60歳から姉妹で新規事業に挑戦!高齢者の笑顔を取り戻す『人生まるごと回想アルバム』
テコデコドリーム研究所は、キャラクターのライセンスビジネスや音楽制作、イベント企画を手がける会社として大田区で設立されました。音大出身のお姉さんと好奇心旺盛な妹さんが、互いのできることを組み合わせながら経営しています。60歳から新規事業『人生まるごと回想アルバム』の制作に着手するなど勢いの止まらないお二人に、会社設立の経緯や今後の展望についてお話を伺いました。
子供が書いたイラストをきっかけに起業
テコデコドリーム研究所は、2004年に設立されました。その名前には、キャラクター「テコポン」「デコポン」の「テコ」「デコ」と、女性が夢を叶える会社を意味する「ドリーム」が込められています。
設立のきっかけは、当時、小学校1年生だった娘が描いたキャラクターが始まりです。私はもともと専業主婦で、子供が1歳の頃から英才教育の塾に通わせるほど、子育てに熱心でした。子供が学校に通うようになって子育てが一段落し、自分自身の新たな挑戦を求めていた時期に、娘の描いたキャラクターを見て、これをライセンスビジネスに活かすことを思いついたのです。
当時、キャラクタービジネスが盛り上がりを見せており、友人であるサンリオのデザイナーに相談したところ「アイデアを他に持ち込むと真似されちゃうよ」とアドバイスを受け、キャラクタービジネスについて独自で調査を進めることにしました。
ライセンス展示会に足を運んだりして、さまざまな相談を重ねた結果、池袋サンシャイン水族館での企画が実現。水族館のゲストキャラクターとして採用され、オリジナルポストカードが好評いただきました。これを機に、姉妹で会社を設立。水族館のイベントに合わせたアニメーション制作をして、水族館と連携してキャラクターを活用するプロジェクトを展開しました。
高齢者の方に再び自信を取り戻してもらいたい
会社設立から5〜6年が経った頃、経営について講演の依頼をいただく機会が増えました。自分たちでチャレンジを続ける楽しさを感じていた一方で、父の介護が必要となり、「父の最期に立ち会えないかもしれない」と考え、一度休業することを決断しました。
ただ一旦お休みしてしまうと、またゼロから始めるのは簡単ではありません。ちょうどコロナの時期だったということもあり、再開したいと思ってもなかなか一歩が踏み出せずにいました。
そんな中でも、経営者の仲間と交流を続けていたおかげで、東京都中小企業振興公社が主催する『事業家チャレンジ道場』というセミナーにお誘いいただきました。そこで最新のマーケティング手法を学び、事業を再開するならば「世の中の為になり、人々に喜んでいただける仕事をしよう」との考えに至りました。
特に高齢化社会が進むなかで、認知症の増加に対して何か役立てることはないかと考え、『回想法』という手法に出会いました。回想法は、1960年代初期にアメリカのロバート・バトラーによって開発された心理療法です。
私たちは、回想法の基礎を学び『心療回想士』の資格を取得し、高齢者の方にこれまでの生きてきたみちのりを振り返ることで、やり残したこと、まだまだできることに気づいて、これからの人生を楽しく生きていただきたいとの思いを込めて『人生まるごと回想アルバム』を考案しました。
大切にしているのは感謝を忘れないこと
今一番強く感じているのは、「世の中の高齢者の方々に笑顔と幸せを届けたい」という思いです。現在は『人生まるごと回想アルバム』を提供していますが、これからもたくさん学び、さらに多くの方々に幸せを感じてもらえる事業にしていきたいと考えています。自分たちが元気なうちに、少しでもそのお手伝いができればと思っています。
私が大切にしているのは、常に感謝の心を忘れないことです。感謝の気持ちを持っていれば、怒ることもなく、「これは私のために言ってくれたんだ」と前向きに受け止められます。もちろん、時には悪いことが起こり、落ち込むこともありますが、そういう時こそ「これは私の人生を広げるための気づきだ」と感じ、感謝の気持ちを持つようにしています。これからも、感謝の心を大事にしていきたいと思います。