「当たり前」を疑うことから始まった、福祉の未来への挑戦

株式会社WiiB代表の糸日谷直樹(いとひや なおき)さんの連載コラムです。医療・介護・福祉の現場では、多くの専門職が利用者のために日々向き合っています。一方で、長年の経験や制度の中で「仕方がない」と受け入れられてきたこともあります。私が出会った足こぎ車いすCOGY(コギー)は、そんな福祉の常識を問い直し、新たな可能性を示してくれる存在でした。
「仕方がない」の先に、本当に答えはあるのか

医療介護福祉の現場で感じたこと。
多くの専門職は、
- 安全を守る
- 生活を支える
- 制度の中で最善を尽くす
という役割があります。
しかし、一方で現場には、
「年齢だから仕方ない」
「障がいがあるから難しい」
「制度上できない」
という言葉も存在します。
もちろん、それぞれには理由があります。
でも私は営業という仕事を通じて、別の視点を学びました。
それは、
「できない理由を探すのではなく、課題を解決する方法を探す」
という考え方です。
営業とは、モノを売る仕事ではない。
その人や組織が抱える課題に対して、解決する手段や仕組みを届ける仕事。
この視点が、私の福祉への向き合い方を変えました。
車いすの概念を覆した、足こぎ車いすCOGYとの出会い

そこで出会ったのがCOGYでした。
一般的な車いすは、
「移動を補助するもの」
という認識があります。
しかしCOGYは違いました。
足でペダルをこぐことで、自分自身の力で前へ進む。
それは単なる移動手段ではなく、
「自分で動けた」
という経験を生み出すものです。
実際に、
「これは車いすなのか?」
という議論が生まれるほど、従来の福祉用具の概念とは異なる存在でした。
制度上の分類や既存の枠組みだけでは説明しきれない。
だからこそ、多くの方に知っていただく必要があると感じました。
常識を変えるには、まず知ってもらうことから

革新的なものでも、知られなければ存在しないのと同じです。
COGYは介護保険や障がい福祉制度の一般的な枠組みとは異なる部分があります。
そのため、
「良いものだから自然に広がる」
とは限りません。
必要なのは、
- 正しく理解してもらうこと
- 体験する機会をつくること
- 支援者や地域を巻き込むこと
でした。
その第一歩として挑戦したのがクラウドファンディングです。
一人の想いだけではなく、多くの方の共感によって未来をつくる。
この挑戦を通じて、私は改めて感じました。
社会を変えるのは、特別な誰かではなく、可能性を信じて行動する人のつながりなのだと。