YouTubeでバズった白うさぎのクリエイターが「世界を変える30歳未満」30人に選ばれたワケ
Cyber Bunny(サイバーバニー)さんはハワイ出身の日系アメリカ人です。現在SNSを通じて日本の文化や言葉について発信していて、米フォーブス誌が選出する「世界を変える30歳未満」30人にも選ばれています。「西洋と東洋をつなぐのが使命」と語るサイバーバニーさんが発信する日本とはどんなものか、詳しくお話を伺いました。
Cyber Bunnyとして日本の文化を海外に伝える
私はYouTubeやTikTokなどのSNSで、日本について発信しているコンテンツクリエイターです。出身はハワイですが、家族は東京に住んでいます。毎年夏休みはおばあちゃんに会うために日本に来ていましたが、2018年から私自身も日本に住みはじめました。
ハワイでは多くの人が大学を卒業するとアメリカ本土に行きますが、私は第二の故郷である日本に魅力を感じて、日本に行きたいと思っていました。ちょうどそのころの日本では英語教師の募集がたくさんあり、仕事があるならと思って日本に来ました。
日本に住み始めてから、日本人の立ち振る舞いや日本の文化を体感し、それについて動画にしてTikTokに投稿を始めました。そこから私はSNSフルタイムクリエイターになりました。
日本語の言葉一つひとつには理由があります。「いただきます」は“食べ物に感謝する”という意味です。これを「いただきます」というただの単語としてではなく、ちゃんと意味があることを海外の人たちに伝えたいです。
アメリカには”taking thanks for granted”という言葉があって、当たり前すぎて感謝できていないことがいろいろあります。でも日本の文化では、食べる前にいつも「いただきます」と言って感謝をしてからご飯を食べることが普通です。
こういう素敵なことをカジュアルな感じにして紹介しようと思いました。ハワイにいながら日本の文化についての動画を撮るよりも、日本に住んで日本のことを発信した方が外国の方に魅力を感じてもらいやすいと思っています。
YouTubeで人気の“Hiragana Song”で日本語を学ぶきっかけに
YouTubeチャンネル『Cyber Bunny』の中で1番人気の動画のHiragana Song(あいうえおのうた)はオリジナル作曲です。これは子供や日本語初心者向けに作った動画です。YouTubeを見る人は年齢層が幅広いので、男女や年齢関係なく、誰もがこの動画を見て日本語を一緒に学ぼうねというのを目指しています。
日本語を勉強するのもテキストで文法を覚えるのではなく、生活のなかで自分の興味を持っているところから学んだ方が効果的です。私は教科書じゃなくてアニメを見て日本語を勉強しました。他にも好きなJPOPを歌いながら日本語を勉強しても良いのです。「楽しい気持ちで日本語を勉強しよう」というところからHiragana Songが生まれました。
Hiragana Songでは、「あいうえお」の発音の一つひとつから「こんにちは」や「おはよう」という言葉が生まれます。だから、あいうえおから学ぶのが大事だと伝えています。
サイバーバニーとしていろんな面で発信していきたいと思っていて、そのなかのひとつに音楽をやるという目標があったので、今、音楽のアルバムを制作しています。時代は変わるべきだし、日本も変わるべきだと思うんです。
私は音楽を通して人に影響を与えて変えていきたいです。西洋と東洋をつなぐことが私の使命で、今作っているアルバムは日本の視聴者向けのものです。今後はもっと日本の視聴者を増やしていきたいと思っています。
日本の良いところだけじゃなく、ネガティブな面も伝えていきたい
サイバーバニーのイメージキャラクターは白いうさぎです。ハワイに住んでいたときに飼っていたうさぎをイメージしてできました。うさぎは弱々しくてかわいいと愛されていますが、本当は芯が強い動物なんです。
日本人には“本音と建前”があるので、見た目は柔らかそうに見えるけど、実はとても強いものを持っています。その部分がうさぎと似ていると思うので、そういうところも知ってもらえるように発信していきたいです。
それとは別に日本の生活について考えるところがあります。日本に来た当初は朝から晩までルーティンで働く生活をして、先輩後輩などの上下関係があり、働く環境があまり良いとは言えないと感じていました。
アメリカには先輩後輩はなく、みんな平等です。みんながフラットの方が話しやすいし、意見も言いやすいので、すぐに改善もできます。私の日本の友達、海外の友達、みんなから日本は遅れていると言われます。日本の良いところもたくさんあるけど、そういうネガティブなところも発信していきたいです。
同じ世代で日本にあこがれを持っていて、日本という国に対して夢を持っている子もいますが、日本に住んで日本の社会で働くのはそんなに甘いものじゃないということも伝えたいです。
先日、ありがたいことにフォーブス誌の「世界を変える30歳未満」30人に選ばれて、今までやってきたことが間違えていなかったとわかりましたし、評価をいただいたことで自信がつきました。
SNSで一方通行に発信するだけじゃなくて、どんなことがウケて、どんなことがビジネスモデルとして注目されるのかと整理することもできました。さまざまなスポンサーが増えたということもありますが、広い分野で発信ができるようになったので、注目されてとても良かったです。