互いの力を最大限に発揮できる場をつくる!俳優兼経営者の心得

自身で俳優をしながら、演技コーチ、演出家の仕事もこなすもろいくやさん。俳優業を選んだきっかけや俳優業の魅力、経営者として人との関わりで大事にされていることなどを伺いました。
幼稚園の舞台で感じたライブ感!「楽しさ」を糧に30年

俳優としての活動は17歳のときに始めたので、もう35, 6年になります。最初のきっかけは、幼稚園の学芸会だと思います。確か『三匹の子豚』の狼の役だったのですが、舞台に出たら興奮しちゃって、なぜか僕は志村けんさんのモノマネをしたのです。会場は爆笑、そのあと先生に連れ戻された後はあまり覚えていないのですが(笑)。それが快感で、それからずっと演技というものに興味はあったのですが、物心ついてから引っ込み思案になってしまって、演劇のクラブがあっても女の子が多くて入りづらくて。
中学生からは漫画家になろうと思っていて、高校は漫画部に入りました。でも、2年生の文化祭で演劇をやることになったのです。『ガンバの大冒険』が原作でした。担任の先生の意向だったので皆イヤイヤやるのですが、僕は少しわくわくしていて、やってみたらやっぱり楽しかったのです。そこの高校に演劇部が無かったので、自分で有志の演劇同好会をつくりました。漫画部で漫画を描いていたから自分にもできるだろう、と無茶苦茶な脚本を書いて。『鬼滅の刃』の劣化版のような(笑)、鉄砲や刀が出てくる少年マンガっぽいお話をやっていました。
当時、都立高の演劇部には、都内の小中劇団から公演案内が届くのですが、実際に観に行ってみたらすっかり小劇場の演劇にハマってしまいました。演劇鑑賞会で見るようなお話の多くは、戦争ものや勉強になるお話ばかりだったのですが、小劇場だと、人間がすぐ自分の目の前で、リアルに演技しているのがたまらなくて、「俺がやりたいのはこれだ!」と思いました。高校を卒業してからは働きながら、OBとして高校の後輩たちとお芝居つくったりしてましたが、21歳のときに初めて、自分たちで劇場と台本を借りて、舞台公演を打ちました。そこで本格的にハマり、それ以来ずっとやってます。
演劇の面白さは二つあると思っていて、ひとつはライブ、目の前のお客さんと世界を分かち合う感じがすごく楽しいです。ドラマや映像のお芝居も刺激的で面白いのですが、お客さんがすぐ傍にいる中で見てもらって共感してもらえる、そういうライブ感がたまらないな、と思います。もうひとつは芝居づくり自体が楽しいことですね。文化祭を毎回やっている感じです。どのイベントも企画するときマンパワーが要ると思いますが、それをみんなで作り上げるのは大変ですが楽しいです。
最大限の力を発揮できる場をつくる

人と関わるうえで気をつけていること、大事にしていることとしては、相手、一緒にやる人を信じることです。自分のやりたいことだけをやってもらう、という形になるのはよくないと思っていて。人それぞれにやりたいこと、得意なことというのがあるので、お互いに尊重して力を発揮できる状態というのが最強なんじゃないかなと思っています。
誰かにやらされるのでも一人で引っ張っていくということでもなく、それぞれの持っている力を存分に発揮できる環境というのを大事にしていますね。その人を信じる、ということです。独りよがりになったり強引になったりしがちなのでそうならないように、みんなの力を発揮できる状態をつくれればもっと良いものができる、と思ってやっています。
今は俳優をやりながら、自営業で演技塾を経営しています。もともとは師匠がやっていた塾を、師匠が亡くなって急遽代行していたのですが、だんだん教えることが面白くなってきて、自分でちゃんと責任を持ってやりたいと思い、看板を立ち上げ直しました。今では俳優に次ぐ、自分にとって大事なライフワークになってます。
プロの俳優だけではなく一般の方向けに、朗読とボイトレのレッスンも開いています。どちらも普段、自分たちが演技のトレーニングとして使っている技術です。俳優の基礎訓練として、人の文章を自分の言葉のように語るトレーニングを朗読でやっていて、一般の人にとっても朗読は、手軽な自己表現なんですよね。ボイトレも、歌うような難しい技術ではなく、「自分の体という楽器」を響かせられるようになる、体操のようなワークレッスンを開講しています。自分らしい声を、自由に、日常で使えるようになります。
できることをひとつずつクリアして多くの人の手助けを

今はまだ、ビジネス的なビジョンというのはあまりないかもしれません。朗読やボイトレで、多くの人の手助けになれたら、という思いはあるのですが。実は僕は、一生一役者でいると思っていましたが、今では脚本を書いたり演出を考えたり朗読のお手伝いをしたり、そういうことができるようになってきたしやりたいと思えるようになってきたので、どこまでできるのかが楽しみでもあり、模索しているという感じですね。教えることで、表現者としてのレベルが上がってきているような気がしています。
「海賊王におれはなる!」みたいなハッキリしたビジョンは僕にはないです(笑)。ただ、「人に価値を与えられる、強い人間でありたい」という思いはあって。できることをひとつずつクリアしていったら、もっと広がりが出るのではないかと考えています。楽しくて、でもちゃんと収益があがることができていったら良いなと思っています。