【現地レポ】日本人監督の作品が銀獅子賞を受賞!ヴェネチア国際映画祭2023
- ストライキの影響を受け、例年よりも多様性のある作品が注目された
- 滝口竜介監督が手にした、日本人として黒澤明監督以来の快挙
- 映画芸術に特別な貢献をした方に贈られる「生涯功労金獅子賞」を受賞したアジア俳優
- 観客との距離が近く、オープンな映画祭
ストライキの影響を受け、例年よりも多様性のある作品が注目された
世界三大映画祭のひとつであるヴェネツィア国際映画祭が8月30日に開幕しました。今回、第80回目の開催を迎え世界最古の歴史を持つ、ヴェネツィア国際映画祭に私は行ってまいりました。
▶️ヴェネツィア国際映画祭の解説記事はこちら
今回のヴェネチア国際映画祭は、全米脚本家組合と全米映画俳優組合が行ったストライキの影響で、ハリウッドスターの欠席が相次ぎ、参加者が限定的となりました。
一方で、地元イタリアをはじめとした欧州勢の作品が増加したと共に、世界各国から多様な作品が集まる映画祭になり、多様性のある作品に溢れました。
これは、欧米以外の日本、アジアなどのその他の国々の映画業界からすると、カンヌ国際映画祭、ベルリン国際映画祭と並ぶ世界三大映画祭のヴェネチア国際映画祭を通じて、さらに注目を浴びるきっかけになったとも言えますね。
滝口竜介監督が手にした、日本人として黒澤明監督以来の快挙
今回のヴェネチア国際映画祭では、滝口竜介監督の作品である『悪は存在しない』が最高賞の金獅子賞に次ぐ銀獅子賞を獲得しました。
ヴェネチア国際映画祭で、日本人監督が銀獅子賞を受賞するのは、2020年の黒澤清監督以来です。
また、濱口竜介監督はカンヌ国際映画祭とベルリン国際映画祭、米アカデミー賞でも受賞しており、世界三大映画祭とアカデミー賞で主要な賞を受賞するのは、日本人では黒澤明監督以来の快挙で、日本人として誇らしい限りでした。
もともと日本の映画業界で高く評価されていた濱口竜介監督ですが、海外での評価や、国際的な映画祭で複数上映されるのは日本の映画業界や映画ファンにとっても喜ばしい事柄でしたね。
映画芸術に特別な貢献をした方に贈られる生涯功労金獅子賞を受賞したアジア俳優
また、日本人以外にもアジアの映画俳優が手にした快挙があり、香港の俳優トニー・レオンが生涯功労金獅子賞を受賞しました。
さらに、この受賞は、華人俳優として初めてのヴェネチア国際映画祭生涯功労金獅子賞受賞という非常に栄誉な出来事になったようです。
今回の映画祭の組織委員会からも「アジアと世界にまたがるスター」と称されたトニー・レオン、そして、銀獅子賞を受賞した日本人監督の濱口竜介監督らアジア出身の俳優が世界から高い評価を受けることは、アジア圏、そして日本の映画界の今後に期待が膨らむ結果となりましたね。
観客との距離が近く、オープンな映画祭
ヴェネチア国際映画祭は、レッドカーペットが会場内にあり観客との距離が近いので、映画ファンの方々が待ち構え、祝福をしている様子が見られました。
招待状が必要なカンヌとは異なり、ヴェネツィア映画祭はとてもオープンな映画祭でした。ヴェネチアに住んでいる方々も気軽に映画を観に来ていたり、カジュアルに触れられる映画祭と言われるのがわかりました。
また、学生もプレスの上映回が見放題など優遇が受けられることから、学生を大事にしている映画祭だと感じました。ヴェネチア国際映画祭の開催期間は夏休みの最中で、学生たちにとっても時間を気にせず、映画に触れられるのが、イタリア映画界の素晴らしさでもありますね。
以上、2023年ヴェネチア国際映画祭の現地レポでした。またヴェネチアに行けることを楽しみにしています。