キャリア30年以上の弁理士がナビゲート。創業におけるブランディングの価値

斎藤 理絵

斎藤 理絵

アイキャッチ画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_  斎藤理絵_ご本人

弁理士として、商標などの国内外の知的財産に関する代理業務を行いつつ、ブランディングの分野にも業務拡大して活躍している斎藤理絵さん。2019年に独立後、たくさんの経営者と関わるなかで、どのように事業を展開すると良いかなど、創業のヒントを語っていただきます。

共同経営者との考え方の違いを機に独立

見出し1画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_  斎藤理絵 _イラスト

私は弁理士という仕事をしています。大学卒業後、特許事務所に入所し大手企業をメインに、難しい権利の取得や鑑定資料の作成を行ってきました。

大学時代から資格取得に向けて勉強をはじめ、クビにならずデスクワーク・土日休み・出張のない仕事として今の職に就きました。最初の特許事務所には、30年くらいはいましたね。創業者と2人だけの事務所で、創業者が引退することになったのがきっかけで後継者を探し、3人の共同経営になりました。

設立した矢先に、税理士さんから「この会社はこのままいくと潰れる」とご指摘をうけました。私はすぐに経営理念や経営計画を立てて、一般的な経営を始めないとまずいと感じました。

それを共同経営者の2人に伝えたところ、「弁理士なら来たお客様の仕事を真面目にすればいい。この考えに合わないなら出ていけ」と言われて、そのまま退職することになりました。何かしたいという訳ではなく、単純にそこにいられなくなったのです。

経営に対する考え方の違いでいられなくなったので、また転職しても同じことが起きるかもしれないと思いました。承継した事務所でやろうと思って経営理念も作り始めていたので、まずは自分で作った経営理念を実践したいと思い独立しました。

ブランディングの重要性と価値

見出し2画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_  斎藤理絵 _話し合い

独立してからは、中小企業がメインのお客様になりました。中小企業の方からの依頼はサブブランドの商標取得が多く、権利を取得できたとしても、次の商品やサービスにつながらないといった依頼が多くありました。費用だけが増え、お客様にとってメリットがない依頼に対して、商標取得の見送りをお伝えしたこともあります。

中小企業の方は、商標の選択・商標全体の構成・メインとサブの扱い方等を質問しても、マーケティング・ブランディング・商標の扱い方・総務部・商品企画等をやった事がない方がほとんどです。権利取得するだけで商品やサービスが売れなければ、私が手続きする意味がないと感じ、マーケティングやブランディングの分野にも関わるようになりました。

お客様のサービスや商品に触れていくなかで、いいところがたくさんあるのに違う方向に走ってしまうケースが多々あります。ブランディングというツールを使うことで、サービス・商品を通じて自分の会社の良さや、経営理念・ミッションがお客様に伝わり、売り上げにもつながると思っています。

どんな想いでサービスを提供しているのか

見出し3画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_  斎藤理絵 _なんのために

何の為にその商品やサービスを提供しているのか、どんな想いでやっているのかが大事です。ただお金を稼ぎたいって理由だけで始めると、継続していくのが難しいと感じます。お客様の悩みを解決してはじめてお金がもらえるので、ひとつずつ解決に向かっていれば、そのうち売上にもつながると思います。

これからどんな社会になってほしいかと考えた時に、新しい商品やサービスが次々に出続けて、便利で楽しい世の中になってほしいと思います。私自身は色々な商品やサービスを出せないけど、専門的な知識を活かしながらお客様と一緒になって、良いと思った方向へナビゲートしていきます。

創業した方と接する機会がたくさんありますが、自己実現や自己満足のために仕事していて、お客様のお悩み解決になっていないと思うことがあります。独立するにあたり、この商品やサービスで社会のお悩みを解決し、こういう社会をつくりたいという軸を作っていくと良いのではないかと思います。

著者をもっと知りたい方はこちら