株式会社STYLE代表取締役社長
池本誠知 × ワクセル
今回のゲストはプロレスラー、経営者、社団法人の理事、学校の校長など、いくつもの顔を持つ池本誠知(いけもとせいち)さんです。
池本さんはプロの格闘家として活躍しながら、総合格闘技スタジオ『STYLE』というジムを開設。37歳で一度格闘家を引退されましたが、41歳でプロレスラーとして復帰し、今なお現役で活躍しています。
ワクセルコラボレーターの岡田拓海(おかだたくみ)さんと、総合プロデューサーの住谷が、池本さんの経歴や今後の目標について詳しく伺いました。
テレビをきっかけに14歳でプロレスラーを目指す
岡田:本日のゲストは、株式会社STYLE代表取締役社長の池本誠知さんです。池本さんは、2007年に総合格闘技スタジオ『STYLE』を開設。2008年には、DEEP(格闘技の一種)ウェルター級チャンピオンを獲得しました。
2013年にプロ格闘家を引退、株式会社STYLEを設立し、格闘家のセカンドキャリアを応援する事業を開始。そして2017年にプロレスラーとして現役復帰し、2018年にSTYLE高等学院を開校。今なお、“戦う校長”として活躍しています。
さらに2022年5月には著書『一生疲れない体になる ゆる筋の作り方』を出版されました。
住谷:気になることが多すぎて、何から聞いたらいいのか困ってしまいますが(笑) そもそも池本さんはプロレスラーを目指されていたんですよね?
池本:14歳の時にテレビで天龍源一郎さんの試合を見て、魂が震えるくらい感動して、プロレスラーを目指し始めました。プロレスラーになるため、格闘技のジムに行ったり、柔道部に入ったりして、結果的に格闘技のプロとして37歳までずっとやっていましたね。
最初に総合格闘技を目指したのは、僕の師匠に当たるジムの代表に出会ったことが大きかったです。「お前、格闘技のセンスあるからプロを目指さないか?」と言われ、才能あるんだったら一旦こっちでやってみようと思ったのですが、結局のめり込んでしまいました。
でもどこかで「プロレスラーになりたい」という思いがずっと残っていて、引退してからダメージを抜くために4年間ほど休憩して、41歳からプロレスラーになり、現在5年目です。
格闘技で培った人間力を仕事につなげる
岡田:現在はプロレスラー以外にも、ジムの経営などもされていますが、「今何しているんですか?」って聞かれたら、どのように自己紹介されるんですか?
池本:ジムの多店舗経営、学校の校長、社団法人の理事、プロレスラー、この4つが大きな柱です。学校では、通信制の高校と連携したダブルスクールという形を採っていて、格闘技を週に2、3回学びながら、高卒資格が取れるようになっています。
好きな格闘技がいっぱいできて、僕が経営するジムが11店舗あるので、そこでアルバイトをすることもできます。トレーナーの資格を取って、そのまま社員になった子もいますね。
格闘技をやっていると諦めない気持ちとか、継続する力が養われ、『人間力』を上げることにつながっていると思います。でも多くの人が格闘技で学んだ経験を、別のことにうまく置き換えられないんですよね。
たとえばうちの生徒のなかでも、強い子はコーチが見ていないところでも、ひとりでしっかり練習をしています。一方で、弱い子はコーチが見ていないところで手を抜きます。
仕事も一緒で、見ていないところで頑張っている子の方が絶対成長しますよね。そうしてアスリートとして培った人間力や経験を、仕事につなげてあげられるようにしたいんです。
人を喜ばせることが一番の喜び
岡田:池本さんは格闘家としてのキャリアを積み上げてから、まったく経験のないところから経営者になっていますが、なぜ経営にシフトチェンジしたのですか?
池本:32歳で借金まみれになったことが岐路でした。ランクが上がってきて、暮らしを良くしたり、人に奢ったりする機会も増えていきましたが、実際はバイトだけで食べている状態。練習時間が増えるとバイトの時間が減って、生活がどんどん苦しくなって、食べていくには一旦集中して稼ぐ必要があると考えました。
その時にセコンドについている子がたまたま空手の先生をしていて、「空手の生徒が100人いて、これだけの収入があるんですよ。池本さんだったら、こんなにキャリアがあるから格闘技を教えたら食べていけますよ」と言われました。
その話を聞いて一緒に町道場を始め、半年でお客さんを集めて物件を借りました。経営を学んだことはなかったですが、自分が格闘家として勝ち続ければお客さんが増えると考えました。そして予想が当たり、無敗でチャンピオンになった時にお客さんがすごく増えました。引退する頃には2店舗になり、従業員も何人か抱えるようになりましたね。
2店舗でも十分食べていけるようにはなりましたが、格闘技をするなかで自分自身について、大きな気づきがあったんです。やはり一番の目標はチャンピオンになること。僕はチャンピオンになった時のことをよくイメージトレーニングしていたんですね。
チャンピオンになった時にどういう感情になって、お客さんに向かってどんな言葉を話すか、ホテルに戻ってベルトを見ながらシャンパンを飲んで涙を流す。このような事を本当にリアルにイメージして、実際に涙まで流れて、次の日起きた時に昨日ベルトを獲ったんじゃないかって錯覚するくらいでした。
ただ、実際にチャンピオンになった時に、ホテルでベルトを見ても涙が流れなかったんです。「なんで嬉しくないんだろう?」と不思議に思いました。それでも「応援して良かった」「夢をもらいました」「勇気をもらいました」など、そういう言葉がメールでいっぱい届いた時に、涙が止まらなくなりました。
そこで自分はベルトを取って、「みんなを喜ばせたかったんだ」と初めて気づきました。人が喜ぶことが自分にとって一番嬉しいことだと気づき、そういう生き方をしていこうと思ったんです。自分のためにはエネルギーが出ないので、引退後は自分のように困っているアスリートや格闘家を雇用する仕組みをつくっていこうと、店舗を広げて学校も作りました。
レッスンを通じて地域貢献
岡田:店舗を広げていくなかで、うまくいかないことや大変なこともあったのではないですか?
池本:問題だらけでしたね。でも僕は格闘技の試合の時には親に手紙を書いたり、部屋の掃除をしたり、常に死ぬことを覚悟していました。
そんな風に命を懸けてきた人間が、ビジネスでちょっとしたことで挫けることはないですよ。強い相手と闘うのと一緒なので、そういう気持ちでやれば問題なんて大したことではなかったですね。
店舗を拡大していくと「すごい」と言ってもらえるので、一時期100店舗を目指していたこともありました。自慢したいという自我が芽生えてしまったんでしょうね。でもそれって本当に良いことなのかと、改めて考え直しました。
本当に価値があって必要とされる店舗だったら、誘致されるし勝手に広がるはずです。それならば、拡大するより価値を上げていこうと方向性を変えました。まずは店舗を出している地域の区役所など、地域の困りごとがわかるところに行って、何ができるか聞くことから始めましたね。
現在はシングルマザーの方を集めたレッスン、コロナの影響で増えた引きこもりの方を呼んだレッスン、市のイベントで60、70代の方に向けたレッスンもさせてもらっています。
地域のためにもなりますが、そういう場に社員やスタッフが行き、指導することで、自分が世の中の役に立っていると気づくことができます。役に立っている実感を持つことで、視座が高まり、社会貢献をしようと我々の成長にもつながっています。
健康寿命を延伸させるためのデバイス開発
岡田:地域の人々の役に立ち、さらにスタッフの意識も高めることができているのですね。プロレスラー、経営者、教育者など色んな顔を持つ池本さんですが、今年の5月には本まで出版されています。「筋肉は鍛えなくていい」という帯の言葉にインパクトがありますよね。
池本:僕はプロレスラーなので鍛えまくってますけどね(笑) そうはいってもジムを経営するなかで、筋トレやウェイトトレーニングを一般の方がやるのはハードルが高いと感じています。
続けられないお客さんをたくさん見てきて、もっと簡単にできるトレーニングを紹介したいと思ったんです。姿勢を起こしているだけで重力に逆らったトレーニングになるので、重いものを持って鍛えることをしなくてもいいよということを書きました。
住谷:人に喜ばれることをして、色々な人とコラボレーションしていくってことがワクセルの目的なので、ぜひ一緒に何かやれたら嬉しいです。個人的には、痩せるための何かがあれば是非お願いします(笑)
岡田:トレーニングの内容も拝見して、すごくわかりやすく簡単なものばかりだと感じました。これだけ多方面で活躍する池本さんが、次にどんなことに挑戦するのかが気になります。
池本:世の中の人口分析からすると、2025年に人口の半数が50歳以上になるそうです。今も問題になっていますが、医療費や介護費の増大がより大きな問題になってきます。
そのため、現在50歳以上の方の健康寿命の延伸を目指して、立命館大学とオムロンヘルスケアさんと協力して一緒にデバイス開発をしています。そのデバイスから得たデータを健康寿命の延伸に結び付けて、キックボクシングのクラスを大阪発でつくり、全国に広げていくことが今の目標です。
■池本誠知さん
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著書『一生疲れない体になる ゆる筋のつくりかた』
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