『VC3000のど飴』『伯方の塩』など有名CMソングを手がける”秒殺の作曲家”の挑戦「音楽の力で地域に貢献する」

浦田 博信

浦田 博信

2024.08.21
column_top_( Urata Hironobu)

浦田博信(うらたひろのぶ)さんは、高校時代から音楽活動を始め、ヤマハ・ライト・ミュージック・コンテストで全国2位に輝くなど、早くから才能を発揮していました。現在では、作編曲やボーカルトレーナーとして活動しながら、音楽活動を通してシニア世代へ向けた地域創生や活性化に尽力されています。わずか数秒で視聴者の耳に残る有名CMソングを手がけ、”秒殺作曲家”として知られる浦田さんに、現在の活動について伺いました。

シニア世代に向けた音楽活動で大阪・寝屋川市に地域貢献

見出し1画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_ 浦田博信さん

浦田博信と申します。私は音楽家として活動していて、ギタリストやボーカリストとしてのキャリアを生かし、主に作曲・編曲やボーカルトレーナーの仕事をしています。

一昨年の12月からは、大阪市内から穏やかな雰囲気が漂う寝屋川市に引っ越しました。この町は古い住宅や民家が立ち並び、落ち着いた環境が魅力です。市内では学校やプロダクションでの仕事を続けながら、これまで培ってきた音楽の経験を活かし、地域の活性化に貢献できるような活動にも力を入れています。

寝屋川市には高齢者が多く住んでいて、その方々に音楽を通じて何か貢献できないかと考えたことがきっかけとなりました。少しでも地域の皆様が元気になり、町全体の活気が戻るよう、地域貢献活動を続けています。

まず、手始めにカフェでのライブを企画しました。寝屋川市にはチェーン店ではない、個人経営のカフェや喫茶店が多く、そこを拠点に地域の方々が集まる場所を提供できればと考えました。毎日、昼頃に地域の方々が集まり、コーヒーを飲みながらお話を楽しむ場所で、カフェライブができるところを探していました。

何軒かあたっているうちに、「ウクレレ教室を開いてみませんか?」という提案もいただくようになりました。ウクレレは手軽に始められる楽器で、多くの人が楽器を弾きながら歌えて楽しむことができます。

ウクレレを弾くことで手指の運動が脳の活性化につながり、歌詞やコードを覚えることで記憶力の向上にもつながります。また、歌うことで声帯のトレーニングにもなり、シニア世代にとって健康面で多くのメリットがあります。現在では3~4件のカフェで月に1度、ウクレレ教室を開催するようになりました。

音楽はコミュニケーションツールのひとつ

見出し2画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_ 浦田博信さん

他の活動としては、昭和30年代にあったような『歌声喫茶』を開催しています。皆さんと一緒に懐かしい曲を歌うと本当に楽しそうで、私の音楽活動が地域活性化に貢献していることを実感します。口コミでこの活動が広がり、「次はぜひうちの店でも開催してほしい」という依頼も増えてきました。

さらに、デイサービスセンターでの訪問ライブも行っています。寝屋川市はデイサービスセンターが多く、日中ご家族が仕事で家を空けている間に、シニア世代が通う場所として利用されています。その方々に少しでも楽しみを提供できればと考え、この活動に取り組んでいます。

施設にはカラオケ用の機材が備えられていますが、あえて自分でマイクやミキサー、ギター、ウクレレなどを持参し、シニア世代の方々に青春時代の曲を一緒に歌っていただいています。時には涙を流して喜んでくださる方もいて、その姿にこちらも心が温まります。

施設の担当者からは、「普段は無表情な利用者さんが、キラキラとした笑顔を見せてくれた」という話を聞くことがあり、私自身も大きな喜びを感じます。口コミでもさらに広がっていて、現在では多くの時間をこの活動に費やしています。自分もシニア世代に近づいているなかで、少しでも自分の経験や資産を返し、喜んでもらえればという思いで続けています。

「趣味から始まり、気づけば音楽が仕事になっていた」それがプロのミュージシャンの道だと思います。音楽は私にとって生活の一部であり、生活を支えるツールであり、心のケアや栄養でもあり、さらに人とのコミュニケーションの手段でもあります。

特に、コミュニケーションのツールとしての音楽の力を、寝屋川市で活動を始めてから強く感じています。目の前の人が本当に喜んでくれる瞬間に立ち会うことができ、ライブハウスでのコンサートとはまた違う特別な反応があります。自分が聴いてほしい曲を演奏するのではなく、皆さんがどんな曲を聴けばもっと喜んでくれるかを考えながら演奏しています。

地域のシニア世代に喜ばれる仕事を

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大それたことを考えているわけではありませんが、この活動の輪をさらに広げていきたいと思っています。現在、拠点としているカフェやデイサービスセンターを統合し、年に2回ほど大きなシティホールを借りて発表会を開催する構想もあります。少し規模を大きくして、地域にムーブメントを巻き起こせるのではないかと考えています。

これまでの地域活性化の活動は、既存の門をたたいて進んできたのではなく、自分で門を壊し、道を切り開いてきた感覚があります。門が壊れていくことが、私にとって大きな喜びです。活動が増えるごとに、喜んでくれる人が増えていくのを見ると、本当にやりがいを感じます。

結局のところ、人とのコミュニケーションやつながりがすべてだと思います。大阪市内で音楽制作をメインに活動していた頃は、企業とのつながりが主で、商品や案件をどれだけ魅力的に伝えるかが重要でした。

現在はクライアント向けだけでなく、地域の一人ひとりの参加者に喜んでいただくことが何より大事です。最初は小さな粒のような活動が、どんどん広がっている手応えを感じていますね。

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