力発電が使われていることが多いですよね。ただ、世界的にCO2排出削減に向けて動いているなかで、「日本は相変わらず化石燃料だよね」と言われ、COP22(第22回締約国会議)でも、COP26でも言われ続けているんですよ。
若者がこの事実を知り、こぞって家の電気が何を使っているかのかを確認して代えるだけでも、大きな変化が起きるはずです。今まで「自分にとってベスト」という自分主体の考え方の人も多くいましたが、これからは自分と他者、地球が共存していくことを考えていく必要があると思います。
三木: ワクセルはチャレンジする人を応援することをテーマにしていますので、ぜひ石川さんと一緒に新しいプロジェクトを手掛けて、社会課題の解決を進めていきたいです。
石川:
僕は、上手くいかなくてもチャレンジし続ける自分でいれば、未来が開けると思っています。チャレンジして上手くいかなくて、打ちひしがれて諦めてしまう人もいますが、そこで諦めず継続できるような社会を一緒に作っていきたいですね。
■石川淳哉さん
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social good producer 育成塾 第1期生募集(〆切:2022/3/30)
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