【インタビュー】株式会社エミネント、紳士用スラックス一筋、地元密着企業の歴史とこれからのヴィジョンとは

ワクセル編集部

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アイキャッチ画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_髙野圭右さん

1949年創業以来、紳士スラックスの専業企業として走り続けている株式会社エミネント。代表取締役の髙野圭右(たかのけいすけ)さんにこれまでの歴史やこれからのヴィジョンについて語っていただきました。

創業73年、紳士スラックスの専業企業として

見出し1画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_マネキン

私たちは1949年の創業以来ずっと紳士スラックスを専門に取り扱ってきました。創業当時は軍服から洋装へと社会が変化する時代でしたから、その中で紳士服のスラックスを取り扱うようになりました。なぜスラックスを専門に扱うようになったかと言えば「上着を着ない男性はいても、ズボンを穿かない男性はいないだろう」という創業者の考えがあったようですね(笑)。

2017年に「MADE IN NAGASAKI」のスーツブランド『WESTORY』を立ち上げました。普通はジャケットもシャツもスラックスも同じ工場で作るのですが、『WESTORY』はそれぞれ別の工場で作っています。ジャケットは平戸市にあるアリエス株式会社様のジャケット専門工場、シャツは山喜株式会社様の長崎工場、そしてスラックスは松浦市に工場を持つ弊社と、「MADE IN NAGASAKI」にこだわったブランドです。サッカーJリーグのV・ファーレン長崎の移動用のスーツとしても採用していただきました。

地元密着企業として、松浦市への恩返し

見出し2画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_工場

1969年に長崎県松浦市に松浦工場を新設してからは、松浦市の地元密着企業として、歴史を刻んでいます。従業員は全員地元で採用し、ほとんどは地元出身者の方です。

元々は大阪にあった工場を松浦市に移転したのですが、炭鉱中心の産業からの脱却を目指していた松浦市からお声がけいただいたことがきっかけでした。当時の市長からの工場用地として用意いただいた候補地の中には現在の市役所の建っている土地もあり、一企業に市役所の候補地を与えてくれようとする志に感動し移転を決めたと、先代は語っていました。

それから50年以上、良い時期も悪い時期も松浦市と共に歩んできている分、地元への恩返しの思いは強いですね。

地元の松浦高校の学生服が替わる際は、生徒さんを中心に先生方と協力し、新しい学生服をつくるお手伝いをさせていただきました。松浦市唯一の高校の学生服ですから、シンボルとなるような学生服にしたいと思い、松浦タータンと名付けたタータンチェックの学生服をつくりました。

縫製工場から出る切れ端を使って、新たな物作りができないかと、松浦高校・長崎県立大学と協力して、工場から出る裁断くずを利用するキャンペーンを行ったりもしました。

従業員の働きやすい環境作りも地元への恩返しの一つ

見出し3画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_製造場

『WESTORY』も長崎を盛り上げていこうという思いがあり、「MADE IN JAPAN」ではなく「MADE IN NAGASAKI」にこだわりました。国内の縫製業がだんだんと少なくなる中で地元雇用を守ることにもつながるかと思っています。

『WESTORY』を共に作っている2つの工場とも情報交換をし、互いの工場の従業員が結婚等で引っ越しをする際には通いやすい工場に転職できるようにしたりと、協力していただいたりもしています。

松浦市に移転してきた当時、長崎県も松浦市も女性雇用が社会発展・経済発展の鍵になるだろうと考えていらっしゃいました。縫製業の工員の多くは女性で、私たちの工場も同じです。女性が活躍できる環境が縫製工場にはありますし、私たちもそこに着目していました。

弊社では私たちの工場が松浦市に移転してきた時から働いてくれている女性が取締役になり、活躍してくれています。経営というと男性がするものというイメージもありますが、縫製業こそ女性が経営に入ってくるべきだと思います。働きやすい環境作りにとっても、男性には気がつくことのできない細かい心配りができることもあります。ロッカーの位置や扇風機の数を増やすなど細かい改善の連続ですね。

親子2代や3代で働いてくれている方が多いのも、地元雇用を大切にしている私たちの特徴です。

これからのヴィジョン~松浦市から世界へ~

見出し4画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_対談

松浦市で作った商品を世界に届けていこうと活動しています。

紳士服の大きな展示会として、イタリアのフィレンツェで年に2回開催される『PITTI IMMAGINE UOMO』が有名です。全世界のバイヤーが訪れるこの展示会に、弊社も10回ほど出展し、日本のモノ作りを世界に提案しています。その甲斐もあって日本のセレクトショップからオーダーが次々と入ってきています。

松浦市長が仰っていた「松浦市の市民が自分の街に誇りを持ってほしい」という言葉に、私たちも共感しています。松浦高校は、なぎなたや駅伝の強豪校でその事を通じて市民に誇りを与えています。私たちも彼らと同じように縫製業を通じて地元の方々が「ふるさと愛」を感じていただけるような環境作りをしていきたいと考えています。