自己肯定感ゼロからパリコレのランウェイへ。世界を目指すモデルが歩んできた軌跡
現役モデルでありながらモデルのスキルアップを目指す専門学校『Y’s academy』の代表を務める渡辺由梨佳さん。本コラムでは、渡辺さんがモデルになった経緯や仕事に対するこだわり、新たなことにチャレンジする原動力について伺いました。
自己肯定感を高めたフランスでの留学経験
私がモデルを目指し始めたのは、22歳の夏でした。もともと私は自己肯定感がかなり低くて、自分の容姿に自信がありませんでした。自分は人間のヒエラルキーの最下層にいると、ずっと思い込んでいたのです。
大学3年生の時に就職することを考えたくなくて、逃げ道として1年間フランスに留学しました。留学先では、自分が嫌いだった容姿や性格が評価をされる経験をたくさんしました。この経験で、持っているものに価値があると感じられるようになり、自分に対する価値観が激変したのです。
日本に帰国した私は、卒業までの半年間でアルバイトを探すことにしました。求人雑誌をめくっていたところ、エキストラ募集の文字が目に留まり、なにも無いと思う今の自分でも何かできるのでは?と未知の世界に挑戦してみる軽い気持ちで応募してみました。
驚いたことに合否の連絡を受けた際に「あなたはエキストラではなくモデルをやるべきだ」と言われました。これが私のキャリアにおける大きな転機となりました。
企業に就職する道と。モデルとしての道で10年後の自分を想像してみたら、モデルとして活動している自分に対して誇らしく感じました。そこで私は、夢に向かって踏み出す決意を固めたのです。
目指すはパリコレ!挑戦し続けて可能性を見せる存在に
負けず嫌いの性格もあって、せっかくモデルになるなら頂点を目指したいという思いがあります。私が考えるモデルの頂点として当時見据えたのはパリコレ(パリ・ファッション・ウィーク)でキャリアを形成することでした。そこから、パリコレモデルになるための道のりが始まったのです。
モデルという職業を続けていられるのは、単に憧れたからだけではなく、人生設計のための最適な手段だと考えたからです。モデル活動を通して、「誰もが可能性に満ちている」ということを実感しているように、どんな職業を選んでも自分の人生は自分でつくれることを伝えていきたいと願っています。
自らが挑戦する姿を見せることで、昔の私のように自己肯定感が低くても挑戦してみる勇気になればと考えています。かつて命を断つことを考えた私ですが、結局誰しもが死ぬのだから、何度でも挑戦し続けることが大切だと思います。
毎年新たな挑戦をして、失敗しても何度でも立ち上がれることを学びました。今でも失敗して落ち込むことも多々ありますが、そうした瞬間こそ、生きる意味を見出せるのだと思います。そうして少しずつ自分と向き合い受け入れることが、本当の意味で自己肯定感と上手に付き合うということではないかと思っています。
夢は「自分の名前が教科書に載ること」
長年のモデル活動から私なりのノウハウやスキルを伝えられると思い、モデルスキルが学べる『Y’s academy』を設立しました。自分が求めていたものを形にして、それをみんなにも共有することで、一緒に成長できる場にしたいと考えています。
ここで学んだスキルを発表する場として『Japan Fashion Tour』を2023年12月に開催しました。日本に新たな舞台をつくることで、私もまだまだ現役でランウェイを歩きたいと思っています。自分が求めていることが、世の中の一人でも多くの人が上手に使ってくれたらと思っています。
夢を実現するには”覚悟”が必要です。決めたことを実行に移し、周りにも宣言することで、自分の決意を固めていきます。幸運にも良い環境と機会に恵まれているので、感謝の気持ちでいっぱいです。
私の最終目標は、自分が教科書に載ることです。自分の活動を通して、多くの人が道を見つけて歩んでいける環境を、できるだけたくさん提供し続けたいと思っています。