映画好きなら知っておきたい!カンヌ国際映画祭とは

ライター情報:石井亮

親が映画通であることから幼少期より映画が好きで、大学生のときは1年間で150本鑑賞。部活動を通して自分で映画製作を行い、脚本・撮影・編集(約1時間・2作品)を担当する。カリフォルニア大学留学時に「映画の都」であるハリウッドを訪れ、スターの手形を目に焼き付けて以降、いつかハリウッドスターに会えないかと夢見ている。好きなジャンルはSF映画(広義)。

映画祭のほかにも魅力がたくさん。カンヌってどんな街?

カンヌはフランス南東部の都市で、プロヴァンス=アルプ=コート・ダジュール地域圏、アルプ=マリティーム県に属します。

一般的にカンヌ国際映画祭のイメージが強い場所ですが、地中海沿岸のコートダジュールに面した高級リゾート地であることから、フランスで有数の観光地でもあるんですよね。

代表的なスポットが、ラ・クロワゼット通り(Bd. de la Croisette)。2kmにわたって伸びる大通りで、世界中から集まる有名人が宿泊する超高級ホテルをはじめ、ブティック、レストランなどが並びます。

カンヌ国際映画祭はラ・クロワゼット通りにある会場で行われますが、その建物はパレ・デ・フェスティヴァル(Palais des Festivals)と呼ばれています。訪れた映画スターの手形を会場広場の前で見ることができるほか、カジノや劇場まであります。

ラ・クロワゼット通りは、このようなホテルや建物をみることができる一方、反対側では一面にきれいなビーチが広がり、眺めを堪能できる散策路もあるんですね。

ワクセル(主催:嶋村吉洋)の映画サイト カンヌ国際映画祭

世界中が注目するカンヌ国際映画祭とは

毎年5月にカンヌで開催されている国際映画祭で、ベルリン国際映画祭、ヴェネツィア国際映画祭とあわせて世界三大映画祭のひとつと称されています。第1回は1946年開催です。

ベルリン国際映画祭の解説記事はこちら

ヴェネツィア国際映画祭の解説記事はこちら

審査員は著名な映画人や文化人によって構成され、世界中のマスメディアが注目する大きなイベントです。

特筆すべき点は、「世界三大映画祭と世界三大マーケットが同時に開催される場所」という意味では、世界の映画祭のなかでもカンヌだけだということです。世界でも最大規模の映画見本市と呼ばれる「マルシェデュフィルム(Marché du Film) 」は、非常に知名度の高いイベントです。

カンヌ国際映画祭といえば、メディア映像で見る「レッドカーペット」というイベントも印象的です。ドレスコードが厳しいことでも知られている映画祭で、ドレスにハイヒールの女性、タキシードの男性といった正装が好まれる傾向にあります(近年は性差別につながる批判があることから、ドレスコードは強制しないとも言われています)。

プロデューサーや俳優をはじめとした数千人の映画製作者のほか、バイヤーやメディアも注目する世界的イベントなんですよね。

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世界で活躍。日本は過去に5作品受賞!

では、日本映画のパルム・ドール(最高賞)受賞作品は過去にどれくらいあるのでしょうか。

衣笠貞之助監督の『地獄門』(1953年、受賞は1954年)、黒澤明監督の『影武者』(1980年)、今村昌平監督の『楢山節考(ならやまぶしこう)』(1983年)と『うなぎ』(1997年)がパルム・ドールを受賞。近年では是枝裕和監督の『万引き家族』(2018年)が受賞して計5作品。特に『万引き家族』は2018年なので、記憶に新しい方も多いかもしれません。

ちなみに、最高賞受賞記録は最多でも2回。達成しているのは8組のみで、今村昌平監督もその内のひとりです。こうして見ると、世界の映画のなかでも日本映画は引けを取らない存在だということが分かります。すごいですよね。

2021年のパルム・ドール受賞は?

2021年はどのような作品が受賞したのでしょうか。

ちなみに最高賞の「パルム・ドール(Palme d’Or)」とは、英語では「Golden Palmae」、つまり「黄金のシュロ」「黄金の椰子」を意味しているとのこと。カンヌ市の市章に描かれているナツメヤシ(シュロ)の葉のことを指しています。

パルム・ドールをはじめ、2021年のコンペティション部門受賞作品は以下の通りです。

パルムドール(Palme d’or(金賞)) 『ティターヌ』 ジュリア・デュクルノー
グランプリ『ア・ヒーロー』 アスガー・ファルハディ
『コンパートメントNo.6』 ユホ・クオスマネン
監督賞レオス・カラックス 『アネット』
審査員賞『メモリア』 アピチャッポン・ウィーラセタクン
『アヘッズ・ニー』 ナダブ・ラピド
最優秀脚本賞 『ドライブ・マイ・カー』 濱口竜介・大江崇允
最優秀女優賞レナーテ・レインスベ 『ザ・ワースト・パーソン・イン・ザ・ワールド』
最優秀男優賞 ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ 『ニトラム』

ちなみに、「セザール賞」という賞もよく聞きますが、こちらは、アメリカでいうアカデミー賞にあたるもの。フランス映画芸術技術アカデミーが主催しているもので、カンヌ国際映画祭とは別です。

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カンヌ国際映画祭そのものが舞台になった映画がある?

カンヌがロケ地となった映画やドラマってあるかと調べてみたところ、カンヌ国際映画祭そのものが舞台となった作品がいくつかあるみたいです。『山田孝之のカンヌ映画祭』は、2017年にテレビ東京系において全12話で放送されたドキュメンタリードラマ。

ご参考:山田孝之のカンヌ映画祭

こちらの作品は、「モキュメンタリー」というジャンルに属するようです。「フィクションを、関係者の証言やインタビューなどを交え、いかにもドキュメンタリー風に表現する手法」のことを意味します。

カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞したいという思いから、製作に取り掛かるというストーリー。まさに「カンヌ国際映画祭」にフォーカスした代表作品といえますよね。

他にも、 Mr.ビーン劇場版の2作目である『Mr.ビーン カンヌで大迷惑?! 』(2007年) やブライアン・デ・パルマ監督の『ファム・ファタール』(2002年)なども、同じくカンヌ国際映画祭を舞台としています。

実は世界初の映画はフランスだった!?

さて、映画の世界でフランスといえばどのようなイメージでしょうか?

商業的な観点から娯楽作品が好まれるハリウッド映画よりも、芸術性や革新性を問う映画が多い傾向にあるのか、日本でフランス映画にとても明るい人というのは少ないのではないでしょうか。

しかし、注目すべき点があります。実は映画発祥の地は、アメリカのハリウッドではなく、フランスなんです。「映画発明者」や「映画の父」とも呼ばれているリュミエール兄弟、彼らが1895年12月28日に公開した実写映像『工場の出口』こそ、世界初の映画と言われています。

箱のなかで動いている絵をのぞき込む装置である「キネトスコープ」は、すでにトーマス・エジソンによって発明されていましたが、今ある映画のようにスクリーンでみるようになったのは、フランスの発明だったわけですね。とはいえ、当時は46秒の短編であり、白黒・無声の物語。当時はそれでひとつの物語を創造したんですね。

その時代から多くの映画関係者の弛まない努力によって、現代に通ずる魅力的な映画が出来上がっていったのです。

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ライターから一言:カンヌのホテルで映画を観たい。

今回はカンヌ国際映画祭についての解説でした。調べてみると、意外と知らなかったことも多かったりしますよね。

世界初の映画を製作したフランスで、非常にきれいな観光リゾート・カンヌのホテルに泊まり、その地から世界を震わせた映画作品の鑑賞に浸る。

そんな豪華な一日も過ごしてみたいですね。

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