難聴や聴覚障がい者が実際に抱えている課題

ワクセル編集部

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2024.02.02
アイキャッチ画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_ みみともさん

こんにちは!先月までは『みみトモ。ランド』創設メンバー、運営メンバーの自己紹介と『みみトモ。ランド』の活動の詳細を話してきました。正直「私たちの活動って本当に需要あるの?」と疑問に思う方もいますよね?実際にろう学校に行かないとなかなか身近に難聴の人がいる環境ってないですし…私自身知り合いたくても特に地方では仲間を得られず大変でした。

今回3回にわたる記事では「難聴や聴覚障がい者が実際に抱えている課題」をテーマに、具体的な日本における聴覚障がい者数と今後の動向、当事者が働くうえでの社会の課題点、必要だと考えられる支援について実際の数字からも考察してお話しします。

難聴の当事者が抱えている課題

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実際に難聴の当事者が抱えている課題には、どのようなものがあるのかをインターネットの検索結果より調べてみました。

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表1は30名ほどの方の投稿を分析してそれぞれジャンル分けしました。最も多かったのは30名中20名が記載していた「悩みを共有し相談できる経験者との関わりがほしい」でした。こちらの課題内容の項目すべてに共通して当てはまる背景を考えると、2つポイントが見えてきます。

①聞こえにくさによる生きづらさを感じているが相談できる場所がない
②生きにくさは、仕事・人間関係全般が含まれている

難聴や聴覚障がい者の雇用に関する課題

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では、「当事者の抱える課題を解決することが、社会にとってどんなメリットがあるのか?」について伝えていきます。

<現在の難聴者数と今後の傾向>
実はすでに日本国内には障がい者手帳のない難聴者だけで推計1430万人いる(日本における難聴や補聴器装用の実情調査「JapanTrak(ジャパントラック)2018」)ということを知っていましたか?

また、イヤホンやコンサート会場などの大音響によって適切でない耳の使い方をすることで世界の若者10億人以上が難聴になる恐れがあるという研究結果が2022年11月15日に医学誌BMJグローバルヘルスで発表されています。

難聴になるリスクが高いのは若者だけではありません。2012年と古い資料しか出てきませんでしたが、下記の参考文献1より65歳以上になると約半分の人が健聴者から難聴になっていることが分かります。先述の若者世代の難聴リスクを考えると再調査したらもっと確率は増えている可能性があると思います(高齢者の難聴もイヤホン難聴も両方とも感音性難聴に該当するのですが、また別記事で説明します)

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参考文献1.全国高齢難聴者数推計と 10 年後の年齢別難聴発症率 ―老化に関する長期縦断疫学研究(NILS-LSA)より (日老医誌 2012年)

つまり将来的に、上述した2つのポイントを抱えてしまう方が増えることは研究結果から想像できます。

“聞こえにくい”ことによる困難感は実は人ごとではなく、誰しもが抱える可能性のある問題です。

この事実を知ったことで、2パターンの考え方が出てくるのではないでしょうか?
「もしかしたら自分も将来聞こえにくくなる可能性があるのか、怖いな…」
「そうはいっても聞こえにくいことでそんなに生活に弊害って出るの?補聴器もあるし大丈夫なんじゃない?」

そういった方々に向けて次回の記事では、日本の当事者支援の未熟さと聴覚障がい者の雇用の実情を、論文から抜粋して分かりやすく伝えていきたいと思います。