経営者対談

映画コメンテーター
「LiLiCo」× ワクセル

王様のブランチで映画コメンテーターとして活躍されているLiLiCoさんにインタビューさせていただきました。

2019年9月には著書『遅咲きも晩婚もHappyに変えて 北欧マインドの暮らし』(講談社)を出版されるなど、芸能界で確固たる地位を築かれていらっしゃいます。

ハーフ芸能人がまだマイナーな時代から、努力で登り詰めてきたLiLiCoさんだからこそ語れる仕事論や人生論が詰まった内容となっていますので、ぜひ最後までご覧ください。

最後は「人」で繋がっていることが大切

インタビュアー:LiLiCoさんが仕事において大切にしていることは何でしょうか?

LiLiCo:「最終的には人」ということですね。今、新型コロナウイルスで飲食業界が大変なことになっています。でも、うまくいっている飲食店もある。何が違うのかというと、人と繋がっているかなんです。私の研究では。

例えばお店・お客さん、お互いの連絡先を知ってるとか。そうするとネット予約と言うよりも日頃から電話で直接連絡をしていることが多い。直接やりとりできるのが人で繋がっているお店。

私の家の近くにも、そういう居酒屋さんがあって、テイクアウトを始めたって聞いたんですよ。なぜそれを知ったかと言うと他のお客さんとも繋がってるから。よっし、家で美味しい料理が食べられる、「やったー!!」と思いました。普通はテイクアウトを始めても、ネットで発信したり番組に取り上げられない限り、なかなか情報が伝わらない。だから人で繋がっているということが大事なんです。

もう1つ、映画コメンテーターとしてお話させていただきますね。私には色々な俳優の友達がいますが、その中には映画が公開になった時だけ連絡してくる人がいるんです。「映画公開になったから取り上げてよ!」みたいな・・・(笑)

一方で、いつも連絡をくれる子もいます。「元気?」とか、「LiLiCoが紹介していた映画、面白そうだったから今日観てきたよ!」と自分が全く関係ない映画の話をしてきたり。そういうのって可愛いじゃない?来る子は可愛いのよ。子供も一緒でしょ?「ママー!」って来るから可愛いの。若手の役者さんとかが「お腹減ったー!」って来てくれたら嬉しいのよね。だから、出てる映画も紹介したくなっちゃう。これが人で繋がっているってこと。

なので、困った時だけ連絡するのではなく、いつもコミュニケーションをとるのが大事。何もない時に連絡来ると嬉しい。私も「コロナ大丈夫?」とか「旦那さん元気?」って気遣ってもらうと嬉しいから、「じゃあ、今度集まるときはこの人たちを呼ぼう」ってなります。わたしからももちろん連絡しますよ。

新人と見られるのは2年目まで。3年目からは何を発信できるかが勝負

インタビュアー:芸能界の中で誰もが知る存在になれた、一番の原因を伺わせてください。

LiLiCo:芸能界って売れるか売れないかなんですよ。どちらがいいですか?売れた方がいいですよね。だからそのために努力しました。マジメにやってたらこうなったんですよ、マジメにやらない人がいるから。お笑い芸人がコンテストで優勝して、「俺たち面白いよね!番組出てるだけで面白いぜ、うぇーい!」ってやってると、私の研究では1年8か月で消えます。

スポーツ選手でアナウンサーやキャスターとして成功している人っていますか?

一同:分からないなぁ・・・

LiLiCo:何人かはいますよ。でもパッと浮かんで来ないというのはそれだけテレビって難しいからです。撮影中どこを見て話せばいいのか分からなかったり、内輪ネタで盛り上がったりする人もいる。それではテレビじゃ通じない。芸能界にはいろいろな暗黙のルールがあるので、消えていくスピードは早いんです。

バラエティーの世界でいうと、最初の2年は周りが助けてくれます。お笑い芸人は特に助け合いの文化があって、ちょっと失敗したなと思ったら、ドカンと別の笑いに変えてしまいます。ただ、3年目からは自分が何を発するかで、残れるか残れないかが決まります。私もお弁当屋さんで働いていたころは、アイディアを出していました。例えば、高野豆腐を絞る仕事を与えられたときは、こうやったらもっと華やかになるんじゃないかなど、提案をしました。与えられた仕事だけをやるんじゃなくて、何か発信することって大切なんですよね。

なので、「俺ら面白いでしょ?」「私出てるだけでいいんでしょ。」って態度だと何も仕事は来ないですよ。だって、そこにはテレビの画面には見えてないスタッフがいるんだから。打ち合わせで聞いてるのかどうか分からない人と、仕事したいと思わないですよね。バラエティーでも企業でも、「石の上にも3年」なんて言いますけど、ほんと3年目がとても重要になってくると思います。「3年目の浮気」というのもありますし(笑)

一同:爆笑

LiLiCo:3年までは新人なんですよ。だから、色々許される。私も3年までは「だって、まだ日本に来て3年だもんね。それは日本語分からないよ」って言われました。ところが、突然4年目から「え、4年もいるのになんでそんなに日本語下手なの?」って言われるんです。

ハッピーは勝手にやってこない。自分で楽しくする

インタビュアー:LiLiCoさんってすごいハッピーそうだなと思うのですが、自分をハッピーにするコツはありますか?

LiLiCo:楽しくするんですよ、自分で。勝手にくるハッピーはひとつもないよ!「よし今日は痩せよー!」ってジョギングしても、だいたい一歩目で足ひねるもんね。「ジョギングできないじゃん!太るわー!」みたいな(笑)

いいことなんて全然ないんですよ。だから自分で作るんですよ、楽しいことを。なんでみんなハッピーじゃないかっていうと、みんな待ってるから、ハッピーを。待っていてもハッピーは来ませんよ!

緊急事態宣言が解除されましたが、私は個人的にホームパーティーなどは控えてるんですね。でも、「あの人元気かな?」「あの人に会いたいな」と思ったら、リモートでも電話でも会えます。「元気かなーと思って」って言われたら相手はハッピーじゃないですか。このコロナの間に、自分にとって誰が大切かってみんな分かったと思いますよ。自分の携帯の履歴を見れば分かるんですよ。誰に1番電話してるかとか、誰と1番リモートしてるかとか。

私のおばあちゃんは94歳で亡くなったんですが、おばあちゃんがいつも「駅から家まで毎日違う道で帰ってごらん。」って言ってたんですよ。そうすると、「この小さな細い道にパン屋さんができた、なるほど食べてみよう。めちゃくちゃうまかった!」みたいな発見があるんです。逆でもいい。「ネットにパン屋さんができたと載っていた。評判がいい、行ってみよう・・・、さほどでもない。」それでいいんです、ひとつの知恵だから。ここにきれいな花が咲いてるとかでもいい、そういう発見がハッピーに繋がるんです。

私すごい感動したことがあったんですよ。昨日シシド・カフカちゃんがVOGUEっていう憧れの雑誌のWEBページで「カッコいい女性とは何?」という質問に答えていて。「今置かれている状況は完璧ではない、望んでる状態ではないけど、その中でベストを尽くす女性はカッコいい。夏木マリさんとLiLiCoさんみたいに。」って書いてあったんですよ!

一同:おおー!

LiLiCo:「ええー!やっべ!!」ってそこだけ写メって送ったんだけど。本人はわかってるよね、本人がしゃべったんだから(笑)まさか名前を出してくださるなんて、しかもそれを雑誌のライターがちゃんと文字にしてくれるなんて。私には一切確認の連絡はなかったので、完全にサプライズでした。

自分はカッコいいと思って生きてる訳ではなくて、なんとか自分の人生を素敵なものにしようとして必死に生きてるだけ。でも、それを誰かが見てくれている。しかも女性がカッコいいと憧れるシシド・カフカちゃんにカッコいいって言われたら、それはハッピーですよ。

おじいちゃんとおばあちゃんが手をつないでるだけでも、微笑ましいじゃないですか。こういう小さなことでも嬉しいですよね。だから電車の中とかでも人を見ちゃいます。みんなスマホばかり見てるから幸せが見えてないけど、パっと顔を上げると、しわしわのおじいちゃんとおばあちゃんが仲良くしてたりするんですよ。

「電車の中で、ニヤニヤしてる人がいて気持ち悪かったよ。」っていう人がいますけど、私そういう人大嫌いです。だって良いことがあったんだから、ちょっとぐらい笑顔になったっていいじゃない!楽しいことがあって思い出してるんだから。すぐ人を気持ち悪いとか、人を悪く言うとか、その人の良い所をなんで見つけようと思わないのかなって。そんなに自分に自信がないのかなって・・・、なんか残念ですね、今の世の中は。

仕事も子育ても、しっかりコミュニケーションを取ることが大切

インタビュアー:人と一緒に仕事をするときに大事にしていることは何ですか?

LiLiCo:もちろん人の言うことも聞きますし、自分が思っていることも言います。それをうまく融合させて、成立すればいいなと思うけど・・・。私は人に厳しいです。ただ、自分にもっと厳しい。めちゃくちゃ厳しいですよ。もうね、見たら怖くて倒れちゃうと思う、泣いちゃうよみんな!

1回、自分に怒ってる時に鏡で自分を見たんですけど、「おおっ!!」ってなりましたもん(笑)うまく話せなかった日とか、噛んじゃいけない所で噛んだ日は、自分に怒鳴ってます。「だから売れねーんだよ」「だから仕事ないんだよ」って。

スウェーデンではミスがあったときは、みんなで集まってコーヒー飲みながら、何が今回悪かったのかを話し合います。もしかしたら1人の人がミスしたかもしれない。そうしたら、その人がもう1回やらないようにするし、他の人も同じミスをしないようにしなければいけない。話し合うこと以外ないです。で、ちゃんと理由を言ってください。ここが日本人にちょっと欠けてるところかなと思いますね。

子育ても一緒です。「ダメです!」だけじゃ分からない。「足をバタバタしたらダメです!」それじゃ通じないよ。バタバタしたら前の人が迷惑するんだよってことを言わないと。子供って声大きいじゃない。笑い声も大きい。それが人によっては迷惑だって分からないんだから、ちゃんと1個1個理由を説明してあげないと。

だから若者相手で分からないことがあると「え、教えて私に。その理由が分からないから」って聞きます。教えてって言うとちゃんと説明してくれる。学生も学生の中での考え方があるから「なんでなんで?」「どうして?」とか聞きます。

人と仕事するときは、お互いの得意不得意を知って活かし合う

LiLiCo:主人も私も人の顔を覚えるのが苦手なのね。でも最近まで日本人は日本人の顏を覚えやすいと思い込んでいたの。日本人って「俺のこと覚えてるだろ」とか「俺のこと覚えてないの?」っていう人が多いのね。ちょっとイラっとする。なので、最近は「えーっと・・・、抱きましたっけ?」って聞きます。「すみません、抱いてないんだったら覚えてません」って(笑)

この間初めて知ったんですよ。主人も人の顔を覚えるの苦手って。あ、なんだそうだったんだーと思って。じゃあ、それも覚えておこうってなりました。そうすれば主人が目の前の人を覚えていなくても、「あー鈴木さん、お久しぶりですね!どこどこの鈴木さん、ちょっと久しぶりですよね!」とか言えるじゃない。そうやって主人が思い出せるように、ちょっとお手伝いできるじゃないですか。

「この前結婚祝いにプリザーブドフラワーもらって、いつもテーブルの上に飾ってるじゃない・・・、その牧野さんですよ!」みたいな。お手伝いできることっていっぱいあると思うのね。できることできないこと、みんなに得意不得意があって、なんでもできる人はいない。舞台に立ってる人でも歌えない、踊れない、でも芝居は完璧。そういうのはあるので、会社の中でも何が得意で何が不得意かお互いによく知って、得意な人に得意なことをやってもらえばいい。

10年後、主人が所属してる「純烈」が活動しているかは分かりませんが、少なくとも主人はやってないんじゃないかなと思う(笑)。ファンは悲しむかもしれないけど。何があるか分からない。主人は手先が器用で、ブロックとかデザインとか絵が完璧なの。だったら私の会社の社員として入れて、給料が発生するようにして、Tシャツとか私のグッズとか、新人の衣装をデザインするとか。

そういう風に目の前の人が何が得意かを知るのはとても大事だけど、無口だったり自分はこういうのできますと言わない人もいる。だったら、ふとした落書きだったり字がきれいだねとか、そういうのでもいいのね。じゃあ「うちのレストランのロゴ書いてくれない?」とか得意分野を活かしてあげられる。

あとは、独立するときに応援されるか。独立するときは別れ際が大事。独立してうまくいくタレントとうまくいかないタレントがいる。失礼な辞め方だったら芸能界は消されますよ。どんな会社でも、最初の話に戻りますが、繋がっています。人で。たから去り際も大事なの。

少しでも可能性があるならまずやる。待っていても仕方がない

インタビュアー:これからチャレンジする若手の起業家に向けて、一言お願いします。

LiLiCo:ひとつだけね・・・。まずやるってこと、待たずにやる。なんかね待ちすぎですよ、みんな。みんな待ってばっかり。いいなと思ってちょっと可能性が見えるならやりましょう。さらに言うと、人と違ったことだったらもっといい。人と似たものをやっちゃうとうまくいかない可能性があるので。燃えている人は魅力的!

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