成績も親子関係も良好に!”勉強をさせない塾”の常識破りな指導方法

切替 一薫

切替 一薫

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勉強させない学習塾として話題の『学習法指導塾PHI(ファイ)』を運営する切替一薫(きりかえかずまさ)さん。親子関係を良好に保ちつつ、効果的な勉強法により、どんどん成績が上がってしまう秘密について迫ります。切替さんがこの指導法にたどり着いた経緯や今後の展望も伺いました。

スパルタ教育で学歴が中庸の自分と勉強しないで東大卒の弟

見出し1画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_切替一薫_スパルタ教育

大手進学塾で10年間、中学受験・高校受験に携わってきました。その間に受験で親子関係が歪んでしまうという光景をよく目にしてきたんです。親が勉強させようとすればするほど、子どもは「勉強って覚えるだけのものでつまらない」と思うようになってしまいます。そうなるとずっと勉強のやり方が変わらず、受験を通して間違った勉強方法が蔓延してしまうわけです。親子関係の歪みも受験の時期で終われば問題ないのですが、尾を引いて子どもの自己肯定感の低さの原因になることが多々あります。

私が行っているのは良好な親子関係のまま受験を成功させることや、「勉強はつまらないもの、時間がかかるもの」というイメージを払拭し、ラクに楽しくできる受験勉強を広めていくことです。受験で苦しんでいる親子を少しでも減らせたらと思い、日々活動しています。

私がこのような仕事を始めた背景には自分の家庭環境があります。母親が教育ママでいわゆる教育虐待のようにスパルタで勉強させられて、同じ母親なのに弟には放任で何も言いません。私は10個以上習い事をさせられたのに対して弟は何もしていませんでした。私はテストで間違えた数だけ殴られるのですが、弟は点数が取れなくても「頑張ったね」と言われていました。正反対の教育方針だった結果、私は勉強が嫌いで学歴はそこそこで終わっているのに対して、弟はテストで点数が取れなかったのですが、最終学歴は東大卒です。私は必要のない勉強を詰め込まれていたのだと気付きました。放任で自由に育てても東大に行っているという事実を目の当たりにしているので、それをお伝えできればと思っています。

“勉強させない塾”は子どもたちの興味をくすぐる

見出し2画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_切替一薫_子どもたちの興味をくすぐる

私が運営している『学習法指導塾PHI(ファイ)』は塾と名乗っていますが、お子さんたちに勉強は教えていません。むしろ勉強させない塾なのです。子どもは放っておいても学ぶ意欲が強いもの。子どもが興味を持っているものは身近にあって実は奥深いものなので、中学受験や高校受験で勉強するべきものはだいたいカバーできてしまいます。「勉強は何のためにするの?」と大人に聞くと「社会に出たら必要だから」「学歴があった方が良い」といった回答をしますね。社会に出て必要なことは社会に出てから直接学べば、小・中学校程度の勉強はできてしまうのです。

『雑談の会』という名前で子どもと雑談をする場があります。どんな内容で雑談しているかというと、たとえば、「紙ひこうきが武器になるのかを本気で考える」「透明人間になれるのか」「ブラックホールの中に入ったらどうなるのか」など一見よくある子どもの疑問のように見えますが、それを真剣に考えることで中学校のときに学ぶ内容まで踏み込むことになるのです。歴史を学ぶときも同じで、歴史上の人物が突然教科書に出てきますが、どういった経緯でその人物が登場したのかを知ると出来事が繋がってくるんです。子どもが雑談で話していて疑問に思ったことを中心に話を広げていくことで、机に向かって勉強をしなくてもいくらでも学べます。机に向かってイヤイヤながら勉強したことは内容を覚えられませんが、興味を持って体験したことは忘れません。ですので、私は遊んだり雑談したりしながら学びを広げていく、考え方を広げていくということを子どもたちに教えています。

親御さんは当塾の指導方針をなかなか受け入れられないようで、ホームページの閲覧数は結構あるのですが問い合わせまで繋がる率がかなり低いのが現実です。よくある塾と違いすぎるので躊躇している親御さんが多いのだと思います。「テスト対策しない」とうたっているので、入塾をためらって当然です(笑)。受験対策もしていないので、受験の前日でも遊びに行っちゃう子どももいます。それでいいんですけどね(笑)。私はテスト勉強が無駄だと思っているので、それなら興味があることをした方が良いと思います。テスト前に勉強する子どもは1〜2週間しか時間がないんですよ。私は基本的にテスト前に勉強はさせません。テスト後に返ってきた結果を見て、間違った問題を直したいと子どもが言うなら一緒に問題を解き直しています。そうするとテスト後から次のテストまでずっと勉強してくれるんです。子どもたちが考えていることを勉強と繋がるようにアプローチしています。言われてやるのではなく、主体的に自分のために勉強しているという意識で勉強していると思います。

親の『こうあるべき』を変えて子どもたちに楽しく勉強できる環境を

見出し3画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_切替一薫_楽しく勉強できる環境を

今の日本の教育は全くダメなわけではないのですが、『こうあるべき』という概念に親たちが振り回されすぎているように感じています。たとえば、プログラミングの授業が始まるからといって早くから子どもに勉強させていることです。先回りしすぎかなと思ってしまいますね。子どもが興味を持ってやりたいと思えば自発的にやるはずです。親が与えすぎていて、子どもが考える余地がなくなっています。

失敗がダメなことではなく、やってみてダメで良いのでなぜダメだったのかを考える子になって欲しいという思いがあります。何か失敗してしまったとしても、諦めずに考えることができれば何とかなると思います。

2025年に自著『1万人の子供のノートから見つけた”本当の学力の育て方”』を執筆しました。なぜ私が教育業界に入ったのか、どのようにしてこういった教育方法にたどり着いたのかをこれまで話していませんでした。ブログやYouTubeで発信したこともありません。たまに聞かれたときに自分のことを話すとおもしろいと言ってもらえたので書籍にまとめてみようかなと思いました。

学習塾は勉強内容を詰め込みすぎていたり、宿題が多かったりという問題がありますが、これには理由があります。子どもの成績を上げるためではなくて親の満足度を上げるためなのです。本当はそんなに勉強をさせる必要はないということを私の勉強方法を伝えることで理解してもらえると思います。私は普段から宿題をやらなくても良いと言っていて、他の塾で宿題を出されたら9割は捨てさせています(笑)。私のところでは宿題をやらなくても成績が上がってしまうんですよ。それは塾の宿題がほとんど無駄だということです。ただ、宿題は無駄だと言っても理解してもらえないので、私の経験を含めてすべてを1冊にまとめました。

勉強や受験のことで親子関係が悪くなるのは本当にもったいないです。親子が仲良く、子どもたちが楽しんで勉強する方法があるということを一人でも多くの人に伝えていきたいですね。勉強のことで泣いてしまう子どもや悲しい思いをする親子が減らせる教育を広めていきます。