先生が笑顔でいることが、子どもたちの未来につながる!自然と対話が育む、新しい先生支援のかたち

天願 こずえ

天願 こずえ

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沖縄県で先生や保護者の支援を行う天願こずえ(てんがん こずえ)さん。35年間の小学校教員経験や自身の休職体験から、「先生が笑顔でいることが子どもの未来につながる」と確信されました。現在は、自然遊びリトリートやコーチングを通し、先生が自分らしさを取り戻せる場を提供しています。今回は、これまでの経緯や現在の活動について話して頂きました。

教壇を離れて見えた、本当に支えたかった存在

見出し1画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_天願こずえ_教壇を離れて

私は沖縄県那覇市で、教員の皆さんを支援する活動を行っています。35年間、小学校教員として子どもたちと向き合い、そのうち最後の約10年間は特別支援学級を担当しました。現在は退職し、先生方を対象とした自然遊びリトリートやコーチングを中心に活動しています。また、那覇市教育委員会から依頼を受け、就学支援委員として発達検査や保護者面談にも携わっています。

教員時代、私は多くの先生方が時間に追われ、心身ともに疲弊していく姿を目の当たりにしてきました。子どもたちのために全力を尽くしたいという思いが強いからこそ、自分自身のことは後回しになってしまう。その結果、「自分の指導力が足りないのではないか」と自分を責めてしまう先生も少なくありません。

私自身の教育観が大きく変わったのは、特別支援学級を担当したことがきっかけでした。

それまでは、「先生の話を聞けない子」「落ち着きがない子」を、どこか問題行動として捉えていた部分がありました。しかし、発達特性を持つ子どもたちと日々接する中で、「困らせている子」ではなく、「一番困っているのはその子自身なのだ」と気付かされたのです。

だからこそ、子どもを変えようとする前に、その子の特性を理解し、その子に合った関わり方を工夫することが何よりも大切だと学びました。

同時に、学校だけで子どもを支えることには限界があることも実感しました。

学校では「よく頑張っているね」と励まされても、家に帰ると「なんでこんなこともできないの」と叱られてしまう。その現実を子どもたちから聞いたとき、「保護者支援も必要だ」と強く感じました。しかし、教員という立場では家庭に深く関わることには限界があります。先生と保護者の間には、どうしても見えない壁が存在します。だからこそ、退職後は一人の支援者として先生や保護者に寄り添いたいと思い、起業しました。保護者向けの支援は比較的多くありますが、先生自身を支える場はまだまだ少ないと感じています。

教員不足が続く中、病気で休職した先生がいても代替教員が見つからず、周囲の先生方が必死に支え合っている現場を何度も見てきました。誰も文句を言わず、「お互いさまだから」と助け合う先生方の姿に胸を打たれる一方で、「もっと先生自身が安心して休める社会であってほしい」と強く思うようになりました。

先生が元気でいることは、子どもたちにとっても大きな安心につながります。だから私は、先生を支えることが教育を支えることだと信じています。

自然の中で自分を取り戻す、先生のためのリトリート

見出し2画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_天願こずえ_先生のためのリトリート

私自身も、教員時代に心身のバランスを崩し、病気休職を経験しました。そのとき心療内科の先生から言われた言葉が、「楽しいことだけをしてください」でした。最初は戸惑いましたが、その言葉に従って、読書をしたり、映画を観たり、泳いだり、自分が心から楽しめる時間を過ごしました。するとある日、娘がこんな一言を言ってくれたのです。「最近、お母さんの作るご飯、おいしいね。」その言葉に私ははっとしました。以前は仕事に追われ、外食や惣菜に頼ることも多く、心に余裕がありませんでした。しかし休職中は時間にも気持ちにもゆとりが生まれ、丁寧に料理を作ることができるようになっていました。子どもは親の心の状態を敏感に感じ取っています。

だからこそ、自分を大切にすることは決してわがままではなく、周りの人を大切にすることにもつながるのだと実感しました。この経験が、現在の活動の原点になっています。

現在は毎月第4土曜日、那覇市にある自然豊かな末吉公園で、先生方を対象としたプチリトリートを開催しています。

「沖縄北部のやんばるは素晴らしいけれど遠くて行けない。」

そんな先生方でも気軽に参加できるよう、市街地にありながら森を感じられる場所を選びました。リトリートでは、ネイチャーゲームの手法を取り入れています。

たとえば「サウンドマップ」では、自分を中心にして、どこからどんな音が聞こえてくるのかを自由に記録します。鳥の声、風の音、葉が揺れる音、人の話し声。

同じ場所でも、座る向きや感じ方によって全く違う作品になります。その違いを参加者同士で共有すると、「そんな感じ方もあるんですね」という新しい気づきが生まれます。また、「木へのインタビュー」というワークも行っています。お気に入りの木を見つけ、木肌に触れ、香りを感じ、根や枝を眺めながらインタビューカードの質問に答えていきます。実際には木が答えるのではなく、自分自身が木を通して心の声を言葉にしていきます。

自然と向き合うことで、自分自身とも向き合える時間になるのです。

終了後には、多くの参加者が木陰で寝転び、葉の隙間から見える空を眺めながら静かな時間を過ごしています。「こんなに何もしない時間は久しぶりでした。」そんな感想をいただくたびに、先生方には安心して立ち止まれる場所が必要なのだと改めて感じます。

先生が自分らしく働ける未来を目指して

見出し3画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_天願こずえ_先生が自分らしく

リトリートの後は、コーチングを通して先生一人ひとりと向き合っています。

「どんな学級をつくりたいですか。」「本当はどんな先生でありたいですか。」そんな問いを通して、自分自身の思いや目標を整理していきます。また、特別支援学級での経験をもとに、深呼吸やセルフケアの方法、心が疲れたときの考え方などもお伝えしています。現在は6回を1クールとして継続的なサポートを行っていますが、「この時間があるから頑張れます」「教えていただいたセルフケアを続けて気持ちが楽になりました」という声をいただくことも増えました。その一つひとつが、私にとって大きな励みになっています。

最近では、新たな学びとして、オラクルカードを活用した対話型セッションも取り入れています。カードを通して自分の気持ちや考えを整理することで、「これから進む方向が見えてきました」と話してくださる方もいます。私はこのような手法も、価値観を押し付けるものではなく、自分自身と向き合うための一つの選択肢として大切にしています。何よりも重視しているのは、その人が自分らしい答えを見つけることです。活動の対象は教員ですが、ブログやSNSで発信を続ける中で、「子育てにも役立ちますね」「私も参加してみたいです」という声をいただくようになりました。そのため、リトリートは先生に限らず、自然の中で心を整えたいと思う方向けにも開講しています。教育は、子どもだけで成り立つものではありません。先生が笑顔でいること、保護者が安心して子育てできること、その両方があって初めて、子どもたちは安心して成長できます。

私はこれからも、自然の力、人との対話、そして長年の教員経験を生かしながら、一人でも多くの先生が自分らしく働き続けられる社会を目指して活動を続けていきます。

先生が元気になれば、教室の空気が変わります。教室が変われば、子どもたちの笑顔が増えます。その笑顔が、未来の社会を少しずつ豊かにしていくと、私は信じています。

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