生まれや育ちに関係なく、子どもたちが夢に向かえる世の中を

NPO法人テラコヤ

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小中高生の子どもたちを対象に、座学サポートや企業での体験型学習の機会を提供するNPO法人テラコヤ。人からの紹介で参加する学生を増やしているというテラコヤの活動内容や運営の想いについて、代表の前田和真(まえだ かずま)さんにお話を伺いました。

NPO法人テラコヤの活動内容と始めたきっかけ

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テラコヤは生まれや育ちに関係なく、子どもたちが誰もが可能性や選択肢を広げられるような活動を主に4つ行っています。

1つ目が「カフェ塾テラコヤ」。夕方以降のオフィスをお借りして小中高生や大学生が勉強できる場所をつくり、座学のサポートをしています。

2つ目が「テラコヤプロジェクト」。いわゆる体験型学習で、企業や行政のマーケティング課題や商品開発、イベント運営に、高校生や大学生がキャリア教育の一環として関わらせてもらっています。そこで仕事とは何か、働くとは何か、を学び、自分の夢や目標設計を出していくようにサポートしています。

3つ目が「人生学校」で、タレントやアスリート、経営者といった社会で活躍されている人の話を聞いて、子どもたちが夢や目標、志を持つための参考材料を提供しています。

4つ目が「ブカツドウ」。地域やプロスポーツチームと連携して、学校以外の第三の場所として子どもたちの成長の受け皿を提供しています。座学の教育サポートはスタッフに任せていますし、「ブカツドウ」も学生主体でやっているのでなるべく任せるようにしています。イレギュラーな動きが発生しやすい「テラコヤプロジェクト」のほうは、自分もいろいろ入らせてもらっています。

テラコヤの仕事をする理由は3つあって、1つ目は自分自身が教育業界にいたので起業するなら教育メインだと思っていたこと。2つ目は教育業界で「夢を持て」と子どもたちに言っていたけれど、自分自身が25歳くらいで本当にこの夢で良いのかと悩み続けた時期があったのです。小学生や高校生のときから「夢とは何か」を考える場所をつくるべきだと考えました。3つ目は、教育業をやるにしても、普通の塾をやっても差別化にならない。初期費用もかかる。これで本当に良いのかと思ったときに、ソーシャルエコノミー的な考え方をすれば良いと思って、社会の空いているスペースを使わせてもらおう、と今の形になりました。

教育に興味を持ったのは、中高生くらいのときです。中高一貫校で、その頃が一番自分にとって楽しい時間を過ごさせてもらって。自分の考えや想いが後世に残っていく仕事をしたいとずっと思っていました。後世に有形物を残すという考え方もあると思うのですが、教育という無形物を残していく。自分が伝えたことを誰かが受け取って、また別の誰かに伝えていければ、自分はずっと生き続けられるなあと思ったのです。

一応就活はして、自分の考えやエッセンスを誰かに伝えるという視点でマスコミやメディア系も考えました。とはいえ、たとえば、今日見た新聞の一面の記事を明後日覚えている人は全然いないかもしれない、でも教育は担任の先生や教えてもらえたことは死ぬまで忘れないだろう、と思って教育業界にしたのです。

紹介で学生と繋がり続けた対人関係の秘訣

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教員のジレンマというか、社会を知らないからこそ起業に踏み切れたというのはあります。飛び出してみて初めて自分の無力さに気づくという感じでした。最初は結構痛い目も見たと思います。どうやって売上を上げるか、など。NPO法人を立ち上げる前は会社もつくっていましたが、企業ドメインに悩みました。

学生とのつながりを増やすのは主に3パターンあって、1つ目は他のNPO法人との繋がりで紹介してもらうパターンです。子ども食堂などでスタッフさんが高校生の勉強は難しくて教えられない、となったときに「テラコヤに来て勉強したら」と紹介してもらったり。2つ目がSNS広告やチラシを通じて来られるパターンです。行政からチラシを配布してもらったりしているので、区役所で配られているチラシを見て来た、という例もあります。3つ目が、既にテラコヤを利用している友達が友達を連れてくる場合です。

人と関わる上では、先に与えて、返さない人はその程度、という感覚で、返してくれる人はありがたいと思って付き合うようにしています。相手に期待しすぎない。自分の器が大きくなれば向き合える人の数が増えていくと思っているので、相手に期待しすぎず自分を磨くというのを大事にしていきたいなと思っています。

世界で通じる「テラコヤ」に

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今後はテラコヤの地方モデルをつくりたいと考えています。地方の人材、活性化というのは日本にとって大事だと思うので、テラコヤのシステムを通して地方の学生たちを育てたいです。テラコヤのシステムで育つ子どもたちを増やしたいと思っています。

台風や津波といった海外で通じる言葉がありますよね。海外でも「テラコヤってあれね、学校じゃないけどあれね」と伝わるようになったらうれしいですね。

使う言葉にはとてもこだわっていて、なるべくポジティブな言葉しか言わないようにしています。27歳の誕生日を無職で迎えて、そのときは将来の目標が決まっていなかったのですが、「すべてを失っても希望さえあれば前に進むことができる」という言葉に出会って、実感しています。希望を持って生きるというのを大事にしていますね。

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