完全駆除率99.5%!貢献意識が高い害虫駆除会社の経営理論

飲食店向けにゴキブリ、ネズミ、その他の害虫駆除を行う株式会社クリーンライフの代表・大野宗(おおのそう)さん。お客様のため、社員のため、さらには日本にお役立ちしたいと『完全駆除』にこだわって会社を運営されています。会社設立の経緯、業界では珍しい試みや経営理念について、お話を伺いました。
露天商の経験から商売の楽しさが忘れられずに独立へ

私は大学時代に露天商(ろてんしょう)で桃を販売していました。この桃販売で商売の醍醐味を体感しました。1日の売上はだいたい3〜4万円です。自分で言うのも何ですが、商品が良かったというより売り方が良かったと思いますね。また、桃は仕入れたその日中に売り切らないと腐ってしまうので、夕方に大量の在庫があるとどうやったら売れるかを必死で考えていました。その売り方を試行錯誤する中で提案力、クロージング力などの営業力が養われたはずです。そして、度胸が付きました。誰の許可もなく勝手に道端で商品を広げていたので、警察やその地域を仕切っている団体に何度も怒られて、うまく乗り切った経験があります。
大学卒業後に就職した会社の月給が12万円。桃を販売していた方が儲かるじゃないかと思いながら働いていましたが、やはりお金が足りず仕事の合間に近所の喫茶店でアルバイトをしていました。その喫茶店が大量のゴキブリが発生するお店だったのです。それが嫌だなと思いながら働き続けていましたね。
35歳でこのまま会社員を続けていていいのかなと迷うことになります。その時に桃を販売していた頃の商売の楽しさとアルバイトの喫茶店はゴキブリがたくさんいたなと思い出すんです。そこからビジネス書を読み漁る日々が続きます。ある日、本屋さんに行って見つけた書籍が100社ほどの起業ストーリーが載っているものでした。その中にクリーム状の薬でゴキブリをゼロにしている東京の会社を2社見つけます。そのうちの1社が取引のある会社だったので、その会社の部長に事業に興味があると話をしたところ、当時大阪に住んでいたのですが、東京に来るように言われました。東京に着いて部長と向かった場所は銀座にある松屋デパート8階の飲食店フロア。閉店時間の22時が過ぎると2〜3店舗のスタッフがその部長の姿を見つけると駆け寄ってきて、「本当に1匹もいなくなりました!ありがとうございます!」と嬉しそうに話している光景を目の当たりにしました。この仕事はこんなにも人から感謝されるすごいやりがいのある仕事なのだと感じたのです。
ゴキブリ駆除会社の部長に言われた「ゴキブリ駆除の営業は困っているものを売る仕事なので、この営業ができなかったら他のものは何も売れないよ」という言葉が印象的でした。つまり、最も簡単な営業だということ。その言葉を聞いて、独立してゴキブリ駆除を始めようと決意しました。
リピートや新規獲得の鍵を握るのは『完全駆除』の徹底

ゴキブリで悩んでいるのはやはり飲食店が多いと思ったので、飲食店専門のゴキブリ駆除を1年間の管理契約でやっていこうと考えました。1年間でゴキブリがゼロにならなかったら追加料金なしで何回でも駆除作業に行き、ゼロになるのであれば、作業は年に2回だけという契約内容です。最初は大手清掃会社のフランチャイズをやろうと思い、この契約内容を話したところ、あり得ないと即却下。方針が合わないと分かったので、私は『完全駆除』を掲げて自営業を始めることになります。
弊社は「駆除する薬剤を撒いたから料金をください」ではなく「ゼロにできたらお金をください」というスタンスです。これはもともと「人の役に立ちたい」、もっと言うと「お国の役に立つ人でありたい」という想いから来ていると思います。2年ほど保護士をしていた経験もありました。ひとまず薬剤を撒いて駆除できているかどうかは知りませんというやり方だと詐欺と同じだと思うんです。
そもそも電話営業や飛び込み営業をしたことがなかったので、簡単な営業だと言われたものの根気が必要です。立ち上げてすぐはDMを送ることからスタート。すぐに読めるハガキにビフォア・アフターの写真を載せて、衛生意識の高そうな飲食店に送りました。衛生意識が高そうな飲食店のリストはありませんし、インターネットがあるわけでもありません。そこで、本屋さんに行ってグルメガイドや食べ歩きの本を何冊か購入して、そこに掲載されているお店にハガキを送ることに決めると同時に顧客リストを作りました。最初は300通のハガキを送って9件反応がありました。そこから次は仕出し屋さん、次は老人ホームとハガキを送っていたのが創業1年目でした。1年目で獲得した顧客から紹介で広がって行って今があります。『完全駆除』をうたって誠実にやってきたことが良かったのだと思います。
顧客満足度と社員のやりがいを両方高めるために

当時は自営業で『マジックバスター』という屋号でした。自営業よりは企業の方がクライアントは安心すると思ったので、ある程度きちんとした会社がやっているように電話の受付先と住所を電話代行業の会社にしたり、イメージキャラクターを作ったりしました。作業報告書に当時は新しかったデジカメで現場の様子を撮影したものをワードに貼り付けて見栄えの良い資料を提出したりしていましたね。仕事をする上で嘘は絶対に言ってはいけませんが、お客様が勘違いしてしまうほどハイクオリティなサービスに見える演出は良いと思います。
現在、日本国内でゴキブリ駆除の会社は約5,000社あります。そのほとんどは毎月お店に行って作業をするんです。そうなると計算上利益を出すには1件あたり10〜15分で作業をせねばならず、そこでできる範囲のことしかやりません。毎月作業をするという契約でゼロにする必要はありませんから『完全駆除』はできないんです。
弊社は年に2回の作業ですが、ゼロにならなかったら10回でも20回でも行かなければなりません。ゼロにすれば2回だけ行けばいいので、ゼロにすることが会社の利益になります。会社の資金は営業や広告よりもゼロにするための技術開発や社員のモチベーションアップに使われるんです。作業者のマインド的にも年に2回の方が1回1回の作業をしっかりやろうという作用になります。1回の作業に取り組む姿勢が変わるんです。
この業界だと、会社の中で営業担当と実作業者は別になる分業制がほとんどです。そうすると営業担当は少しでも件数を増やそうと、安い価格で受注して現場のことは見えません。一方、作業者は1日中作業ばかりでクライアントの社長や部長のこと引いては会社のことを全く知りません。弊社は1つのクライアントに対して、営業も作業も同じスタッフが担当することで、お客様の顔を思い浮かべながら気持ちを込めて作業ができます。これが顧客満足度にも従業員のやりがいにもつながるのです。
2025年8月から1年間で完全駆除できなければ全額返金するという保証制度を新たに追加しました。同年9月に契約店舗数が2,000店を超えました。昨年のデータでいうと契約店舗1,881店中1872点で完全駆除しましたので、達成率99.5%です。ゼロにするから更新契約につながって売上がアップします。
将来的な夢は日本中の飲食店からゴキブリをゼロにすることです。もう少し現実的な目標でいうと10年以内に売上10億を達成して上場したいと思います。今いる社員全員に上場利益を受けて欲しいです。