装いから自分軸を取り戻す、小さな一歩の力

森永 ゆか

森永 ゆか

column_Morinaga Yuka

バンタンデザイン研究所スタイリスト本科を卒業後、古舘プロジェクトで5年間のアシスタントを経て独立された森永ゆか(もりなが ゆか)さん。芸能界で30年、小堺一機さんの専属を25年務め、2022年からはビジョンを持つ経営者へのスタイルサポートを展開しています。装いを通じて大人を輝かせ、次世代にワクワクを届ける森永さんに、洋服が持つ力とこれからの展望についてお話を伺いました。

洋服というツールで促す行動と挑戦

見出し1画像嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_森永 ゆか_行動を促す

私がスタイリストとして活動を続ける原点には、「自分自身が抱えていたコンプレックスを、洋服によって克服できた」という原体験があります。身にまとうものを変えるだけで、目の前の自分の姿が変わり、周囲に与える印象も一瞬で変わる。白を着るか赤を着るかだけでも、人の気持ちや佇まいは大きく動きます。

現代は良くも悪くも情報が溢れている時代です。検索すれば何でもわかり、実際に経験していなくても「やった気」になって、「どうせうまくいかないだろう」と挑戦を諦めてしまう人が少なくありません。しかし、同じ経験であっても、挑戦する人が違えば生まれる結果はまったく異なります。

昨年、早稲田実業のキャリア教育に関わる方からお声がけいただき、学生たちに向けて私自身の半生や挑戦についてお話しする機会がありました。周囲が望む安定したレールや大企業に進むことだけが正解ではありません。大切なのは、頭でっかちにならずに自ら動いて経験を積むことです。

その授業では、「後ろポケットにアイロンをかけたコットンのハンカチを2cmのぞかせる」という実践的なアクションを提案しました。生活感の出やすいタオル地ではなく、きちんとしたコットン地を忍ばせるだけで、言葉を発さずとも清潔感や好印象を相手に届けることができます。後日、ある生徒から「ハンカチを差す行動を実践したら、彼女ができました」という嬉しい報告を受けました。日常のほんの小さな一歩が、自分自身の意識を変え、現実を確実に動かしていくのです。

外見と内面を同時に整えるアプローチの可能性

現在、私はメンターとタッグを組み、RE:IDENTITY.というチームで経営者や組織に向けた新しいコンテンツを展開しています。外見(表層)が変われば内面(深層)が変わり、内面が変われば外見に表れる。 この両側から同時にアプローチできれば、最短最速でその人の望む姿へコミットできると確信していたからです。

内面やビジョンを掘り下げていくと、必ず「その人自身のあり方」が問われます。しかし、そのあり方を具現化するために「どんな洋服を選び、どう身にまとうべきか」という具体的な表現は、装いのプロフェッショナルでなければ提案できません。

私が大切にしているのは、既存のカラー診断や骨格診断に当てはめることでも、単に高級ブランド品やトレンドを追うことでもありません。「その人らしさ、その人しか持っていない個性」を最大限に引き出し、心地よく表現することです。内面の本質を大切にするアプローチと、外見から個性を表現するスタイリングが掛け合わさることで、お互いの強みを活かした強力な相乗効果が生まれています。

影響力を持つ大人の装いが次世代の未来を明るくする

見出し2画像嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_森永 ゆか_装いが明るくする

洋服が変わることで生まれるエネルギーを、私はより影響力のあるリーダーや経営者の方々へ届けていきたいと考えています。

メディアの前に立つ著名な経営者や企業のトップが、ご自身のビジョンや内面に寄り添った装いで生き生きと活躍している姿は、組織全体に大きな影響を与えます。社員の方々が「あんな風になりたい」「自分も挑戦していいんだ」と誇りを持てるようになり、社内のカルチャーそのものが前向きに変わっていくからです。

何より、「素敵でかっこいい大人」が増えることは、子どもたちや若者が「大人になるのが楽しみだ」と思える社会をつくること に直結します。背中で語る大人の魅力的な装いが、次世代の希望を育んでいくと信じています。

情報とAIの時代を自分らしく豊かに生き抜くために

これからの社会は、AIの進化によってさらに変化のスピードが加速していきます。だからこそ求められるのが、周囲の情報に流されない「自分軸」です。

AIと競い合うのではなく、「AI × 自分らしさ(あり方)」の掛け算で使いこなしていくこと。自分自身の価値観や個性をしっかりと確立していれば、AIは私たちの可能性をどこまでも広げてくれる頼もしいパートナーになります。

情報が溢れる時代だからこそ、洋服という身近なツールを通じて自分の軸を整え、心地よく豊かに、誰もが笑顔で生きられる日本をつくっていきます。