どこまで知ってる!?ハリウッド映画の祭典・アカデミー賞

誰もが知っている「映画の祭典」
アカデミー賞の対象は?オスカー像って何?
成り立ちも面白い!最初はわずか5分の表彰式
過去最多は11部門同時受賞!アカデミー賞史に残る3作品
ノミネート作品への審査基準
過去に日本作品も多数受賞。有名なのは…

誰もが知っている「映画の祭典」

アカデミー賞は、毎年アメリカのロサンゼルスで開催される世界最大クラスの映画のお祭りです。普段から映画を観ない方でも、「アカデミー賞」という言葉を一度は耳にしたことがあると思います。

「アカデミー賞受賞」や「アカデミー賞ノミネート」といったフレーズは、今や「全米No.1」と同じぐらい有名な映画の宣伝文句かもしれません。実際、映画の広告やポスターに「アカデミー賞」と書いてあると、なんとなく面白そうと感じませんか?

しかし、アカデミー賞という文字を頻繁に目にすると、「いったいアカデミー賞って何なんだ!?」「なんでこんなに賞がたくさんあるんだ?」と不思議に思うこともあるでしょう。

そこで今回は、世界的にも飛び抜けて有名なアカデミー賞の実態について、詳しく解説していきます。

ワクセル(主催:嶋村吉洋)の映画サイト アカデミー賞 紹介

アカデミー賞の対象は?オスカー像って何?

1番に知っておくべきポイントは、アカデミー賞は主にアメリカ映画の表彰式ということです。

基本的にはアメリカ映画を対象とした賞であって、選ばれる対象作品も「過去1年以内にロサンゼルス地区で上映された作品」と限定されています。

さらには監督、プロデューサー、俳優、撮影や編集などの映画関係者で構成される『映画芸術アカデミー』の会員投票によって受賞作品が決められます。そのため、「ハリウッドの映画関係者による業界内で完結したお祭り」と揶揄されることもあります。

この点において、アカデミー賞は映画の祭典ではあっても、応募された作品を公平な基準で審査する国際映画祭とは一線を画してます。

しかしアカデミー賞は、カンヌ・ヴェネチア・ベルリンの三大映画祭より知名度が高く、歴史的にも古くから開催されているため、映画マーケットへの影響力は絶大なものがあります。アカデミー賞にノミネートされたり、または受賞したりすることがあれば、作品の興行成績が大きく跳ね上がることは間違いありません。

ちなみにアカデミー賞を受賞すると、賞の名称を刻印したオスカー像と呼ばれる金メッキの人型の彫像が贈られるのですが、副賞や賞金の類は一切ありません。それでも受賞したという経歴は、映画作品は当然のこと、受賞した俳優にとっては終生残る功績になるため、受賞することが最大の栄誉と言えるでしょう。

ワクセル(主催:嶋村吉洋)の映画サイト アカデミー賞 紹介

成り立ちも面白い!最初はわずか5分の表彰式

アカデミー賞は、1929年に「アメリカ映画の健全な発展を目的として、監督・俳優・スタッフを表彰し、その成果を讃える」ことを目的として第1回が開催されました。

当時は現在のようなショー形式ではなく、映画関係者が集まって開かれた晩餐会でのプログラムの1つとして、わずか5分程度で受賞者の表彰が行われたという記録があります。

ワクセル(主催:嶋村吉洋)の映画サイト アカデミー賞 紹介

第2回から地元ラジオ局による実況が行われ、アメリカ全国で放送されたのは第17回からです。

一説によると、戦争で前線にいる兵士たちに少しでも娯楽を送るために、エンターテイメントの要素を強めて変わっていったと言われています。

テレビ中継が開始されたのは、第25回の授賞式から。余談ですが、このとき中継していたテレビ局のNBCは、アカデミー賞の中継で過去最高の視聴率を記録したそうです。

現在、授賞式はハリウッドのドルビー・シアターという場所で行われています。しかし、会場の収容人数が約3,400席にもかかわらず、それ以上の映画関係者が参加する大きなイベントになっているため、規模に対する会場のアンマッチが問題となっています。

近い将来、会場が変わってよりスケールの大きな授賞式になる可能性もあるかもしれませんね。

過去最多は11部門同時受賞!アカデミー賞史に残る3作品

ひと言でアカデミー賞と言っても、その種類は多岐にわたります。 映画広告で「アカデミー賞3部門受賞」などと書かれている「部門」のことですね。

 創設当初からあるもの、長い歴史の中で新たに追加となったもの、逆に廃止となったものなどさまざまですが、現在は以下の23部門に分かれています。

  • 作品賞
  • 監督賞
  • 主演男優賞
  • 主演女優賞
  • 美術賞
  • 撮影賞
  • 脚色賞
  • 音響賞
  • 短編アニメ賞
  • 歌曲賞
  • 作曲賞
  • 編集賞
  • 助演男優賞
  • 助演女優賞
  • 視覚効果賞
  • 脚本賞
  • 国際長編映画賞
  • 衣裳デザイン賞
  • 短編映画賞
  • 長編ドキュメンタリー賞
  • 短編ドキュメンタリー賞
  • メイクアップ&ヘアスタイリング賞
  • 長編アニメ賞

一般的に、アカデミー賞作品といえば「作品賞」を獲得したものになります。作品賞は、アカデミー賞において最重要かつ最も注目される部門で、作品自体に賞が贈られます。直近では『Coda コーダ あいのうた』が2022年の作品賞を獲得しています。

もちろん1つの作品が複数の部門を同時に受賞することがあるため、その場合に「3部門受賞」といったように受賞数が宣伝に使われます。

ちなみに90回を超えるアカデミー賞の歴史のなかで、以下の3作品が、最多の11部門を同時に獲得しています。

  • ベン・ハー(1959年)
  • タイタニック(1997年)
  • ロード オブ ザリング/王の帰還(2003年)
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ノミネート作品への審査基準

アカデミー賞の候補になるためには、いくつもの基準と審査をクリアする必要があります。

その条件とは(長編アニメ賞、国際長編映画賞、ドキュメンタリー映画賞、短編映画賞などの賞を除き)原則として前年の1年間において、

  • ロサンゼルス近郊の映画館で、連続で7日以上上映された
  • 最低1日に3回以上上映された
  • 有料で公開された
  • 作品の長さは40分以上
  • 劇場公開より前に、テレビ放送、ネット配信、ビデオ発売などで公開されていない

といったものがあります。

これらをすべてクリアした映画作品がアカデミー賞に出品され、「ノミネート審査」の対象となり、映画芸術アカデミー会員で投票資格がある約9,500名の審査によって、およそ5%の支持を得た10作品程度が、アカデミー賞の「ノミネート作品」となります。

審査対象となる作品の数は膨大になるため、最近ではハリウッドの各映画会社がアカデミー賞候補になりそうな作品を、審査期間の終了間際の時期を狙って公開する傾向があるそうです。

前年の1年に公開された映画であることが条件のため、年初の1月〜3月ごろに公開するよりも、10月〜12月に公開した方が審査員の印象に残りやすいという戦略とも言われています。

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過去に日本作品も多数受賞。有名なのは…

アカデミー賞はアメリカ映画の祭典とお伝えしましたが、過去には日本の作品もアカデミー賞を受賞しています。

特に日本映画の巨匠として知られる黒澤明監督はハリウッドでの評価も高く、日本人として最多の受賞歴を持っています。

他にも過去にアカデミー賞を受賞した日本の代表作品は以下の通りです。

  • 第24回(1951年):『羅生門』(黒澤明監督)- 名誉賞
  • 第27回(1954年):『地獄門』(衣笠貞之助監督)- 名誉賞、衣装デザイン賞
  • 第28回(1955年):『宮本武蔵』(稲垣浩監督)- 名誉賞
  • 第48回(1975年):『デルス・ウザーラ』(黒澤明監督作)- 外国語映画賞
  • 第75回(2003年):『千と千尋の神隠し』(宮崎駿監督)長編アニメ映画賞
  • 第81回(2009年):『おくりびと』(滝田洋二郎監督) – 外国語映画賞
  • 第94回(2022年):『ドライブ・マイ・カー』(濱口竜介監督)- 国際映画賞

これ以外にも日本人や日本の会社が科学技術賞、衣装デザイン賞、作曲賞などを受賞した経歴もあり、日本映画がアメリカで確かな足跡を残しています。

よろしければこれを機会に、アカデミー賞を受賞した映画として、過去の受賞作品を観てみると面白いかもしれませんね。

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