食べると幸せになる「宮崎みかん」の生産者が描く夢とは

弓削 勇雄

弓削 勇雄

column_top_YugeIsao

宮崎県でみかん農園を営む株式会社グリーンフィールドアグリジャパン代表取締役・弓削勇雄(ゆげ いさお)さん。こだわりを持ったみかんの作り方、自社のみかんの美味しさの秘密や今後の展望などを伺いました。

他にはないオリジナル商品を含め5種の魅力的なみかんを生産

見出し1画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_弓削勇雄_オリジナル商品

私が運営する弓削ふぁーむでは中晩柑(ちゅうばんかん)と呼ばれるみかんを作っています。当農園の主力商品は『ユゲポン』『陽南姫(ひなひめ)』『はるみ』『アンコール』です。中でもイチオシは不知火(デコポン)という品種を、化学肥料を使わずに独自で栽培した『ユゲポン』という品種になります。酸味、甘みのバランスが良く、コクがある味わいが特徴です。デコポンはJAが商標登録を取っているので、『ユゲポン』という名前でブランディングするために商標登録を取得しました。

もうひとつ私たちのオリジナルブランドのみかんが『陽南姫』です。こちらははっさくと温州みかんの掛け合わせでできているので、爽やかでジューシーな味がクセになります。うちの農園にしかないオリジナル商品で、もともと名前がなかったので私の娘の名前から取って名付けました。

『はるみ』は酸味が少なく、甘みが強いのでお子様に人気です。果肉がプリッとしていて食べ応えがあるのも人気の秘密ですね。

『アンコール』は私が小さい頃から40年以上作り続けています。キングマンダリンと地中海マンダリンの交配で生まれた希少な品種で、せとかの親品種です。酸味もありながらとにかく濃厚な甘みが特徴で、完熟マンゴーと同じくらいの糖度があります。皮が厚いのでりんごの皮を剥くのと似たような食べ方をします。爽やかな酸味で果汁たっぷりなので、おやつに食べることが多いです。

すべての品種で特徴が違うので、我々の農園のみかんだけでも味わいの違いを楽しんでいただけるので、詰め合わせで購入されるお客様が多くいらっしゃいますね。

市役所勤務から就農して過酷な環境に耐えながらみかん作りに勤しむ

見出し2画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_弓削勇雄_過酷な環境

父の代から現在の農園をスタート。祖父の代は林業を営んでいたので、父は林業をやりながら農業をしていました。私が就農したのが4年前の2022年3月。そこから農業は私が担当し、父が山の管理をしています。私は小さい頃から休みの日になるとみかんの収穫の手伝いに行っていましたが、農業を仕事にしようとは思っていませんでしたね(笑)。高校卒業後、日南市役所(旧北郷町役場)に入庁して、企画課・観光課・農政課などさまざまな業務に携わりました。コロナ禍でみかんが売れずに大量廃棄をするという苦しい状況を目の当たりにして、自分で販路を開拓しなくてはいけないなと感じて就農を決意。農業を儲かる産業にしないと継続できません。

山の上に農場があるので、冬場は気温がマイナス5度になる日もあります。当農園は全国的にも珍しく薪のボイラーで加温しているんです。ハウスが3つあるのですが、それぞれに薪のボイラーを設置しています。もちろん重油も使用しているのですが、0度になると重油が動き出すので、それまではできるだけ薪で温めるようにしているんですよ。昔から自分のところの山で出る廃材を薪に使用してきました。薪で温めた方が自然の温もりを感じてもらえるのかなと思っています。何時に気温が0度になるかで変わるのですが、0度になる1時間前から火をつけて、2時間おきに朝方まで薪をくべに行かなくてはなりません。冬はかなり過酷ですね。天気予報を注意深くチェックして、何かあればすぐに出動できる状態にしておかないといけないので、自衛隊のような気持ちでみかんを育てています(笑)。氷点下の日が続くと農園に泊まり続けなくてはなりません。日中に薪を取りに行って、夜は薪をくべ続けてと気を抜けませんね。

こういった苦労を乗り越えて収穫の時期になると本当にやっていてよかったなと感じます。収穫が終わると木の剪定をして古い枝を切るのです。そこからまた花が咲いて実が付くのですが、また実がなるのを見ると生命の力強さを感じますね。ご購入いただいたお客様から「ありがとう」「美味しかった」というお声をいただくとやはり嬉しいです。

食を通してみんなを幸せにする!夢は『農業のテーマパーク』を作ること

見出し3画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_弓削勇雄_農業のテーマパーク

私の夢は『農業のテーマパーク』を作ることです。私の小さい頃の経験からこの夢が来ていると思います。私の小さい頃、家は決して裕福ではありませんでした。ただ、私が自分の家を貧しいと思ったことは一度もありません。今になってそれはなぜかなと考えたときに理由が2つあります。

1つ目は家業が農家なので食べ物には困らなかったこと。田舎なので、ご近所の方との物々交換がありました。お金がなくても満足できるまでご飯が食べられるわけです。2つ目は家族が愛情にあふれていたことですね。『農業のテーマパーク』では未来ある子どもたちを食で元気にできたらなと思っています。食べ物の作り方が学べたり、食べ物を自分たちで育てて食べたりできて、1日中遊べて食べられるという環境を作りたいですね。
直近では、会員制のオンラインショップを作ろうと思っています。食糧難が起こったときには会員には食料を届けられるようにしたいです。テーマパークができたら会員は無料で楽しんでもらえるようにしたいですね。今はみかんだけを生産していますが、今後は放牧や畜産など違う分野に取り組んでいって一年中楽しめるテーマパークを作ります。