シルクロードの恵みを日本へ届ける——寧夏(ねいか)から始まったクコの実の物語

徐 爽

徐 爽

column_top_(Xu Shuang)

D2Cブランド「JoJo Herb & Wellness」の立ち上げに取り組んでいる徐 爽(じょ そう/Xu Shuang)さん。ブランド立ち上げのきっかけと、第一弾となるストレートジュースの材料であるクコの実の魅力についてお話を伺いました。

手軽にクコの実の栄養を摂れるストレートジュースの生産へ

見出し1画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_ 徐 爽さん

私がいま扱おうとしているのは、自分の故郷である中国西北部・寧夏(ねいか)回族自治区の特産品、「クコの実」を使ったストレートジュースです。寧夏産の赤いクコの実は、中国では古くから生薬として用いられ、伝統的な本草書や、現在の『中国薬典』にも「薬用クコ」として記載されています。これを日本の方々にも届けたいと考え、日本への輸入・販売を決めました。

この取り組みのきっかけは、私自身の経験にあります。私は20代後半から40代まで半導体業界で働き、多くのエンジニアの方々と接してきました。仕事中はもちろん、プライベートでもPCやスマートフォンの画面を見続ける生活が、すでに当たり前になっている方がほとんどでした。現代社会では、慢性的なストレスを抱えている人が多いと言われています。実際、体調を崩す方も少なくありませんし、私自身もその一人でした。デジタル機器が生活の一部となった社会の中で、どうすれば本来の身体のリズムを取り戻せるのか——そう考え始めたことが、今回の取り組みの原点です。その点に着目したときに思い浮かんだのが、故郷で昔から親しまれてきたクコの実でした。

中国では、クコの実は特別なものではなく、日常的に摂られるスーパーフードです。もともとは中高年層を中心に親しまれてきた食材ですが、近年では健康やライフスタイルへの意識の変化により、若い世代の間でも人気が広がっています。一方、日本ではクコの実は「杏仁豆腐にのっているもの」という印象が強く、栄養価や日常的な使い方はあまり知られていません。

乾燥したクコの実は、食べにくいと感じる方も多いようです。料理にするかソースにするか、どうすれば美味しく食べられるのかがわからなくて食べづらいのではないでしょうか。また、クコの実はもともとみずみずしいのですが、日本に入れるクコの実は乾燥した状態にしかできないので、その過程で栄養素が減ってしまう点も気になっていました。さらに忙しいサラリーマンの方々にとって、自分で調理する時間を確保するのは簡単ではありません。そこで私は、「飲む」という形に可能性を感じました。日本にはもともと健康ドリンクの文化が根付いており、生活の中に取り入れやすい。クコの実本来の栄養を、できるだけ自然な形で届けるには、ストレートジュースが最適だと考えたのです。

スーパーフードとして知られ漢方辞典にも載っているクコの実の魅力

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クコの実には、赤と黒の2種類があります。 ――それぞれにどのような違いがあるのでしょうか。

赤のクコの実はポリフェノールが豊富で、酸化や老化を抑える働きがあるとされています。目の疲れに良いとされているルテインやゼアキサンチンが含まれています。また、クコの実に特徴的な成分である枸杞多糖 (LBP、ゴジベリーポリサッカライド)には、抗酸化作用に加え、 免疫バランスや抗糖化への期待から注目されています 。こうした特性から腎臓や肝臓に関わる素材として、漢方の分野で用いられてきました。血行を促すとされることから身体を温める素材としても親しまれており、中国では女性が冬やお腹が痛いときにクコの実をお茶に入れて飲んだり、料理に入れてお粥にして食べたりします。また、男性も体調管理の一環として、お酒やお茶に入れて取り入れています。 鉄分や亜鉛を含む点も、特徴のひとつです。 

一方、今回私が輸入する黒のクコの実は、濃い紫色が特徴で、 アントシアニンを多く含み、ブルーベリーと比べて数倍から十数倍程度含まれているとも言われています。  赤いクコの実も黒いクコの実も目に良いのですが、それぞれ成分が違います。赤は枸杞多糖によって肝臓を通じて目を支えるのに対し、黒はアントシアニンによって目や肌を外側からサポートします。アントシアニンには美肌やエイジングケアへの期待もあり、黒いクコの実はいま中国で関心を集めています。 さらに、栽培できる地域が限られ、収穫量も少ないため、希少性が高く、赤いクコの実に比べて高価とされています。 

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産地にもこだわりました。

赤いクコの実は寧夏が一番有名で、標高1,000メートルを超える高原地帯にあります。日照時間が非常に長く、黄河流域という地理条件もあり、中国ではワイン産地としても知られています。黒のクコの実は、青海(チンハイ)などチベットに近い高地で育ったものが良いとされています。今回クコの実のストレートジュースをつくるにあたり、日本で私しか販売できないメーカーと契約を結びました。寧夏の中でも20年以上安定して製造しているメーカーで、約9万平方メートルの製造拠点を持っています。クコの実のストレートジュースはワインのつくり方と似ていて、木から新鮮な果実を採ったらすぐに工場に入れて圧縮して、果汁をとって濃縮還元をせずに6時間以内に殺菌して包装します。工場自体にも研究室があって、現代の医学的なエビデンスを研究するためにいろいろなことをしています。

クコの実のさらなる認知拡大のために

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日本では、クコの実自体は乾燥品などを中心に一定の認知がありますが、ストレートジュースとしての商品はまだ少なく、市場でも限られた数のブランドしか見かけません。今後の活動としては、インターネットを使って広げていくこと、そして、BtoBのチャネルを掴んで広げていきたいと思っています。日々勉強をして情報をアップデートし、今後も新たなアイデアを出し続けていきます。クコの実を、現代社会人の生活リズムに合った形で届けること。それが、私がこの取り組みを通じて実現したいことです。

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