
次世代に届けたいスタイリングの力
森永ゆか(もりなが ゆか)さんは、タレント小堺一機さんの専属スタイリストを25年間勤めています。2022年からは経営者を対象にパーソナルスタイリングを提供。連載第3回の今回は、次世代に勇気や憧れを届ける観点からスタイリングの価値についてお話頂きました。
子供たちが憧れる素敵な大人を増やす

若い頃、身近に格好よくて憧れる先輩がいたことで、大人になることが楽しみになり、年齢を重ねることにワクワクしていました。会いに行って話を聞き、マネをしてみる…そんな時間が自分の成長につながっていたのです。
憧れる大人の存在は、活力を生み、日々を楽しくし、「自分も挑戦してみよう」と背中を押してくれます。挑戦すれば新しい景色が見える。その景色を見たいから、また次のチャレンジをする。そんな前向きな連鎖が生まれます。
経営者にとっても同じです。時代の変化に柔軟に対応し、その内面を装い=スタイリングでも表現できる経営者は、社内外から憧れの存在となります。装いは単なる服装ではなく、「自分はどんな大人でありたいか」を体現するメッセージ。だからこそ、スタイリングの力は次世代へ憧れや勇気を届ける手段になるのです。
子供がウルトラマンやシンデレラを真似するように、カッコ良い経営者は子供たちからも真似される存在になります。スタイリングの力で「憧れの大人」を増やしていくことこそ、次世代に届けたい価値だと信じています。
個性を活かす力が未来を創る

子供や若手社員にとって、大人の「個性を活かす姿」は最高の学びです。私自身、タレントのスタイリングを通して気づいたのは、ブランドや流行モノではなく、その人の個性を最大限に活かすことが輝きの秘訣だということ。
たとえば、あるタレントのほんの小さな癖や好みを取り入れたコーディネートが、その人の表情や話し方まで引き立てる瞬間を何度も目にしてきました。それはただ「おしゃれに見える」以上の効果があり、その人の存在感や自信まで後押しするのです。
大人が自分らしさを楽しみながら仕事をする姿を見ると、「自分も挑戦して良いんだ」と自然に勇気をもらえます。個性を活かすことは、単なるファッションの話ではなく、自分の強みを理解し、表現する力を育むことでもありますが、それがやがて仕事や人間関係、さらには未来の選択肢を広げる力になるのです。目の前の大人の生き方そのものが、次世代にとっての最高の学びであり、刺激なのです。
装いは行動と習慣を変える力

装いは、単に外見を整えるだけの話ではありません。毎日の服選びやスタイルを意識することは、自分自身のマインドや行動にも直結します。経営者としてTPOにふさわしい装いを選ぶことで、「今日はこの立場で」「こう魅せたい」という意識が生まれ、自然と態度や話し方、判断にも自信が出ます。服を整えることは、見た目を磨くだけでなく、意思決定やリーダーシップの質を高める戦略的な習慣なのです。
こうして生まれる自信は、社員や周囲にとって憧れの存在となります。経営者が装いを通して自分の価値や個性を体現することは、組織やチームにまで影響を与えます。そして何より、次世代に向けて「挑戦して良いんだ」「自分らしさを活かして良いんだ」というメッセージを届ける、最も分かりやすく、力強い手段になります。
スタイリングは単なる外見の演出ではなく、自分自身を戦略的に活かす力です。経営者が代表となって装いをビジネスマナーとして活用することで、組織全体に前向きな影響を広げ、次世代に勇気や憧れを届ける環境をつくることができるのです。
