銀座から人形町へ、そして未来へ!“人”で勝つ飲食経営

株式会社WAKUWAKU F&D DINING

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銀座で30年のキャリアを築き、ミシュランの星も獲得した飯田さん。叔父の急逝という試練を乗り越え、「人が主役」の信念で銀座・人形町に多彩な店を展開しています。若手育成や社会貢献にも尽力する彼が語る、飲食業のリアルと未来へのビジョン。その挑戦の軌跡についてお話を伺いました。

受け継いだ暖簾、広がる挑戦!銀座から始まった飲食人生

見出し1画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_飯田太輔_始まった飲食人生

私が飲食の世界に入ったきっかけは、いとことの挑戦でした。約30年前、叔父が銀座で洋風居酒屋を営んでおり、「一緒にやらないか」と声をかけていただいたことが始まりです。当初はいとこと叔父の三人で始めましたが方向性の違いから退くことになり、気づけば私だけが残りました。簡単に辞めるわけにもいかず、20代半ばで料理長や店長を任され、現場で鍛えられる日々が続きました。

2000年には、和食を学び直したいと思い、改めて三人で銀座に和食居酒屋を開きました。しかし2002年、叔父が急逝します。突然の出来事でしたが、「ここで止まるわけにはいかない」と、いとこと2人で店を守る決意をしました。同年、銀座一丁目で寿司店を開業。若き職人が握り、私はホールに立ちました。洋風居酒屋、和食居酒屋、寿司店の3業態を同時に運営する挑戦でした。やがて職人の独立などもありましたが、店は成長し、2018年に銀座七丁目へ移転。6席のカウンターの小さな店へと形を変え、翌年にはミシュラン東京で星をいただくことができました。規模を追うのではなく、本質を磨く。その決断が実を結んだ瞬間でした。

その後、天ぷらや揚げ物を中心とした和食業態にも挑戦しました。いとことは事業を分け、それぞれの強みを活かす形にしました。私は人形町でイタリアンも手がけ、寿司は客単価4万円、イタリアンは1万円前後と明確なポジションを築いています。揚げ物の店ではソースを使わず、素材に合わせた味付けで提供し、既存の枠にとらわれない挑戦を続けています。

店を開けなければゼロ!飲食業の現実と向き合う

見出し2画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_飯田太輔_飲食業の現実

飲食業は面白い反面、厳しい世界です。店を開けなければ売上はゼロ。100か0かという構造です。コロナ禍を経て、その現実を痛感しました。若い頃は怖さより勢いが勝っていましたが、今は慎重さも必要だと感じます。家賃、人件費、原材料費は上がり続け、価格転嫁も簡単ではありません。

働き方も変わりました。かつては朝から深夜まで働くのが当たり前でしたが、今は集中して質を高めることが大切だと考えています。寿司店は夜1回転が基本で、一斉スタートも行いません。多くの店が2回転制を取る中、私たちはお客様の時間を尊重します。6席のカウンターであっても、急がせることなく、その方のペースで楽しんでいただく。それが信頼につながると信じています。

コロナの影響もあり、人形町のイタリアンでは家族連れや記念日利用が増えました。コースだけでなくアラカルトも充実させ、ふらりとワイン1杯でも立ち寄れる店にしています。揚げ物の新業態では、若い職人がカウンターに立ち、5席の小さな空間でお客様と向き合います。串揚げの概念を覆す構成で、約20品を提供します。設備や人材を活かしながらも、既存店と競合しない形を模索する。そこに今の挑戦があります。

店の先にあるもの――次世代と未来へのビジョン

見出し3画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_飯田太輔_次世代と未来へのビジョン

今後の目標は、店の拡大だけではありません。もちろん、売上が伴えば移転や新規出店も考えています。しかし同時に、店を閉めても価値が生まれる仕組みを作りたいと考えています。長期休暇を取り、スタッフと旅行に行けるような余白を持ちたい。そのためには、飲食以外の発信や仕組みづくりが必要です。

また、月に一度、児童養護施設を訪問しています。子どもたちと触れ合い、料理を通じて笑顔を届ける時間です。江戸川区の施設では幼い子どもたちも多く、純粋な反応に心を打たれます。将来「寿司職人になりたい」と思う子が1人でも生まれたら、これほど嬉しいことはありません。そのために、より大きな店を持つことが意味を持つかもしれません。

自分の名前で店を構える責任は重いですが、その分、覚悟も違います。1人の職人に依存しすぎない体制を整えながら、若い世代にチャンスを渡す場を作る。飲食は人が主役の仕事です。だからこそ、人を育て、人とつながる未来を描きたいと思っています。銀座から始まった私の挑戦は、まだ道半ばです。これからどんな出会いがあり、どんな店が生まれるのか。変化を恐れず、誠実に、そして楽しみながら歩んでいきたいと考えています。

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