『実現力最速化メソッド』を考案したコーチングトレーナーが明かす自己実現の秘訣
栗田梓(くりたあずさ)さんは、NLP(神経言語プログラミング)を基にした『実現力最速化メソッド』を考案し、多くのクライアントに対して体験型講座やセッションを行っています。また、心理学の知識を活かしながら、クライアントが目標達成するためのサポートをしています。かつて「できない自分」を恐れていた栗田さんが、どのようにして自分を変え、コーチングトレーナーとして活躍するまでに至ったのか、その経緯をお話しいただきました。
心理学の最先端アメリカで生まれたNLPを学び、コーチングの道へ
私は、もともと父が経営する製造販売メーカーで役員をしていました。しかし、経営者の娘としての立場は必ずしも好意的に見られず、私は「完璧でありたい」と、自分を演じ続けていました。できない自分には価値がないと思い、できない自分を認めるのが怖かったのです。
そんな私に変化をもたらしたのは、娘の存在でした。娘が学校で自分を良く見せようと無理をしている姿に、かつての自分を見たのです。周りに合わせ、自分の本当の気持ちを抑えている娘の姿がきっかけで、私も自分自身を変える必要があると感じました。
何か新しいことを学んで自信をつければ、すべてが解決すると考えました。日本ではアダルトラーニングは厳しいので、娘を連れてアメリカに語学留学しました。会社を休職して、自分のわがままを通してでも成長する道を選んだのです。
留学先で、格好つけたい自分にギブアップすることで「わからないことを素直に聞く」ことができるようになり、できることが増えていきました。しかし、娘が人種差別などで嫌な思いをする場面もあり、自分の決断が招いたのかと辛くなり、自分自身の目標を失いかけたときに、私は大学でカウンセリングを受けました。カウンセリングを通じて、私が逃げの姿勢を取っていた理由や、周りに合わせようとしていた自分自身の心理が徐々に理解できるようになりました。
気がつくと、自分が「嫌だな」と思っていることを自ら引き寄せていたのです。この気づきをきっかけに、私は心理学の勉強を始めました。会社にも「手伝えることは手伝うけれど、自分がやりたいことをやらせてほしい」と伝え、辞職して起業する道を選びました。NLPを学んだことで、ようやく自分の答えが見つかり、現在はコーチングの仕事に取り組んでいます。
「トライ&リトライ」で壁を乗り越えていく
人は望ましくない考え方の癖を持ったまま進んでいくと、パフォーマンスが落ち、不要に傷つくことがあります。その結果、前に進むのが難しくなることもあるのです。私は今、このすべての流れを一方向に整えていく方法を学び実践しています。特に日本の女性は、歴史的な文化や閉ざされがちな環境によって、強い思い込みを持っている方が多いと感じます。
海外に出てみると、自分をもっと自由に表現してもいいのだと気づかされます。人生の限られた時間の中で、自分らしい生き方をしている人はどれくらいいるのでしょうか。私は、特に日本の女性にこそNLPが必要だと感じています。そのような思いから、現在は主に女性向けのコーチング、そしてメンタルコーチの育成にも力を入れています。
仕事を立ち上げる際、「できなければダメ」という自己認識はすでになくなっていました。よく「トライ&エラー」と言われますが、私は「トライ&リトライ」が正しいと思っています。学びは、自分の可能性を広げてくれます。知らないことがあっても、「今はまだ知らないだけ」なので、これから学べばいいと考えます。
やりたいことに壁を感じることがあるなら、その壁が何かが明確に分かることで、対処ができます。学びが必要なら学べばいいし、助けが必要なときはそれが得意な誰かに頼ればいいと考えます。人にはそれぞれ、特性や傾向性があるから、その傾向性において得意の反対は不得意になるのは当然で、自分の能力を適所で使うことが効率的ではないでしょうか。
最近では、自分一人で何とかしようと考えることは少なくなりました。協力し合いながら、それぞれの目標に向かって進んでいくことが、最も良い形だと感じています。
目標の先にある「黄金のニンジン」
一歩を踏み出すとき、私が大事にしているのは「黄金のニンジン」を目の前にぶら下げることです。目標を設定したら、その先に何が待っているのか、本当に欲しいものや自分にとって価値のあるものを明確にすることが重要です。目標はあくまで通過点で、その先にある目的が魅力的であればあるほど、モチベーションも高まります。だからこそ「ただのニンジン」ではなく「黄金のニンジン」が必要なのです。
コーチングをしていると、多くの人は、自分が何に対して不安や恐怖を感じているのかを、実はその対象が何かよく分かっていなかったことにお気づきになります。失敗して人に何か言われるのが怖いのか、金銭的な損失が怖いのか。恐怖の正体を把握できれば、そのための代替案を考えることができるし、自己承認さえあれば他者からの承認欲求は別の形で満たせます。これに気づけば、恐怖は薄れていくのです。
多くの人は「できない理由」ばかりを考え、自分自身との会話を誤った方向に進めてしまっています。色々なしがらみがあったり、自分に制限をかけすぎているのです。「もし今、1億円を渡され、3日間だけ好きなことをしていいと言われたら何をしますか?」あるいは「あと1カ月しか生きられないとしたら、本当にやりたいことは何ですか?」と問われれば、何かしらの答えが浮かんでくるはずです。
学生だから、主婦だから、経験が浅いからといった枠にとらわれると、その枠の中でしか物事を考えられなくなります。そこで有効な方法は、「絶対的な証拠は何か?」と自分の枠に問いかけることです。「もしできるとしたら何をしたい?」という質問を自分に投げかけてみること。事実ベースの答えが出ない場合、それはただの思い込みかもしれません。
私は、個人が自分の制限や思い込みを外して、自己認識を変えながら自由に自己表現できる社会をつくりたいと考えています。本当に困っている人が、経済的な余裕がないこともあります。だからこそ、教え子や同じビジョンを共有する仲間たちとともに、NPO法人などを設立して、困っている人たちをサポートできる場やサービスを将来的につくっていきたいと考えています。