タレント・アーティスト
つるの剛士 × ワクセル
今回のゲストは、タレント、歌手、俳優など幅広く活躍されている、つるの剛士(つるのたけし)さんです。つるのさんは芸能界で初めて育児休業を取得し、育児休業の文化を広めた立役者でもあります。
タレントの渋沢一葉(しぶさわいよ)さんと、総合プロデューサーの住谷がMCを務め、5児の父でもあるつるのさんから、家庭円満の秘訣を伺いました。
幼稚園教諭の資格を取得
渋沢:本日のゲストは、映画、ドラマ、バラエティ、歌手など、マルチに活躍されている、つるの剛士さんです。プライベートでは5児の父であり、今年の3月には短期大学を卒業され、幼稚園教諭二種免許を取得されました。仕事と両立しながら大学に通うことは、とても大変なことだったと思います。
つるの:ずっと子育てをしてきて、専門的な免許や資格が欲しいと思い短大に通うことを決めました。5人も子育てしてきたので、子どもの扱いには慣れているんですが、やっぱり自分の子どもを育てるのと、他の親御さんのお子さんを預かって育てるのは全然違いますね。
お子さんのすごく大切な時期に自分が介入して、お子さんの今後の人生を作っていくため、大きな責任を感じました。だからこそすごく尊い仕事だと思いました。
俳優・河相我聞さんと運命の出会い
住谷:つるのさんがそもそも芸能界に入ったきっかけは?
つるの:ずっと芸能人になりたくて、高校生ぐらいから、バイトをしながらタレント養成学校に通っていました。ある時その養成学校から「エキストラに行ってくれ」と台本を渡されたことが、芸能界に入るきっかけになりました。
僕と同い年の俳優に河相我聞(かあいがもん)君がいるのですが、彼をテレビで観た時になぜか「絶対将来こいつと友達になる」って勝手に思って(笑) そして、渡された台本の主演に河相我聞君の名前があって、友達になるチャンスがやってきたんです。
友達になるためには目立つ必要があると思ったので、当時両目で18万円くらいするカラーコンタクトをバイト代をはたいて買って、目を青くしました。そして我聞君がバンドをやっていて、ドラムが好きなことを知っていたので、ドラムのスティックを持って現場に臨んだんです。
休憩の時間、我聞君の後ろの席に座ることができて、ドラムのスティックを出して、バタバタと叩く練習を始めました。すると我聞君が振り向いて「あれ?君ドラムやってるの?」って話しかけてくれたんです。さらに僕の目を見て「君、目青くない?」って(笑)
渋沢:なるほど。まさに思惑どおりですね(笑)
つるの:それをきっかけに仲良くなり、我聞君が出ていたラジオ番組に遊びに行くと、ディレクターさんに笑い声を気に入ってもらえて、素人なのにコーナーを持たせてもらえることになったんです。
ラジオ局にはレコード会社の人がたくさん出入りしていたので、「事務所紹介してあげるよ」と声を掛けてもらい、現在所属している太田プロに入ることになりました。僕の人生ってこういうことだらけなんですよ。あまり計算せずに直感で動いたことが、後の夢につながることが多々あります。
たとえば『ウルトラマンダイナ』の役に選ばれたのも、偶然なんです。事務所から渡されたオーディションの台本を見たら、キャラ設定がまんま僕だったんです。自分が言うようなセリフしか書いてなかったので、役作りもせず等身大の自分で行ったら「じゃあ君、来週からウルトラマンだから」ってオーディションに受かりました。
今年ちょうど放送開始から25周年で、イベントで25年ぶりに隊員服に袖を通しました。
育児休業を取得しママの一番の理解者に
住谷:つるのさんは5児の父で、家庭をすごく大事にされているイメージがあります。これだけ多忙のなか、どうやって家庭とのバランスを取っているんですか?
つるの:ヘキサゴンをやっていた時期は本当に忙しくて、1日に8本のバラエティ番組の収録があって、移動中のロケバスの中でも、入れ代わり立ち代わりで違う番組の撮影をしていました。振り返るとその頃は家庭を顧みることができていませんでしたね。奥さんとよく喧嘩になっていました。
4人目の子どもがもうすぐ生まれるというある時、家の前の海でふと「休もう」と思ったんです。僕の父はすでに他界しているのですが、父も4児の子どもがいて、銀行員ですごく忙しい人生を歩んだ人でした。
その父が「男は外で仕事をするのが当たり前かもしれないけど、家庭という基盤がないと仕事なんて絶対上手くいかない」と言っていたことがパッと脳裏に降りてきたんです。それで「このままではダメだ、俺は休む」と決めて育児休業を取りました。
渋沢:当時すごい話題になったことを覚えています。まさにイクメンの走りですよね。
つるの:芸能界で初めて育児休業を取ったということで、たくさんニュースに取り上げてもらいました。2ヶ月間の育児休業を取り、子育てと家事をして家庭の基盤をつくり、芸能界に復帰した時に「イクメン」という言葉ができて、その年に流行語大賞で受賞しました。
でも僕はただ家庭の基盤をつくり直したいから育児休業を取ったので、イクメンと言われることに今でも違和感を持っています。自分の子どもなんだから育児をするのは当たり前じゃないですか。それから何年か経って5人目の子どもができた時も育児休業を取りました。
僕はそれまで「外で仕事をして稼いだらいい」という考え方だったので、ママの気持ちが全然わかっていませんでした。でも2カ月間お弁当を4つ作ったり、子どもたちのお迎えに行ったりして、ママたちの気持ちがすごく理解できるようになりました。
男ってママがカフェに集まっているのを見て、「何をそんなにいっぱい喋ることがあるんだ?」って思うことがあるじゃないですか。でもその理由が全部わかるようになったんです。たまには自分以外の人が作った料理が食べたくなるし、気持ちのわかるママ同士でそりゃ集まりますよ(笑)
そんな風に日々一つひとつ気持ちが理解できるようになって、ママの良き理解者になることができました。そうするとママも安心してパパに子どもを預けられるようになるし、「パパは忙しいけど私の気持ちをわかってくれるんだ」って、それは家庭も円満になりますよ。育児休業は絶対取った方がいいと思います。
奥さんと2人きりの時間を楽しむことが今後の夢
住谷:子どものいる僕には、すごいグサグサ刺さります…(笑) つい最近も幼稚園教諭の資格を取得され、大きな挑戦をしていますが、今後のつるのさんの夢や目標をお聞きしたいです。
つるの:直近の夢としては、自分の子どもたちが早く夢を見つけて巣立って行ってくれることですね。今までずっと子育てをしてきたので、奥さんと2人だけの時間って全然なかったんです。だからたまにファミレスに行って、2人でコーヒーを飲むだけでもすごく幸せです。
子どもたちが巣立ったら、奥さんと2人だけで出掛けられることが楽しみなんです。今まで仕事で行ってきた良い旅館とか、温泉とか、美味しいものとか、すべてが奥さんのためのロケハンになるわけですよ(笑)
人生の土台作りをこれまで一生懸命してきたので、これからの2人の時間を楽しむことが、僕の夢ですね。