『ビブリオバトル』で人生が変わった書籍PRの専門家が語る「読者に光が当たる社会をつくりたい」

高橋 一彰

高橋 一彰

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書籍PRの専門家として、これまでに1,400本以上の書評を書きSNSで発信している高橋一彰(たかはしかずあき)さん。学生時代には読書をしてこなかったところから、今では”本のソムリエ”と呼ばれる高橋さんに、どのようにして書籍PRの専門家として活動するまでに至ったのか、これまでの経緯をお伺いしました。

人生を変えたのは『ビブリオバトル』との出会い

見出し1画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_高橋一彰さん_ビブリオバトルとは

私は現在、書籍PRの専門家として活動しています。この道を選んだきっかけは、2011年に起こった東日本大震災でした。当時、私は不登校で大学に行けないという時期もありました。でも、震災をきっかけに「チャレンジしよう」「何か新しいことを始めたい」という思いが湧き上がり、自分を変えたいと思ったのです。

そのときに、たまたま大学の図書館で『ビブリオバトル』という“本のプレゼンゲーム”に出会いました。このゲームは、参加者が面白いと思った本について5分間のプレゼンを行い、「どの本が一番読みたくなったか?」という基準で、本の勝敗(チャンプ本)を決めるゲームです。

本の解釈は、人それぞれです。同じ本でも、読む人によって面白いと感じるポイントは全然違ってきます。これがとても面白くて、「なんて自由なんだろう」と感じました。そして「ビブリオバトルの大会で優勝したい」という思いから、どんどん本の世界へのめり込んでいきました。

それまで読書をする機会が少なかったので、はじめは「本当に理解できているかな?」と、自分の読解力に不安もありましたが、読み終わった本が増えていくごとに、その心配はなくなりました。

ある日、X(旧:Twitter)で「出版はゴールではない、世の中に広まることが大事だ」という投稿を見て、ハッとしたんです。その通りだと思いました。この投稿をきっかけに、本の素晴らしさを広めるキッカケになる活動をしようと決めました。そこで、はじめたのが書籍PRの活動です。

『ビブリオバトル』に出会ってからは、出版関係の方と交流を持つようになり、本の企画にかかわる機会も増え、人間関係が大きく広がりましたね。

1,400冊以上の書評を書いて”本のソムリエ”と呼ばれる

見出し2画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_高橋一彰さん_本のソムリエについて

普段は会社員として働いているのですが、仕事の合間を縫って、毎日少なくとも1冊の本を読み、その感想をSNSやnoteなどで共有しています。書評を作成する時間は、大体1時間以内です。2020年8月から始めて、これまでに1,400冊以上の本の書評を書いてきました。

当初は、クローズドなコミュニティ内の活動としてスタートしましたが、書いた内容が形になっていくのを見て、「もっと多くの人に見てもらいたい」と思い、公開するようになりました。

書籍PRとしての具体的な仕事は、読んだ本の魅力的なポイントを紹介し、それを1000文字程度の記事にまとめることです。絵本などは文字数が少なくなることもありますが、主に1000文字を超える内容を書いています。また、文章を読むのが苦手な方にも本を届けたいという思いから、20〜40秒の書籍PRのショート動画を作成し、記事と同様に発信しています。

記事や動画を作成する過程で、本を選ぶ目も養われてきました。私の読む本は、ビジネス書が大半を占めていますが、学術書やエッセイ、ときには小説やノンフィクションなどの記事も手掛けています。おすすめの本を聞かれることも多いので、その人にぴったりの本を教えてあげると、とても喜ばれます。“本のソムリエ”といわれることもありました(笑)

本を紹介することで、著者や編集者、出版関係者からの感謝の言葉をもらえることも多く、これが私にとっての大きなやりがいとなっています。また、最近では『ビジネス書グランプリ』のメディア側として招待を受けるなど、書籍PRの活動が認められはじめていると感じています。

読者に光が当たる社会をつくりたい

見出し3画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_高橋一彰さん_本について

これからは、私だけが本をPRするだけではなく、私のように本をPRする人を育成し、書籍をPRする方々を集めてコミュニティを立ち上げ、多くの人たちに本の魅力を伝えていきたいと思っています。そういった活動を通じて、直接、読者に本の面白さを伝えることができれば、よりたくさん交流が生まれるのではないかと感じています。

将来的には、著者だけでなく読者に光が当たるような社会をつくりたいですね。そのためには、私のこれまでの経験やノウハウを生かして、本の読み方のコツを教えるビジネス書を書いたり、今までの書評をまとめた本を出版したりすることも計画しています。

こうした活動をきっかけに、昔の本が新たに脚光を浴びて、再び人々の手に取られるきっかけをつくれたらとてもうれしいです。私がこれまで経験してきたことや、感じてきたことを通じて、ひとりでも多くの人が「本って面白いな」と感じてもらえたらと思っています。

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