芸能スタイリスト30年の経験が導いた答え〜ブランドや流行より大切なこと

森永 ゆか

森永 ゆか

2025.05.10
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森永ゆか(もりながゆか)さんは、タレント『小堺一機さん』などの芸能人スタイリストを25年担当、現在は経営者を対象に、過去の歩みから未来のビジョンを丁寧にお伺いし、クライアントの強みを活かした装いで、戦略的なキャリアコンサルを提供されています。今回は、これまでの活動やファッションを通じて自分のブランディングを高める価値についてお話をいただきました。

個性を最大限に活かす

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若い頃の私は、タレントや俳優、モデルは才能があるから輝いてテレビやメディアに取り上げられているのだと稚拙な考えを持っていました。

アシスタントに付いてすぐの仕事、夜のヒットスタジオの現場で、郷ひろみさんをお見かけしました。オーラがものすごく圧倒された記憶が今も残っています。私のようなひよっこにも目が合えば、「おはよう!!郷ひろみです!!ジャパン!!(イメージ笑)」と挨拶してくれました。

どこから見ても、どこを切り取っても360度、郷ひろみさん。とにかくカッコ良く、素敵でキラキラと輝いていて、「流石、芸能人は輝きが違うな」と思っていました。

アシスタントの時から男性タレントを担当する事が多く、メンズファッション、ブランドに知識がない私は、ブランドや流行りを取り入れたスタイリングや雑誌を見よう見真似して、自分に軸がないスタイリングを提案していました。

ある日、私は一人の女優さんに魅了されました。その女優さんは身長が高く、更にスタイルの良さを際立たせるハイヒールを履いていて、私はそのキラキラと輝く姿を収録中ずっと目で追っていました。

本質な視点で物事を見ることができていなかった私には、なぜ目を奪われ魅了されたのかと、ひも解くには時間がかかりました。何が違うのか、やっと私の中で出た答えは

「個性を活かす」

でした。その女優さんの個性である高身長を生かして、高身長に合う衣装を着て、その衣装に合う靴(ハイヒール)を履いている事がわかりました。

郷ひろみさんも郷ひろみという個性を最大限に生かした衣装を着ていたので360度どこから見ても輝いていたのです。タレント、芸能人だからではなく、ブランドでも流行り物でもなく、個性を最大限に生かして表現しているから輝くと気付きました。

目先の流行りやブランドものではなく、個性を活かすことは唯一無二の表現でありブレない軸となる。ブレない軸を持ち、柳のようにしなやかに振り幅を魅せる、そんな方には自然と素敵と言う言葉のシャワーが降るのです。

コンプレックスは魅力に変わる

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20代前半の私は、165cmの身長にコンプレックスを持っていました。友達は小柄でかわいらしい子が多く、好きになる男性は小さくて可愛い子がタイプというダブルパンチ。

仕事でも軸がないスタイリングを提案していた私は、小さく見えるよう猫背に努力、どんな服にもフラットシューズを合わせてブレブレのダサダサでした。

ラフォーレの交差点で信号待ちをしていたある日、街行く同世代はオシャレを楽しみキラキラして見えました。大きなスタイリストバックを持っていた私は、誰がどう見てもスタイリスト。ブレブレのダサダサの私はファッションの街・原宿で、大きなスタイリストバックを隠したいと取っ手をぎゅっと握りしめ地面から目を離さず横断歩道を渡りました。

そんなタイミングの時、高身長の女優さんに魅了され、個性を活かす事を学んだ私は、仕事も自分自身にも個性を活かすということを取り入れてみると、タレントから「テンション上がった、仕事に集中できた、この服買いたい」など仕事名利に尽きるお言葉をいただき、オファーも増えていきました。

自分自身も165cmを活かすスタイル、身長があることでハマるスタイルで、友人から憧れるスタイルで自信が持てるようになりました。変わらない、変えられないコンプレックスは活かす!!神様からのギフトは唯一無二の自分です。どんな自分でも受け入れて楽しんでみる!やったもん勝ちです。

芸能人だけじゃない!一人ひとりが輝く時代!!

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昭和は物を売る時代
平成は情報を売る時代
令和は個を売る時代

商品サービスで差別化が難しい今、その商品サービスを誰から手に入れるかが大切な価値。これは友人との会話でよく出る話題です。

洋服に関して日本人は、着てみたいけどどう思われるかと人の目が気になる、結果として無難であるべきと思っている方が多い印象です。それは真面目で協調性があると言い換えられますが、心の奥底では「着てみたい!!チャレンジしてみたい!!変わりたい!!」と思っている方が多くいるように思います。

令和の今、芸能人だけではなく、誰でもチャンネルやSNSで考えや思いを発信でき、自分を魅せる事ができます。特にビジネスシーンでの第一印象は着ている服でその人の印象が大きく左右され、言葉の説得力にも影響します。

ファッションにはその人の世界観が表れ、身に着ける物で自分の考えや、価値を表現でき言葉を発さずとも自分が何者なのかを表現できるツールだと私は思います。

時代の変化に伴い私たちも変化し、生き続けていける。生き続けるために一人ひとりが自分の価値を生み出し表現していく。

ファッションは自由な自己表現、装いは自分を有効活用できる手段。ファッションと装いをマリアージュをして流行りやブランドではなく自分という唯一無二のブランドで輝きましょう!!