
自分軸に武器を増やしていく生き方 石川あいさんの挑戦
数年前まで中学校の先生として働いていたあいさん。現在ではピラティススタジオのオーナー、プログラミングスクール事業会社の営業部長、さらに夏にオープン予定のオーガニックカフェの経営者として挑戦を続ける「パラレル活動家」です。今回は、「人は過去のことを重視しがちだけど、私は今、そして未来を信じる人になりたい」と語る彼女の活動をご紹介します。
教育者から挑戦者へ
あいさんは教育学部を卒業後、約10年間教師を務めました。「先生としての仕事は天職だと思っていたし、今でもそう思っている」と語る彼女。しかし、ピラティスとの出会いが彼女の人生を変えました。
スポーツ好きで、学生当時からさまざまな種目に挑戦していたあいさん。たまたま始めたピラティスは他の運動と比較して「辛い!一番嫌い!」と感じるほど苦手意識を持っていたものの、そんな気持ちに反して効果を実感。「これを広めたい!」と思うようになってインストラクターへの道を目指し始めます。
仕事の傍ら自宅のある神戸から大阪へ毎週ひたすら通い続け、自分の体がどんどん変わっていくことで確信を深めたあいさんは、師匠のもとで技術を習得していきました。
その後、大阪のスタジオで師匠の協力も得ながら「Athlete Pilates」事業を開始。アスリート向けのレッスンでプロ野球選手などを対象にしたケアを提供し、専門性の高さで順調にお客さまを増やし続けていきました。その結果、「この良さをもっとたくさんの人に伝えたい!」という衝動に突き動かされ、自分のスタジオを運営すると決意します。2024年4月、神戸に自身でスタジオをオープンしたとき、実はすでに、もう一つの肩書き「営業部長」に至るきっかけは生まれていたようです。
新たな挑戦:営業部長としての顔
スタジオをオープンさせるにあたり、あいさんはWebでの情報発信を強化するためにホームページを作ろうと考えました。そこで、プログラミングスキルの習得のため、当時知り合ったばかりの経営者が運営するプログラミングスクールに通い、3カ月で基礎を習得。「地獄だった、めっちゃ大変だった」そうですが、無事に目的を達成してHPを開設しました。(https://itayadopilates.com/)
その際、経営者から「営業の才能がある」と声をかけられ、「営業は1回もやったことがないからどこまでできるかわからないけど、できる範囲でやってみよう!」と営業部長としてのオファーを受けました。事業の拡がりに課題感を持った彼女は、新聞社との提携事業を立ち上げるなど、持ち前の人と人、情報と人をつなげるクリエイティブなスキルを大いに発揮して営業活動に生かしているようです。
「今は走り続ける時期、チャンスがあったらすべて食らいつこうと思っている」と言った彼女の、次の挑戦へと話を続けましょう。
オーガニックカフェへの挑戦
それは彼女にとっても驚くべき挑戦のようです。数年前から経済知識、子どもの教育、美容、旅行など幅広いテーマのコンテンツが配信されている女性対象のオンラインサロンのメンバーとなっているあいさん。そのサロンが経営するオーガニックカフェが全国に展開されることとなり、「経営者募集」の文字を見て挑戦を決めます。
挑戦者は60人。オーディションは15,000人のメンバーへの3分間のプレゼンテーションで、投票により選出されるというシステム。このカフェ事業はフランチャイズではなくロイヤリティが不要な反面、自分で事業を回していく必要があります。プレゼンを準備しているうち、「仮に選ばれなくてもプライベートでやる!」と覚悟を決めて関西弁での自然体で臨んだ彼女は、14人のファイナリストに選ばれました。夏には「Holland Village Cafe 神戸店」をオープン予定です。飲食には関心がなかったという彼女ですが、目の前に来たチャンスを掴み、今はピラティスとオーガニックカフェの親和性で自分の事業を広げられると語ります。
未来を信じる生き方
あいさんは、『女性が輝ける社会は、きっと日本をよくする』という理念で活動しています。自分が専業主婦だった時代、そして小学校の運営協議会の役員を3年間務める中で、周囲の女性たちが「自分に枠をはめている」と感じることが多かったと言います。家庭と仕事のバランスに悩みながらも一歩踏み出せない友人や、やりたいことを諦めてしまう母親たちの姿が印象に残っているそうです。
そういった女性たちに「もっと自由でハッピーな選択肢があることを伝えたい」という思いが、ピラティスやカフェ事業を通じた活動の原動力となっています。事業は体と心を整えることを通じて、ハッピーを共有する手段というわけです。
あいさんは「世の中にあんまり不可能ってないですよね」と屈託のない笑顔で言います。「自分のアンテナに響いたものを逃さず、すごい熱量で考え、覚悟を決めて進めば道は見えてくるから」という言葉には、経験をとおした実践者の重みがあります。「人は過去のことを重視しがちだけど、私は今、そして未来を信じる人になりたい」というのは、彼女の生きざまそのものであると感じました。彼女がオーナーとして立つカフェに行くのが楽しみです。
