高千穂鉄道の歴史を後世に残す『高千穂あまてらす鉄道』
2008年に廃止となった高千穂鉄道の線路を利用したアトラクション『高千穂あまてらす鉄道』 鉄道橋としては日本一の高さ(105メートル)に架かる高千穂鉄橋からの景色は圧巻です。その魅力や今後のビジョンなどを専務取締役の齊藤さんに語っていただきました。
高千穂あまてらす鉄道の歴史
私たち高千穂あまてらす鉄道は、高千穂鉄道の廃線をうけて、2008年3月に創立しました。はじめは駅舎や線路の活用さえできない状態だったのですが、翌年から認められ、動力なしの木製トロッコを人力で押すところからはじめました。駅構内限定です。
私たちの当面の願いは、高千穂駅から2.5キロ先にある現在でも鉄道橋としては日本一の高さ(105メートル)に架かる高千穂鉄橋を渡ることでした。それが実現したのが2013年夏休みからです。
お金のない私たちにどんな車両が走らせられるのか。考えた末に、軽トラック改造車両を2台連結して走らせはじめたのです。定員18名の小さな乗り物が、たびたびの故障に見舞われながら、毎年25,000人前後のお客様を鉄橋までお連れするようになりました。
高千穂あまてらす鉄道の魅力
高千穂あまてらす鉄道の名物アトラクション『グランド・スーパーカート』は屋根や窓がないオープンカーになっています。そのため視覚、聴覚、嗅覚を使って高千穂を体感することができます。
動力車は空港で荷物を運んだりしているトーイング・トラクターというもので、2500ccの強力なエンジンが搭載されています。軽トラ改造車も、連休や夏休み以外の毎週水曜日に運行しています。
普通の電車内は外と仕切られた空間ですが、高千穂あまてらす鉄道は、仕切りがないことにより景色や風、においを楽しめるところが特徴となっています。床には強化ガラスを敷いていて、105メートルの高さを誇る高千穂橋を体感できるとともに、2つのトンネル内では美しいイルミネーションも楽しめます。
もともと、旧高千穂鉄道は地域の人とのふれあいが多い地域密着型の鉄道会社でした。今は観光業となりましたが、スタッフとお客さまの触れ合いを大切にアットホームな空気づくりを心がけています。
そのために、自分たちが楽しむことを大切にしています。「スタッフが楽しんでいるからこそお客さまを楽しませられる」という信念のもと、サービスを提供させていただいています。
高千穂あまてらす鉄道のビジョン
世界的に脱二酸化炭素の流れがあり、あまてらす鉄道も燃料を軽油から2500ccのバイオディーゼルに変更しました。福岡の物流会社さんがラードをつかったバイオディーゼルを開発していて、そちらを導入させていただきました。
最初はバイオディーゼルで本当に車両が走るか、エンジンが壊れないかなどと心配しましたが、いざ運行してみると問題なく走行できました。排気ガスが綺麗になったことに加え、馬力が上がっているような感じもありました。
今後は、高千穂あまてらす鉄道を「歴史文化を学び、未来を考える場所」にしたいと考えています。なぜここに鉄道が敷かれたのか、なぜ廃線後もアトラクションとして運営しているのか、などを伝えていければと思っております。
また、高千穂鉄道の旧車両を用いて運転体験もできるので、お子様にも楽しみながら学んでもらえる場を提供していきます。
そして、100年、200年後になってもいいので、また鉄道を走らせたいと考えています。旧高千穂鉄道は列車のなかがひとつのコミュニティであり、公民館が移動しているようでした。高校生と年配の方が気軽に話せるような場をまたつくりたいと思っています。