エンタメやスポーツで国民を豊かな生活に導く政治家に転身した元格闘家の思いとは

ワクセル編集部

ワクセル編集部

2025.07.03

元格闘家として活躍し、現在は政治家として世直し活動中の須藤元気(すどうげんき)さん。格闘家から政治家を目指したきっかけや現状の日本の課題と、須藤さんが目指す政治家像までを伺いました。

海外のバンドマンを感じさせる斬新な格闘家としてデビュー

16歳・高校1年生の時に漠然と政治家になりたいと思っていました。小さい頃から多動でよく先生や周りの大人に怒られていて、ちょっとだけヤンちゃな時期もあったんですよね(笑)。その頃に指導してくださった方が「あなたの目にはまだ光があるから」と言ってくれたんです。そこから、私のように失敗した人や挫折した人、そして弱者がもう一度、未来やチャレンジできる社会にできないかと考えるようになりました。そこで『政治家』というワードがぱっと思いついたんですよね。

政治家になるには『三バン』が必要だと言われます。『地盤・看板・カバン』のことです。そこでまずは何かで名をあげて有名になることで、その後に政治家に転身しようと考えて、出て来た選択肢が格闘家かミュージシャンでした。もちろん、将来、政治家になりたいというのが強い目的でしたが、まだ若かったですからモテたいという思いも少しはあったかもしれません(笑)。高校時代はバンドブームもあって音楽をやっている人は周りに多かったのですが、格闘技をやっている人はいませんでした。総合格闘技のブームが来ると感じてレスリングを始めたんです。

そのあと実際に総合格闘技が人気となり、高校2年生でプロの格闘家になろうと決めて、21歳で実現しました。日本で何かのチャンピオンになってから総合格闘技界に行こうと思い、高校ではレスリングで全国3位になり、短大時代に全日本ジュニアレスリングで優勝。肩書きができたところで渡米しました。私は体が大きくないので他の選手と差別化を図ろうと思いました。そこで、ロック音楽のカルチャーを感じさせる格闘家になろうと思いました。そこで、大学を卒業して日本の道場に行き、試合で派手な入場をするような格闘家になることで差別化を図ろうと考えたのですが、先輩たちに虐げられるのが目に見えていました。

自分の思い描いていることを具現化するために渡米。『逆輸入』と言えば、普通に練習生から上がっていくよりも付加価値がつくなと思ったんです。現地でロサンゼルスにあるビバリーヒルズ柔術クラブに入りました。アメリカはアメリカンドリームと言われるだけあって、誰にでもチャンスがあり夢が持てる、まさに『自由の国』でしたね。渡米に関しては怖いという感覚はなく、根拠のない自信はありました(笑)。ただ、自信と謙虚さを両立させるのは難しく、自信を持って渡米したものの調子に乗って痛い目に遭うこともありましたね。ただ、気づきは痛みを伴ってやってくるということを学びました。また、アメリカという国で、「私が政治家になったら、目指したい」と考えていた、誰にでもチャレンジができたり、弱者にもチャンスのある社会作りというものを学べたような気がします。

2006年に格闘家を引退した時は、私は周りに政治家になると宣言しました。引退後に拓殖大学のレスリング部の監督に就任するのですが、同時に大学院で政治・行政を学びながら政治家になるタイミングを伺っていたんです。

まずやるべきは積極財政で賃金をアップして経済を循環させること

日本だけでなく全世界を見てもそうなのですが、大きな文明の転換点にいます。日本で言えば失われた30年と言われるように、バブルが弾けてから経済が成長していません。私も就職氷河期世代ですが、就職がなかなかできない、就職できたとしてもお給料がなかなか上がらない、非正規雇用が増えていくという状況で、夢や希望を持ちにくい世代です。消費税を導入してから税金や社会保険料やどんどん上がっていき、いつの間にか日本は豊かな国ではなくなってしまいました。豊かな生活を送る人と生活がいっぱいいっぱいの人の二極化が進んでいます。年収300万円以下の人が4割近くいるんですよ。少子化が進んで当然だと思います。日本人が豊かな生活を送るためのサポートがしたいです。

少し前に軽トラックで日本全国を回っていたのですが、温泉とスキー場で有名な長野県の野沢温泉に行って来ました。友人が近くにウイスキーの蒸留所を作ったと聞いたので行って来たんですが、そこにいるのはほとんど外国人の方々ばかりで日本人がいないんですよ。外国人がたくさん来てお金を使ってくれるのはありがたいのですが、売られているものの値段も海外の方向けなのか少し高いなと感じました。

こういった状況を打破するためには政府の経済政策を変えなくてはいけません。緊縮財政と呼ばれる限られた予算をどう分配していくかだけではなく、経済の規模を大きくしていく必要があります。しかし、日本経済全体を大きくしていこうという観点がありません。海外に目を向けるとアメリカも中国も国債をどんどん発行して、国民は豊かになっています。『スペンディングファースト』でまず政府がお金を発行して、民間に流し、国民がお金を使えるようにして日本の経済規模を大きくしていこうという発想になっていません。私自身の考え方は積極財政派です。限られたパイに中にある経済の奪い合いをして痩せ細ってしまっているのが日本の現状だと思います。私が現在所属している国民民主党が掲げている「手取りの収入を増やす」がまさにやらなくてはいけないことなんですよ。税収があるので税金を増やさずに賃金を上げて、みんなにお金を使ってもらう方が良いと思います。さまざまな問題がありますが、国民を豊かにすることで経済の再生が始まると考えています。究極の目標は私が生きている間に、日本のサムライ政治家として世界平和を実現することです。

『エンタメ外交』で世界にもっと日本のカルチャーを発信

私は状況が問題なのではなく、自分のあり方が問題だと常に思っています。どんな状況でも自分のあり方は選択できるじゃないですか。例えば、試合に負けた時に「残念だ、悔しい」とただ悲観的に捉えるのか、次の大きな勝利に結び付くと思うのかで全く異なる結果になると思います。あり方や捉え方は自分で変えられるんです。感謝の気持ちをいつも持っていれば乗り越えられます。

今回、参議院選挙に出馬するにあたりご意見をいただきました。実際にご意見をいただけるのは、本当にありがたいことです。考え方や政策との整合性について言ってもらえるのは政治家として見てもらえるようになったという証拠です。政治は中庸というのが難しいんですよ。尖れば尖るほどカリスマ性が出て支援者が急増します。中庸だと両サイドから責められるので辛いですよね。ただ、白か黒かの二元論で語られるものでもありません。私も日々学んでいるところです。弱者や若者の声を見逃さず、国民の生活や手取りが増えるように、どのような政策を提言できるのか、何を立てるのか政治手腕が問われます。

私自身のバックグラウンドを生かして、スポーツやエンタメを盛り上げていきたいなと思っています。エンタメのコンテンツは世界から見た評価だと韓国に遅れを取っているんですよ。韓国は政府がエンタメ業界を一貫して支援しており、世界への発信戦略が上手いと思います。日本は著作権の問題やクールジャパン戦略を今一度見直す必要があるのではないでしょうか。アニメ、漫画、ゲームを初め音楽や映画もコンテンツとしては素晴らしいものだと思うので、スピード感を持って発信していく必要があります。

エンタメで言えば、私が作ったダンスパフォーマンスグループ『WORLD ORDER(ワールドオーダー)』があります。国会議員は国会会期中に海外に行くことができません。よく会期が終わると外遊と言って、海外の政治家に会いに行くことがありますが、私は『WORLD ORDER』として海外のフェスに出演して、現地の政治家に会いに来てもらえたら嬉しいなと思っています。以前、アントニオ猪木さんが『プロレス外交』をしていましたが、自分自身が持っているエンタメやスポーツの要素を活かしながら、平和外交に繋げていきたいですね。