グルテンフリーに使用する粉類について

飯髙 裕子

飯髙 裕子

2026.01.01
column_top_(Iidaka Hiroko).jpg

グルテンフリーのお菓子づくりをされている飯髙裕子(いいだかひろこ)さんの連載コラム第3弾です。アレルギー体質として生まれ、薬にも頼れなかった。そんな自分の身体と向き合う中でわかってきたのは、「心と腸の深いつながり」でした。今回は、グルテンフリー生活を通して見えてきた“腸と心の関係”について、飯髙裕子さんが自身の体験を交えて綴っていただきました。

米粉の特徴について

見出し1画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_ 飯髙裕子さん.jpg

グルテンフリーにおいて小麦粉を使用しないことは大前提ですが、この代替となる粉にはどのようなものがあるかを少しお話ししたいと思います。

大きく分けて、粉の種類には
①穀物・疑似穀物系
②ナッツ・種子系
③芋・でんぷん系
④豆類系
の4つが挙げられます。

穀物系には、米粉、玄米粉、そば粉、キヌア粉、アマランサス粉、ソルガム粉、テフ粉など多くの種類がありますが、一般的に良く知られているのは、米粉や玄米粉、そば粉などです。

ナッツ系では、アーモンドプードル、ココナッツフラワーなど。
芋、でんぷん系では、片栗粉、タピオカ粉、コーンスターチ、キャッサバ粉、など
豆類系は、大豆粉やおからパウダーなどがあります。
現在一般的に入手しやすい粉というとこんなところだと思います。

私がお菓子を作るときによく使うのは、米粉、ソルガム粉、アーモンドプードル、大豆粉、片栗粉、コーンスターチ、タピオカ粉、ココナツフラワーなどです。

特に米粉は、一番主となる粉であり、その種類も多いため、使用するには、その特性を理解していないと、お菓子の仕上がりにも大きく影響することとなります。

今回は、その米粉に関して少しお話ししようと思います。

米粉はうるち米を使ったものが一般的ですが、その製法によって特徴は大きく異なります。

米粉の特徴を左右する条件は、①アミロース含有量(粘り気)、②でんぷん損傷率(吸水スピードと量)、③粒の粒度(粒の大きさ)といわれています。

お米のでんぷんを構成するアミロースとアミロペクチンの含有量により粘り気が多いか少ないかという性質を左右します。

低アミロース米は、粘りが強く吸水性が低いものが多く、高アミロース米は粘りが弱く、吸水性が高いという特徴があります。

でんぷん損傷率は、米粉を製造するときの熱や衝撃によりでんぷんの構造が壊れてしまうことですが、損傷率が高いと水分を急激に吸収し焼成後に硬くなったりパサついたりしがちです。逆に損傷率が低ければ、ゆっくりと水分を吸収するので、しっとりした仕上がりになります。

もうひとつ、粒の粒度ですが、粒度が小さい粉(微細な粉)は、表面積が大きくなり吸水速度が速く、きめ細かくダマになりにくい特徴があります。

また粒度が大きい粉(荒い粉)は、吸水速度が遅くザクザクとした触感になります。

これらの条件が組み合わさって米粉の特徴が現れることになります。

米粉だけを使用すると、その欠点をカバーすることができずに思った仕上がりにならない場合があります。

ですから、他の性質の粉とブレンドすることによって、作るお菓子の仕上がりを調整することが必要になってきます。

きめ細かくふんわりとした仕上がりにしたいケーキなどの場合、低アミロース、低損傷率、微細な粉というのがいいように思いますが、米粉の特性からすると微細な粉はきめ細かい分吸水速度が速いという特性も持っています。

これが米粉だけを使った時に焼き上がりやそのあとに硬くなってしまう原因にもなります。

そのため、米粉と一緒にでんぷん系やナッツ系の粉を合わせることで、全体の吸水性を低くしたりします。

米粉だけでなく他の粉がブレンドされているお菓子は、そういう米粉の特性をうまく調整して作られているからなのです。

もっちりとしたケーキに仕上げるために

さて今回は、そのメインとなる米粉に関して少し実験をしました。

市販されている米粉はとても種類が多く、用途は書いてあるものの、実際に使ってみると、吸水率は千差万別で、試してみなければなかなか自分の思うような仕上がりにはならないことが多いです。

そこで代表的な特徴を持つ6種類の粉での吸水実験をしました。

見出し2画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_ 飯髙裕子さん.jpg

使用した粉は以下の6種類です。

①笑みたわわ(波里)
②お米の粉R(波里)
③お餅の粉 
④米の粉(共立)
⑤ソリジャミックス(大豆粉をブレンドした米粉)
⑥パン用みずほのチカラ

それぞれの粉を同量にし、同量の水を加えました。

結果はなかなか顕著な特徴が見られました。

①の粉は、サラサラとしたまとまらない状態
②の粉は、少しもったりして落ちてこない状態
③の粉は、水が足りず粉っぽい状態
④の粉は、①と同様サラサラで6種類の中では一番きめ細かな感じ
⑤の粉は、少しとろみがあり、すくったら落ちてくるくらい
⑥の粉は、サラサラしているが底にたまるともっちりした感じ

この結果から考察されるのは、①と④と⑥は、吸水率が低く粒度が小さいと考えられます。

パン用の粉に関しては、パンを作る場合のふくらみやそれを維持するために製造段階で調整されているということも加味すると実験結果の特徴も理解できます。

また、②や⑤は、それよりも吸水率が高い状態のもの、③は吸水率がとても高い粉と考えられます。

損傷率やアミロース含有量は、商品を見てもわからないのですが一応メーカーから出されている情報をもとに見当をつけて、実際にマフィンを焼いてみることにしました。

同じような特徴を持つものはどちらかにして、今回は、②、③、④、⑤の4種類で実験をしました。

その結果は次のようになりました。

見出し3画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_ 飯髙裕子さん.jpg

②の粉は、は少しもっちりとして重さのある仕上がり

③の粉は、は②よりもさらにもっちりとした食感

④の粉は、はきめ細かくふんわりとした食感

⑤の粉は、はふんわりして、口に入れるとほろっと崩れる感じでした。

この食感は、私個人の感想ですが、お菓子を作ったときにどんな仕上がりにしたいかによって、粉を選ぶ基準にはなるかなと思いました

ふんわりと、そして水分を含んだケーキにするには

シフォンケーキなどには、きめ細かくふんわりと仕上がる粉に卵の膨張率も加わって柔らかなふわふわの食感を持たせることができます。

マフィンやパウンドケーキなど食べ応えが欲しい場合は少し吸水率の高い粉を使うのもいいかと思いますし、クッキーなどのサクサクした食感が欲しいものにはアーモンドプードルのような粉をブレンドして硬くなるのを防ぐこともできます。

私の作るお菓子は、基本的に、口に入れたときに水分が欲しくなりにくいものを考えているので、吸水率の低い粉とその他のでんぷん系やナッツ系の粉をブレンドすることが多くなっています。

年齢を重ねるごとに飲み込みにくくなったりすることを防いだり、また小さなお子さんが食べたときにのどに詰まりにくいということは、安全性の面でも重要と考えています。

今回は、グルテンフリーに使用する粉について書かせていただきました。

お菓子を作られる方の参考になれば幸いです。